「イヤミス」→「致鬱系」「抑圧推理」、「バカミス」→「笨格推理」、ミステリーのサブジャンルを中国語で表現する工夫!
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中国の本格推理作家、陸秋槎(りく しゅうさ、1988年生)さんの第2長編『雪が白いとき、かつそのときに限り』、2019年10月3日発売
【本文試し読み】 雪の学園、少女の死。中国発の本格ミステリ『雪が白いとき、かつそのときに限り』序章|Hayakawa Books & Magazines(β) @Hayakawashobo|note(ノート) hayakawabooks.com/n/n8a8bb8745dde
2019-10-03 17:12:16今日は私の長編第二弾「雪が白いとき、かつそのときに限り」(稲村文吾訳)の発売日。これは、雪密室・推理合戦・後期クイーン的問題などミステリーマニアの趣味に、青春物語の切なさと少女たちの関係性を無理矢理混ぜ合わせて、書きたい放題のような小説だし、自分の「青春の総決算」とも言える。 pic.twitter.com/Sma7iIPZz1
2019-10-03 19:32:40稲村さんの訳者あとがきにも言及したが、これは新本格の初期作品群の影響で書かれたもの。初期新本格といえば館や孤島や吹雪の山荘の印象が強いけど、実は「密閉教室」のような学園ものもあるし、本当の共通点はミステリーファンの青春を描くことだと思う。
2019-10-03 19:33:28この小説を書いた頃、中国の若者の中に「喪(ネガティヴ)の文化」がとても流行っていた。作中に表現される青春の不安定さと無力感はもちろん米澤穂信を代表とする日本文学の影響もあるけど、本当はものすごく現代中国的な感情かもしれない。
2019-10-03 19:35:19完全に最高なやつです。 日本の新本格ミステリに傾倒した著者による、もう二度と戻ってくることのない青春が蘇るような本格学園華文ミステリ──『雪が白い時、かつその時に限り』 - 基本読書 huyukiitoichi.hatenadiary.jp/entry/2019/10/…
2019-10-09 08:00:17陸秋槎さんの未訳の第3長編『桜草忌』
新作「桜草忌」絶賛発売中。 日本の少女小説・イヤミスと「日常の謎」の影響を受けて書いた青春ミステリですが、現代中国的な物語です。いままでの作品の中に一番悲しい話だとも思います。表紙は前作と同じで中村至宏先生が描きました。そして初めて自分の書道作品を口絵に載せました。 pic.twitter.com/jRMRpvwD6H
2018-08-06 19:43:43「イヤミス」について
長編『桜草忌』(未読)の後記で陸秋槎さんがイヤミスを「抑圧推理」と書いているのは面白い。中国語で「圧抑」は(作品の雰囲気が)重苦しい、などの意味で使える言葉。それをひっくり返して「抑圧」にしたのは、「抑圧」の中国語発音が「イーヤー」であり、つまり音も合わせたんですね。うまい。 pic.twitter.com/aqQG45wUll
2019-10-09 21:21:54- 中国語には「圧抑」(発音:ヤーイー)という語はあるが、「抑圧」という語は普通は使われない(少なくとも手近の辞書を見る限り)。
- 陸さんが生み出したイヤミスの訳語「抑圧推理」は「イーヤートゥイリー」という発音。
いや、中国語圏で「イヤミス」を普通はどのように表現しているのか、不勉強にして知らないのですが……。ちなみに写真には写ってないですが、『桜草忌』の帯には「致鬱系」と書いてあり、これも「イヤミス」の意味でしょうね。
2019-10-09 21:29:47@Colorless_Ideas しかしこの言い方あまり使われていないですね。逆に以前バカミスを「笨格推理」に翻訳したが、そっちの方がよく使われています。
2019-10-09 23:52:47「バカミス」について
「本格推理」という見た目の字面を残しつつも、「本」に竹冠を加えて「笨」(バカ、間が抜けている、の意)に変えることで、日本語の「バカミス」の意味を明確に表わしている。バカミス→笨格推理、まさに完璧な訳語! (発音は、音の上がり下がり[四声]が変わるだけ) twitter.com/luqiucha/statu…
2019-10-10 00:51:32「バカミス」を意味する中国語「笨格推理」は陸秋槎さんが生み出した訳語で、よく使われているとのこと。中国語の非母語話者からすると、「本格」(発音:bĕn gé)と「笨格」(発音:bèn gé)は発音要注意ですね。
2019-10-10 00:58:32台湾、香港の「イヤミス」
台湾では「イヤミス」を漢字でどのように表わすか。 台湾の編集者、翻訳家、そして小説家でもある林依俐さんが詳しく説明してくださいました。林依俐さんは台湾推理作家協会賞の最終候補に残ったこともある方です(その際の受賞作は林斯諺「バドミントンコートの亡霊」)。 twitter.com/elielinjp/stat…
2019-10-10 23:46:08[191009] 「イヤミス」は繁体字中国語圏では「致鬱系推理」(独歩文化)か「悒鬱系推理」(皇冠)とされるのが多い。しかし「致鬱系」という造語自体はアニメ界隈の発祥で、『魔法少女まどか☆マギカ』(2011)からこの言葉が確立したと。 twitter.com/Colorless_Idea…
2019-10-10 01:23:56[191009] 「イヤミス」は繁体字中国語圏では「致鬱系推理」(独歩文化)か「悒鬱系推理」(皇冠)とされるのが多い。しかし「致鬱系」という造語自体はアニメ界隈の発祥で、『魔法少女まどか☆マギカ』(2011)からこの言葉が確立したと。 twitter.com/colorless_idea…
2019-10-10 01:23:56- 独歩文化と皇冠は、どちらも台湾の出版社名。
[191009] もとは「治癒」と「致鬱」のダジャレがかかって「癒される同時に鬱になる」、「鬱=悲劇だけど癒される」の作品を指すものだが。台湾では独歩文化が真梨幸子の『殺人鬼フジコの衝動』を売り出すとき(2015)、イヤミスを表現するため「鬱になる」だけ借りて「致鬱系推理」にした。
2019-10-10 01:25:47- 「治癒」(発音:zhì yù)と「致鬱」(zhì yù)は、中国語では発音が同じ(音の上がり下がりも含めて)。
[191009] 中国語にはそんな間違ってはいないけど(むしろ読者へのアピールがダイレクトで非常に良いチョイス)アニメファンからはかなり違和感。治癒も何も何これ感…
2019-10-10 01:29:06