「本線へ車両を逃がす」ことはできたのか -長野新幹線車両センター浸水の件について82式後藤氏の考察-

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82式後藤 @type82gotoh

長野新幹線車両センター浸水の件、過去に鳥飼で行った「本線へ車両を逃がす」について考えたことを書き連ねてみる。なお、ワシの「守備範囲」での取扱いを基本に考えているので、実際は違うかもしれん。一部根拠が無いに等しいのがあるが、素人なのでご容赦願いたい。あと、超絶乱文雑文。

2019-10-14 00:57:18
82式後藤 @type82gotoh

まず、長野市穂保の千曲川堤防が決壊、あるいは浸水被害の発生し始めた時刻。NHKが10/12午前3時15分に、国交省千曲川管理事務所が長野市穂保の千曲川堤防が崩れ始めているのをカメラで確認しており、既に氾濫が発生していると報道している。

2019-10-14 00:57:38
82式後藤 @type82gotoh

また、国交省北陸地整局は午前6時に長野市穂保の千曲川堤防が決壊していると発表しているため、10/12の未明から明け方(午前3時~6時)の間で堤防決壊が起こったことは間違いない。

2019-10-14 00:58:00
82式後藤 @type82gotoh

千曲川堤防の決壊地点から長野新幹線車両センターまでの距離は、直線で約1.5km。浸水被害がどれくらいのスピードで発生するかは水量や土地の高さによって異なるけど、堤防決壊による浸水は、浸水深と浸水区域が急激に増加するとのことなので、距離的にも比較的短時間で水が襲ってきたと考えられる。

2019-10-14 00:59:08
82式後藤 @type82gotoh

なので、超テキトーに、決壊から30分後に車両基地へ水が流れてきたと考えると、水は平均時速3㎞(歩く速度程度)で流れてきた計算になるので、とりあえずこんなもんかで考えておく。

2019-10-14 00:59:24
82式後藤 @type82gotoh

堤防決壊時刻は10/12未明から明け方(3時~6時)。この時間、新幹線は基本的に列車が走っていない。そして、本線の架線は保守作業のため停電(き電停止)させていることがほとんど。なお、車両基地内は別系統からき電させているため、架線は加圧されている。このため、夜間の車両点検は問題なく行われる。

2019-10-14 01:00:16
82式後藤 @type82gotoh

ちなみに台風が来たときなどは、保守作業を中止して終夜き電を行う場合もある。これは、架線などに飛来物が絡まった時、加圧されていれば地絡が発生するため、飛来物を覚知しやすい(しかも、どこに飛来物があるかが具体的に分かる)というメリットがある。この取扱いを当日行っていたかは不明。

2019-10-14 01:01:03
82式後藤 @type82gotoh

未明から明け方に車両を本線に逃がそうとすると、き電停止が行われている場合は加圧を再開しなければならない。どこに列車を逃がすか輸送指令が即座に計画をして、電力指令は加圧が必要な区間を確認、そこで作業があるかを確認し、作業があれば全て中止させ現場を元に戻させなければならない。

2019-10-14 01:03:25
82式後藤 @type82gotoh

施設・信通指令も列車を逃がす区間の作業を全て中止させ、現地から撤収。保守用車が出ていれば、保守基地に戻すか、あるいは支障無い区間に逃がさなければならない。

2019-10-14 01:03:46
82式後藤 @type82gotoh

台風により保守作業が中止になっていればこれらは必要ないが、台風でも確認車だけは出るので、時間によっては既に本線を確認車が走っていることも考えられる。

2019-10-14 01:04:02
82式後藤 @type82gotoh

車両基地では休憩中(間違いなく就寝中)の運転士を叩き起こし、編成を指定して運転士を乗せる。起こしてから急いで準備させて運転整備して出発準備が完了するまで、本当はやらなければいけない手順を緊急的に省いても、最短でも15分はかかると思う。

2019-10-14 01:04:14
82式後藤 @type82gotoh

深夜未明から明け方にかけての時間、検修庫内では車両検査と清掃を施行中だったはず。長野では在姿状態でしか検査をしないはずなので、基本的に車両の部品を大掛かりに外すことはしてないはずで、検査途中でも車両を逃がさなければならないとなれば、どんなに長くても30分以内で元に戻せるはず。

