めざせコナモンマスター ＃２

劉度 @arther456

テツヲの前には鉄板があり、その上には美味しそうな湯気を立てる赤いパスタが乗っている。「これはなんだ？」「鉄板ナポリタン」「ふむ、美味そうだ。１つくれ」「私も」「あいよー」テツヲはナポリタンをプラスチックのパックに詰め、粉チーズを振りかけると２人に渡した。22

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「箸とフォークどちらにいたしますか？」「箸で」「私はフォーク」トクさんには割り箸が、アキラさんにはプラスチックのフォークが渡される。２人は早速ナポリタンを口にした。「ふむ……これは」「あら素敵」ケチャップがパスタに上手く絡み、それをベーコンやタマネギが補強している。23

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「いいじゃないか。で、何がどうナポリなんだ？」「え、いや、それはその……」テツヲがしどろもどろになる。「……待て」アキラさんが真剣な声で遮った。彼女は振り返り、通りの向こうを見ている。不審な男たちが屋台に迫っている。顔つきが険しい。どう見てもコナモンを食べに来た様子ではない。24

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「トクさん」「ああ」２人は鉄板ナポリタンのパックを置き、男たちに向き直った。ある程度まで近付いてくると、男たちは手斧や出刃包丁、ハンマーを取り出した。「やっちまえ！」「ウオアァァーッ！」明らかに暴徒と化した男たちが、鉄板ナポリタン屋台に迫る！25

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「フンッ！」「グワーッ！？」アキラの右ストレートが先頭の男を返り討ちにした。「ヲ客ゥゥゥ！」テツヲが悲鳴を上げる。「"さん"をつけろよデコ助野郎！」アキラさんが叫んだ。「せいっ！」「グワーッ！？」トクさんが別の暴徒を投げ飛ばした。鉄パイプを奪い取り、暴徒たちに向き直る。26

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「オラオラァ！」「ぶっ壊せ！」トクさんとアキラさんの間を掻い潜り、暴徒たちが屋台を攻撃する。「ヲのれクライシス、ゆ゛る゛さ゛ん゛！」テツヲはようやくこれが妨害行為だと気付いたようで、暴徒たちと戦い始めた。「ダイナーパンチ！」「グワーッ！」吹き飛ぶ暴徒！27

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「キエーッ！」獣の病を抱えた暴徒が、棍棒を持って迫る！トクさんは振り下ろされた棍棒を避け、すれ違いざまに峰打ちを叩き込む！「オラァッ！」別の住民がアキラさんに背後から殴りかかるが、その前にアキラさんの鉄山靠が炸裂した！「10年早いんだよ！」28

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「駄目だ、こいつら強ェ！」「逃げろ逃げろーっ！」10人ほど倒されたところで、暴徒は尻尾を巻いて逃げ去った。「アキラ」「何？」「あいつらの後を追ってくれ。誰の指図なのか知りたい」「よしよし、それじゃあ追いかけてみましょうか」アキラさんは頷くと、暴徒の後を追いかけていった。29

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「ボクカワウソ！」イギリス代表、ボクカワウソ。得意コナモンはシュークリーム。上手くカスタードを手に入れたボクカワウソは、順調に売上を伸ばしていた。途中で暴徒が襲ってきたが、全員、自動迎撃モードの艤装に追い払われた。31

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「ボッ……？」ボクカワウソは近付いてきた奇妙な物体に気付いた。灰色の丸い駆逐艦、アンツィonちゃんだ。「どーもー、皆さん。アンツィonちゃんでございますー。おいピザ食わねえか」アンツィonちゃんは間合いに入るなりアツアツのピザをボクカワウソの顔に叩きつけた。32

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「Ouch!」ボクカワウソは身悶えするが、気を取り直しアンツィonちゃんにボディーブローを連打する！「あっ、ちょっ、痛っ」アンツィonちゃんは拳を抑え、体全体を回転させてボクカワウソの腕を捻り上げる！「No!」ボクカワウソの着ぐるみが危険な方向にねじ曲がる。33

