すいこばなし【北方謙三水滸伝・楊令伝小噺集】10/19-27

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

金翠蓮「見事です。李巧奴さん」 李巧奴「…金翠蓮先生のおかげです」 金「先生なんて、年も変わらないんだから」 李「…」 金「学問の時はきちんとして、終わったらお友達のように接することにしない？」 李「いいんですか？」 金「もちろん！」 李「…」 金「今日はご飯にいきましょう！」 李「…」

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李「金翠蓮さんは…」 金「翠蓮でいいわ、巧奴」 李「…翠蓮は私のような女と一緒で嫌じゃないんですか？」 金「なんで？」 李「私の仕事は…」 金「…あなたの目はとても綺麗よ」 李「翠蓮？」 金「…夫にこう言われたの」 李「…」 金「人は自分で汚れるのであって、人に汚されるのではない、と」

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李「…」 金「おまけに、あなたは清いままだ、なんて面と向かって言われたら、あなたどうなる？」 李「…惚れます」 金「でしょう？」 李「…ありがとうございます」 金「私、あなたの目に見覚えがあるの」 李「それは？」 金「好きな人に何かするために努力している目よ、あなたは」 李「…分かる？」

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金翠蓮…夫の話で惚気続けた。 李巧奴…私だって安先生のためにやれば、きっと…

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晁蓋「これは一体どういうことだ？」 宋江「何でもこの世界の創造主がお生まれになられた日だという」 楊令「今日だけは、何でもありの日ということなのですね」 晁「立派になったな、楊令」 楊志「令！」 令「父上！」 済仁美「…」 令「母上！」 志「今日は三人、水入らずで過ごそうか」 令「…」

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童貫「お前が晁蓋か」 晁「もしや、童貫」 袁明「…」 洪清「…」 宋「袁明！」 童「今日だけは水に流しても良い」 袁「宋江とは国のことについて語らいたい」 宋「それは、いくらでも」 武松「…」 李逵「…」 洪「…」 袁「今日だけはやめよ、洪清」 童「合同調練をせんか、晁蓋」 晁「望む所だ」

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晁「おう、梁山泊が全員揃うと壮観だな」 童「見事な軍だ、晁蓋」 晁「次世代の者も揃っているぞ」 秦明「その顔の傷はどうした、容？」 秦容「気に入ってるんです、父上」 花飛麟「…」 花栄「何をした、飛麟」 郝瑾「父上の昔話を聞かせてください」 郝思文「お前も苦労してるな」 関勝「なぜだ？」

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岳飛「とんでもないところに来てしまった…」 林冲「お前は？」 岳「…岳飛です」 林「できるな」 岳「…何がですか？」 林「立合うか？」 岳「…」 林「…」 岳「…はい」 林「…裏へ来い」 岳「よろしくお願いします」 徐史「家の大将ときたら…」 索超「分かるぞ」 張平「我々同じ匂いがしますね」

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朱貴「久しぶりだな、藤木」 藤木「…いつの間にか、ここに」 朱富(何という腕前) 光武利之「俺はどこにいるのだ？」 大塩格之助「細かい事を気にするな」 内山彦次郎「利さんらしゅうない」 光「…格之助」 大「美味いぞ、利之」 光「それが、聞きたかった…」 川中「飲めるな」 晁蓋「お前もな」

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坂井「いい酒使い放題だ」 叶「ゴードンは？」 坂「めっきり不味くなっちまいましたよ」 叶「不味いのがいい」 樊瑞「…あんたとは、話が合いそうだ」 叶「…死神か？」 樊「魔王だ」 叶「…似たようなもんさ」 キドニー「出逢っちまったか…」 解珍「…」 高樹「…」 燕順「居眠りすんな、爺ども」

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董平「始めるぞ、お前ら」 楽和「…」 菜摘「私なんかでいいの？」 沢村「昔ならしてた口じゃないか」 馬麟「…」 燕青「…」 鮑旭「珍しいセッションですね」 王母「なぜ私を仲間外れにするのです」 鮑「母上！」 母「張平、あなたも」 張「！」 秋山「…」 安見「ママに惚れ直してるの、パパ？」

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安道全「そんな医療があるのか…」 ドク「…もう勘弁してくれよ」 薛永「錠剤はどうやって大量生産できるのですか？」 白勝「厄介なのに挟まれちまったか」 山根「あなたもでしょう？」 白「分かってるね、姉さん」 楊志「混ぜろ、林冲」 楊令「私も！」 林「…親子揃って返り討ちだ」 岳(ヤバイ)

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川中「不思議なもんだ」 キドニー「俺らは生きる時代も世界も違うのに」 晁蓋「全くそんな気がしない」 宋江「初めて会ったとは思えん」 楊令「こんなのもいいな」 岳飛「…」 楊「締めろ、岳飛」 岳「えっと…」 テムジン「北方先生！お誕生日おめでとうございます！これからもお元気で！」 岳「！」