2019-10-14 01:04:58
82式後藤 @type82gotoh

指令では輸送指令が必要な手続きを取り、列車を本線へ逃がすという運転手続きが要る。これも、とりあえず列車運行データを何でもいいので入力して信号を出すか、あるいは手動で信号を出してとにかく本線へ上げていくかにもよるけど、とりあえず何かしらの運転手続きは必要になる。

2019-10-14 01:05:19
82式後藤 @type82gotoh

指令に「車両水没の危機」の情報が入り、「本線へ車両を逃がそう」と即判断して、必要な運転手続きを行い、列車に信号を出すまで。これも緊急的に省けるものは省いたとしても、工務系が作業全て終了済みを即答したとしても、15分はかかるんじゃなかろうか。

2019-10-14 01:05:43
82式後藤 @type82gotoh

ここまで書き連ねたことを踏まえて、本線は終夜き電で作業は全て中止、確認車も既に収容済で、いつでも営業列車が走れる状態に仕上がっている。車両も整備が終わっており、いつでも営業に使えるとする。この段階だと、指令が運転手続きを行い、運転士を起こして回送を運転するという段取りだけになる。

2019-10-14 01:06:30
82式後藤 @type82gotoh

全ての段取りを同時並行で行ったとして、車両の本線避難決定から最初の列車運転開始まで最短15分で出来れば、超々好条件が積み重なった上で出来た超絶奇跡としか言いようがない。たぶんというか、絶対無理。自分の経験から考えても(こんな経験したことないけど)、テキトーに考えても1時間は欲しい。

2019-10-14 01:06:53
82式後藤 @type82gotoh

ちなみに、どこぞでよく行われる「タイムリートレイン」の運転も、割とパターンは決まっていてあらかじめ準備が出来ていても、「タイムリー運転決定」から「列車の発車」までは最短で30分は要る。30分で手配すると、ヘトヘトになる。

2019-10-14 01:07:31
82式後藤 @type82gotoh

運転手続き完了後最初の列車が出発。6分続行で運転すれば、10編成を1時間で本線へ避難させられる。「千曲川の堤防が決壊して車両基地も水没の危機」を決壊したその瞬間に判断して、15分で段取りできれば、最後の避難列車出発まで1時間15分。この時、氾濫した水はどこまで来てどこまで浸水しているか。

2019-10-14 01:08:52
82式後藤 @type82gotoh

実際は「千曲川の堤防が決壊したようだ」「水が構内に流れてきている」「基地が車両ごと水没するかも」の変化にそれなりにタイムラグはあったはず。「車両が水没する」と考えが至った時点から、車両を避難させる手続きを取ってる間に水没が始まったと思う。

2019-10-14 01:09:12
82式後藤 @type82gotoh

そうなると、急激に押し寄せる水で基地に勤める係員は身動きが取れなくなるだろうし、それこそ命の危機にもなると思う。「車両を守るために最後まで命を張って、落命した」は美談になるかもしれんけど、人の命は失われたら元に戻すことは出来ないからな。

2019-10-14 01:09:30
82式後藤 @type82gotoh

昼にも言ったけど、車両は金出せば直せるし、新しいのを買えるけど、人が死んで棺引きずって教会連れて行って金出しても、高貴なメロディーとともに死んだ人間が生き返るわけではないかんな。

2019-10-14 01:11:01
82式後藤 @type82gotoh

今回のケース、普通に考えても、千曲川が決壊した時点で車両を救うのは無理だったと思う。特に深夜未明にこういうことが起きると、即車両を避難とか難しい条件が並ぶ。営業時間帯なら、まだ時間は短縮できたのかもしれんけど。

2019-10-14 01:11:15
82式後藤 @type82gotoh

「鳥飼の時は出来たのに」というのは簡単だけど、そう簡単に「あの時出来たのに何で今回出来なかったんだ」とは言わないでほしいなぁ。

2019-10-14 01:11:28
82式後藤 @type82gotoh

どうしても車両を本線上に逃がすとすれば、千曲川の水位が上昇していることを覚知した時点で、堤防決壊を見越して長野の基地から本線上に車両を逃がしておくしかなかったと思う。それ、どう考えたって後知恵でしかないと思うわ。

2019-10-14 01:12:44
☝揚げぽよ☝ @mfuji810

夜中に動かすとかではなく、計画運休に入った時点で逃しておくべきだったのでは、という話かと思いますが… twitter.com/type82gotoh/st…

2019-10-14 01:13:49