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だが、寸での所で艤装がアンツィonちゃんに体当りした。「ヒャーッ！？」解放されたボクカワウソは、すぐさまアンツィonちゃんにマウントを取り、殴りつける。「マスコットなんだから可愛く戦いなさいよ！？」隣でたこ焼きを作っていたヴァリアントが思わず叫ぶほどのラフファイトだった。34

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提督たちは五十鈴の装甲トラックでアンツィオを走っていた。「龍驤、どこに行ったんだ？」タコを狩りにいく、と言ったきり電話がつながらない。「提督、あれを！」「なのです！」雷と電が指差した先には、金属球からタコの足が生えたような怪生物に囲まれた龍驤がいた。その胸は平坦であった。36

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「龍驤、大丈夫！？」「おう、提督！ボチボチや！ちょーっと数が多いけど、なっ！」龍驤は襲いかかるナマモノに向けて式神を放つ。提督は、その生物を知っていた。「き、忌雷！？こんなのもいるのか！」「なんや、知っとるんかキミ？」「気をつけて、龍驤！それは児気反応忌雷だ！」37

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「磁気反応機雷？」「違う、児気だ！児童のジ！」「なんやそれ」龍驤に聞かれた提督は、言葉を濁した。「ええと……言葉を選ぶと、10代前半を集中して狙う生物兵器だよ」「なんやそのロリペド機雷」「ぶっちゃけないでよ人がせっかく言葉選んだのに！？」38

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「ひゃあああ！？」叫び声が響いた。龍驤たちがそちらを見ると、通りすがりの潮ちゃんが忌雷と出くわしていた。その胸は豊満であった。「アカーン！機雷のストライクゾーンや！潮ちゃん逃げてー！」だが潮は腰を抜かして動けない。このままでは忌雷の魔の手にかかってしまう。39

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と思いきや、忌雷はこれをスルーした。「あ？」そして、遠くにいた龍驤をわざわざ狙ってきた。龍驤は式神をぶつけてこれを撃退した。「……あ？」「その、なんていうか」提督が申し訳なさそうに解説する。「正確には10代前半の体型の子を狙うんだって……」40

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龍驤は自分の胸を見下ろす。その胸は平坦であった。その周りに、忌雷はワラワラと集まってくる。龍驤は忌雷を蹴り飛ばし、壁に立て掛けてあった手斧を二刀流した。「ウチは実年齢23や！ナメくさりよって、全員まとめてカーネルの隣に沈めたるわーっ！」タコ狩りの昼が始まる――！41

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１回戦が終わった。勝ったのは龍驤、ガリバルディ、ヴァリアント、仮面ダイナーテツヲの4人だった。ボクカワウソとアンツィonちゃんは町を巻き込む戦闘を始めたので失格、港湾夏姫と水母水姫は材料不足で十分な量を作れなかった。43

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「つ、疲れたぁ……」一日中労働していたせいで、龍驤の体はクタクタだ。「二回戦は明日、ナポリで行われまーす。明日に備えてゆっくり休んでくださーい」司会のグレカーレの呼びかけで、一日目の戦いが終わった。選手も観客もホテルか家へ帰っていく。44

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「それじゃ、私らも行こうか、不知火」提督が促すが、不知火は動かなかった。「……提督、不知火はもう少しこの町を巡ってみたいのですが」「えっ？」意外だった。不知火が観光に興味を示すなんて、珍しい。「でも観光名所とかないよ、ここ？」「いえ、観光ではなく……」45

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不知火はトラックの荷台から、ノコギリ刀と散弾銃を取り出した。「狩猟を」「ひえっ……」不知火は怒っている。「け、ケガしないようにね……？」「ご心配なく。タコに遅れをとる不知火ではありませんので」その胸は平坦であった。忌雷、殺すべし。タコ狩りの夜が始まる――！46