ぱすイカ二次創作③

つづき。書くのが疲れてきた。 書いたもの:https://togetter.com/id/pascal_syan
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ぱすかる❄ @pascal_syan

「こんなの、おかしいよねッッッッッッ!?!?おかしくないぃぃぃぃぃ!?!?なんで!?なんで私!?この、三人で、この、このこの、すごいメンツで!トリが私!?ままま待ってヨーコ、あ、頭とか打った?風邪引いた?スライドで脳みそイカれた!?!?」 ヨーコは、サキの剣幕と声量に気圧される。

2019-09-05 23:06:38
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……話しておかなかったのか?」 オクトーがヨーコに尋ねる。 「えっっっっなに?なにそれ?えっ?ま、まさかずっと前から決まってたこと???内緒にしてたってわけ!?」 「……ウ、ウン……」 「サプライズだよ!ものっっっっそいサプライズだよぉ!!!!心臓が破けるタイプの!!!!」

2019-09-05 23:09:20
ぱすかる❄ @pascal_syan

「なんで黙ってたの!?」 「イ、言ッタラ、キット……断ル、思ッテ……」 「うん、普通断るよ!?」 「ワ、ワタシ、サキト組ミタイ。ユーショーモ、シタイ……ダ、ダカラ、ソノ……」 ヨーコは今にも泣きそうだ。

2019-09-05 23:13:15
ぱすかる❄ @pascal_syan

「随分と強欲だな。どちらか一つを選ばねばならない状況で、まさか二つとも選ぼうとするとは」 シグルイが横槍を入れる。 「そ、そうだよ……普通に考えたら、残り一人は私じゃなくて……」 「だが、それでいい。俺と共に戦うのであれば、それほどの度胸を持っていなければ」 「……えっ?」

2019-09-05 23:16:48
ぱすかる❄ @pascal_syan

「サキ、だったか。お前のことは調べさせてもらったぞ」 「ふ、ふええっ……」 普段のあの、他所様にはあんまり見せたくない戦績を、まさか、シグルイに見られてしまったなんて。 穴があったら入りたい。なんなら自分で掘ってしまいたい。いっそ、墓穴になりたい!

2019-09-05 23:19:15
ぱすかる❄ @pascal_syan

「俺はおろか、オクトーにさえ勝つこともできまい。お前の友人にもな」 「おっしゃる通りです…………」 「素直なのはいいことだ。だが……俺のチームに入るのだ。それなりの強さが無ければ困る」 これほどまでにハードルが高い『それなり』は、世の中を探してもなかなかないだろう。

2019-09-05 23:22:37
ぱすかる❄ @pascal_syan

「で、ですよねえ……あ、あの……辞退することは」 「許さん」 鋭い眼光が刺さる。胸を槍で一突きするかのような、凄まじい迫力。 「お前の友人の願いを、無下にするつもりか?」 「う……」 何も言えなくなる。

2019-09-05 23:26:05
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ワタシガ……」 そんなサキを庇うように、ヨーコが立ちはだかる。 「ワタシガ、サキ、守ル!絶対、合格サセル!」 「ヨーコ……!?」 「サキ、才能アル。ワタシ、ソレ、信ジテル。アナタニモ、キット、ワカル!ダカラ……」 「いいだろう。その覚悟、受けて立とう」

2019-09-05 23:29:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

「こうまで言ってるのだ。これを前にして、まだ辞退したいと?」 「……いいえ」 サキは、力強く首を横に振った。 「ヨーコが本気なの、私にも伝わったよ。細かいことは後にするとして……私も、ヨーコのために戦うよ。できることは少ないけどね!」 「サキ……アリガトウ……」

2019-09-05 23:31:54
ぱすかる❄ @pascal_syan

「さて。戦力差は各々、嫌と言うほど分かっているだろう」 「……ほとんど、2対1みたいなもんですよね、ははっ……」 サキは渇いた笑みを漏らした。だが、瞳の奥の闘志は消えてなどいなかった。 「ハンデをくれてやろう」 「えっ」 誰が見ても分かりやすいくらい、サキの表情が明るくなった。

2019-09-05 23:36:46
ぱすかる❄ @pascal_syan

「オクトー、お前は下がれ。俺ひとりで戦うことにする」 「……かしこまりました」 少しだけ心配そうな表情を見せたが、すぐに命令に従う。 「大サービス、ネ?」 「少しは光明が差してきたか?」 「ソーネ…」 それでも、油断はできない。サキもヨーコもそう思っていた。

2019-09-05 23:41:16
ぱすかる❄ @pascal_syan

1対複数という不利な状況に陥ろうとも、彼はその手ひとつだけで、勝利への活路を切り拓いてきた。故に、伝説。故に、最強。一人味方が減ったところで、恐れるものなど何もない。歴戦の戦士の誇りが、如実に現れていた。