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張平「気付かれるなよ、蘇端」 蘇端「なぜこうも、しょうもないいたずらを思いつくのだ」 張「昨日楊令殿は、俺たちにお菓子をくれなかった」 蘇「む！」 張「それはすなわち、我らのいたずらを選んだも同然」 蘇「確かに」 張「寝起きの楊令殿は隙だらけだから、我らの仮装衣装に身をつつむはずだ」

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楊「…」 張「今だ、蘇端」 蘇「!?」 張「なんだ！」 蘇琪「…貴様ら、楊令殿の着物に何をしている？」 張「しまった」 端「こいつがいた…」 張「…知らんのか、蘇琪」 琪「何を？」 張「楊令殿が、黒騎兵と青騎兵で仮装して宴をするというのを」 琪「…知らん」 楊「俺も知らん」 張「！」 端「！」

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楊「その衣装はなんだ、張平」 張「…かぼちゃの兜と、黒騎兵に準えた西洋の仮装です」 楊「…なぜかぼちゃなのだ？」 張「古の言い伝えで、悪魔と契約した男の頭がかぼちゃのようだから、それに準えました」 端(よくもまあペラペラと) 楊「…これをかぶればいいのか？」 張「はい！」 琪「楊令殿!?」

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楊令…かぼちゃの兜がジャストフィットしたが、衣装のデザインが気にいったので、ノリノリ。 張平…蘇琪のチョイスでよく分かんない虎の格好をさせられた。 蘇端…蘇琪のチョイスで斑猫の格好をさせられたが、郝瑾の仮装よりましだった。 蘇琪…耶律越里のフランケンシュタインがハマりすぎて爆笑。

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雷横「この店が美味いんだ」 朱仝「ほう」 宋清「名店の雰囲気がするな」 若者「いらっしゃいませ！」 雷「!?」 若「三名様ですか？」 雷「…おう」 若「あちらの卓へどうぞ！」 雷「…」 朱「雷横？」 宋「いきなりどうした？」 雷「…少し待ってくれ。動揺している」 朱「…あの顔、どこかで」

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宋「まずは酒を頼む」 若「かしこまりました！」 雷「…柏世という兵を覚えていないか、朱仝」 朱「覚えているぞ」 雷「…鄆城から逃げる時に、俺を助けてくれた部下だ」 朱「…あんな顔だったな」 雷「驚いたよ」 若「お待たせいたしました」 雷「…なあ、兄さん」 若「ご注文ですか？」 雷「…」

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雷「…また来るから、兄さんのことを柏世って呼んでいいか？」 若「柏世？」 雷「兄さんに、似てたんだ」 柏世「…分かりました。お客様は、」 雷「挿翅虎と呼んでくれ。あと、こいつの髭を覚えておけ」 朱「美髭公だ」 宋「ちなみに私は鉄扇子」 柏「かっこいいですね」 雷「よろしくな、柏世」

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雷横…他人の空似にしても、似すぎだぜ。 朱仝…ひ弱だったが、見事な兵になった奴だな。 宋清…鄧礼華のことを少しだけ思い出していた。

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史進「おい爺」 杜興「なんだ、小僧」 史「いたずらかお菓子か選べ」 杜「ふむ…」 史「…」 陳達(思いの外乗り気だぞ) 鄒淵(想定外だ) 杜「そうだな…」 史「…」 杜「もしお前のいたずらが卑猥なものだとしたら、去勢して…」 史「！」 陳(やべえことになった) 鄒(尻の穴が縮みやがった…)

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杜「菓子が卑猥なものだったら、断種するぞ」 史「…」 陳(菓子は確か曹正のソーセージに) 鄒(下品な細工した代物だ) 史「いかん！風が！」 杜「…」 陳(さらば九紋竜) 鄒(そもそもなぜこんな真似を) 杜「史進」 史「…」 杜「去勢か断種か選べ」 史「同じことではないか！」 陳(究極の選択だ…)

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杜「わしの堪忍袋はとうに破裂して胡散霧散して久しいが、もう許さん」 史「…」 杜「史進」 史「…」 杜「去勢か断種のどちらがいい？」 史「なにを言っている」 杜「ならば両方してやろうか！」 史「！！」 陳(鬼瞼児がついにキレた) 鄒(どうなる史進！) 杜「いかん風が！」 史「糞爺、お前もか」

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史進…まさか杜興が俺と同じ意匠で責めてきたとは… 杜興…鬼瞼児だからハロウィンはつい羽目を外してしまった。 陳達…すげえものを見た。 鄒淵…死んでも見たくねえもんだがな。