めざせコナモンマスター ＃１

劉度 @arther456

イタリア、アンツィオ。22

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「コナモンリーグ！素敵素敵、世界最強のコナモンマスターを、いよいよ決める日が来たのね！」招待状を受け取ってはしゃぐのは、深海地中海棲姫・ヴァリアント。イタリアを席巻する銀色のたこ焼きチェーン店『ポルポ・ダルジェント』の代表である。23

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「グフフ……そもそも優勝者は既に決まっておるのだがのう」その横で上等なワインを嗜むのは、このコナモンリーグの発案者にして、大会委員長のウリッセである。「既に各会場には手を回し、部下も配置している。お主が出場すれば自動的に優勝が決まる仕組みよ」24

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「ウフフ。流石ね、ウリッセさん。はい、これ、お礼のたこ焼き」ヴァリアントはたこ焼きのパックを差し出す。ウリッセはそれを受け取り、中身を確かめた。「ほほう」何とたこ焼きの下には、金貨が敷き詰められている。「ヴァリアント、お主もワルよのう」「いえいえ、局長ほどでは……」25

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この大会は、単なる国際交流ではない。ヴァリアント率いるポルポ・ダンジェントが偽りの栄誉を作り、その見返りとしてウリッセが私腹を肥やすための場であった。「優勝して、販路を拡大したら、上がりの５％は局長にお渡ししましょう」「ほほう、それは楽しみにしておこう」26

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同じくイタリア、アンツィオ。28

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粉モンチェーン『ポルポ・ダルジェント』にはマスコットキャラクターが存在する。「いらっしゃいませ、アンツィonちゃんです。撃ち抜くぞー！撃ち抜くぞー！」球体駆逐艦、アンツィonちゃんである。イラストでは可愛らしくデフォルメされているが、着ぐるみは子供が泣くレベルでリアルだ。29

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「おいピザ食わねえか」「ｷｰｯ!?」アンツィonちゃんは見学に来たPT小鬼にピザを押し付ける。PT小鬼は恐怖のあまり目に涙を浮かべていた。このマスコット、『ポルポ・ダルジェント』のメニューの１つ、ピザを宣伝するために生まれたのだが、結果はご覧の有様だ。30

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「選べよ。ナポリか？それとも君の実家か？僕はね、君の家族にどんどんピザをお見舞いしていくぞぅ」そんなアンツィonちゃんも、第１回コナモンリーグに参加する。食品業者のマスコットだけあって、料理は得意なのだ。ただ、この丸っこさでどうやってキッチンに入るつもりなのかは、謎である。31

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イタリア、ナポリ。33

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「……本当に、それで姉貴を返してくれるんだな？」「ああ。約束は守る」とあるアパートで交渉が行われていた。片方はガリバルディ。人類の基準なら軽巡ツ級flagshipにあたる深海棲艦。もう片方は集積地棲姫、異名を怪人メガ・ネギュウドンという。何がメガなのかは謎だ。34

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「良かったー。それじゃあ、日本代表のエントリーは決まりですね」「ああ、上等や！何が『ポルポ・ダルジェント』や、要するに銀だこやないかい！たこ焼きの本場は日本だってこと、思い知らせてやるわ！」48

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「お前の姉、アブルッツィを開放する条件はただ１つ。コナモンリーグ準決勝まで勝ち進み、決勝でヴァリアントを勝たせろ」「八百長か。ポルポの奴らはそんなに自分の料理に自信がないのか？」「これは演出だ。決勝の場で人気クレープ屋を打ち倒す光景は、いい宣伝になる」35

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「いいぜ。そこまで言うならやってやるぜ。アタシのクレープでアンタらを勝たせてやる。その代わり……」「ああ、わかっている。姉には指一本触らせないさ。……むしろ早く引き取って欲しい」「何？」「なんでもない」こうして、ガリバルディのクレープ屋の参戦が決まった。36

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イギリス、ロンドン、外務省会議室。38

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「艦娘を深海棲艦と戦わせながら、外交チャンネルを繋いでいたなんて。流石、世界に轟く二枚舌ね」ウォースパイトは、皮肉げに呟いた。「二枚舌と思ってくれるならありがたいですね」外務次官は表情一つ変えずに返事をする。「まだ半分しか舌が見られていない、ということですから」39

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深海棲艦から国際フェスティバルへの招待状が届いている、と外務省から聞いた時は、流石のウォースパイトも耳を疑った。海軍を矢面に立たせておいて、自分たちは身の安全を図ろうとするなんて、ほとんど裏切り行為だ。だが、彼女は荒廃した国土を見て、その怒りを何とか飲み込んだ。40

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「それで、コナモンリーグ、かしら？私はそこで、何をすればいいの？」「お嬢様には料理を作ってもらいます」「本当にそれだけ？」「可能であれば、深海イタリアの内情も探っていただければ。現地のレジスタンスと接触できれば、最善ですね」41

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「そう。なら一応、シュークリーム作りの練習をしておきましょうか」「ああ、それと、日本の提督もコナモンリーグに参加するようです」ウォースパイトが足を止めた。「日本の提督？」「ええ。東郷優月、食品輸入会社の社長に変装して現地入りしています。どうやら大会スポンサーのようですね」42

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「それは……面倒ね」ウォースパイトの知り合いだ。顔見知りとイタリアで出会うのはなるべく避けたいところである。「MI6に連絡を。顔を隠したまま料理ができて、艤装もそのまま装備できて機動性もある変装道具を手配して」「承知いたしました」43

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日本、横須賀第33鎮守府。45