2019-09-05 23:43:29
ぱすかる❄ @pascal_syan

試合は、ナワバリバトルを基準にした変則ルールで行われる。時間制限は3分。ナワバリと同じく、最終的な塗り面積で勝敗を決める。 だが、もうひとつ特殊ルールが追加される。 それは、「復活禁止」。一度やられてしまったら、二度と前線には戻れない。リスポーン地点で何もせず、待機すること。

2019-09-05 23:47:40
ぱすかる❄ @pascal_syan

「う、迂闊に死ねないってことだよね……これ」 「ダイジョーブ」 ヨーコは、不安そうなサキに微笑みを見せた。 「サッキ、言ッタ。サキ、ワタシ、守ル。イツモドーリ。イイ?」 「うん。いつも通り、ね。分かった」 試合開始の合図が鳴る。 「行くよ!」 「レッツゴー!」

2019-09-05 23:50:47
ぱすかる❄ @pascal_syan

シグルイの持ちブキは…… 「だ、ダイナモテスラ?」 サキが素っ頓狂な声をあげるのも無理はない。 ダイナモローラーテスラ。ローラー種の重量級のブキだ。 身の丈の2倍ほどありそうな、黄金色に光る巨大なローラー。

2019-09-06 00:00:42
ぱすかる❄ @pascal_syan

ローラー種はその名の通り、コロコロと転がす、あのローラーを模したブキだ。ローラーを振り降ろしたたときに出るインクを相手にかけるか、コロコロと転がした状態で相手を牽き倒す。どちらも即死級の威力を誇る、超火力だ。

2019-09-06 00:03:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

ダイナモローラーはローラー種最大の大きさと重さを備えている。一度に飛び出すインクの量は、まるで津波のようだ。圧倒的な攻撃範囲の広さで、相手に威圧をかけるのが得意だ。 だが、重い。本当に重い。持つだけでも一苦労なのに、それを振り回すとなると、途方もない労力がかかる。

2019-09-06 00:05:38
ぱすかる❄ @pascal_syan

当然、隙はかなり大きい。振りかぶって降ろすまで、使用者は無防備になってしまう。 そこで、防御力を補強するために、「インクアーマー」というスペシャルウェポンを搭載している。それがダイナモローラーテスラの特徴だ。

2019-09-06 00:07:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

インクアーマー。使用者とその味方に、ダメージを防ぐバリアを張る。ある程度攻撃を食らうか、一定時間が経つと消えてしまうが……それでも、強力な効果であることには間違いない。多少強引に攻めても、無傷でいられることのアドバンテージは大きい。

2019-09-06 00:09:20
ぱすかる❄ @pascal_syan

圧倒的な攻撃範囲と、守りを固めるインクアーマー。だが、その二つを備えていたとしても……あの攻撃の隙の多さは、カバーしきれまい。1対1ならともかく、1対複数で立ち回るとなると……その苦しさは、想像に難くない。

2019-09-06 00:11:28
ぱすかる❄ @pascal_syan

あれならいけるかもしれない?ほんの一瞬だけ、甘い考えが過る。だがヨーコの表情は、曇っていた。まずいことになった、とでも言いたげだ。 隙が大きいとは言え、ダイナモローラーの射程は長い。こちらは二人とも短射程。広い攻撃範囲を掻い潜りながら、距離を詰めることを考えなければならない。

2019-09-06 00:16:26
ぱすかる❄ @pascal_syan

でも、こっちは二人だ。一人が攻撃を引き付けて、もう一人が背後を突く、といったやり方もある。とにもかくにも、まずは自陣を塗り固めることが最優先だ。サキはパブロを振るう。フィールドというキャンバスを、あっという間に自インクで塗り潰していく。

2019-09-06 00:18:53
ぱすかる❄ @pascal_syan

自陣を塗り終え、中央エリアへ。ここも迅速に塗り上げる。段差も忘れずに。 やはり、速い。前線に着いたヨーコは感心した。塗り中心のサキは、どうすれば早く塗れるか、どこを塗ればいいのかを的確に掴んでいる。 彼女がサキをチームに勧誘したのも、そのあたりに理由がある。

2019-09-06 00:21:39
ぱすかる❄ @pascal_syan

弱いことが、なんだ。戦えないから、なんだ。それでもサキは、自分にできることを精一杯やっている。ヨーコはずっと、サキのことを見てきた。 彼女を弱いと笑うもの、そして、自身を卑下するサキのことも……彼女は許せなかった。 サキは、絶対、自分と同じ領域に来れる。その可能性を信じて。

2019-09-06 00:25:27
ぱすかる❄ @pascal_syan

その可能性を、シグルイにとらサキ自身にも気づいてほしくて。 向こうから、敵影。 ローラーを振りかぶるのが見えた。 来る。歴戦の勘が告げる。ダイナモローラーの攻撃の間隔は掴んでいる。もう少し呼吸を置いてからスライドを

2019-09-06 00:28:07
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