【マブラヴオルタネイティヴ/暁遙かなり】20191022プレイレポ #age20th

落陽の瞬間を迎えようとしていた2000年の日本帝国。だがそれでもなお、その先に夜明けの暁天があることを信じ、前線に身を投じる者達がいた。
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河畑濤士 @KWHTTS

「スティルランス、こちらチェリー。おいでなすったぞ」 その反対、南側にも突撃級が姿を現した。先頭集団約30体。90式戦車1個中隊目掛け、主力戦車も戦術機もみな等しく轢殺(れきさつ)する高速突撃――それを桜木曹長ら戦車兵は真正面から迎え撃った。 pic.twitter.com/5rcfdfDbTY

2019-11-03 14:11:05
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河畑濤士 @KWHTTS

時速約200㎞を超える歩武は、すぐ滞った。 第3世代MBTである90式戦車の国産FCSは画像認識により、突撃級の弱点となる被弾再生痕(装甲表面の丸い模様)を自動的に照準して射撃することが可能である。これにより突撃級の分厚い生体装甲を、真正面からでも容易に抜けるようになっている。 pic.twitter.com/dhvZUHcqUe

2019-11-03 14:13:34
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河畑濤士 @KWHTTS

「チェリー、スティルランス。援護する」 同族の肉塊で築かれた土手を踏み越え、あるいは死骸を吹き飛ばして前進する後続の突撃級であるが、障害物の突破に伴い当然ながら速度は鈍る。 そこを90式戦車の後方に立ち並ぶF-15J陽炎が、87式突撃砲上部に備えられた120mm滑腔砲で狙い撃った。 pic.twitter.com/vy1wlc9rSw

2019-11-03 14:16:41
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河畑濤士 @KWHTTS

「大したこと、ねーじゃん」 傍からこれを見ていた戦車中隊の直協に就く機械化歩兵らは、圧倒的物量差を寡兵で跳ね返さなくてはならないということで緒戦から死闘を覚悟していただけに、拍子抜けといった様子であった。言葉の端々からはきょうも生きて帰れるかもしれない、という期待が滲み出ている。

2019-11-03 14:19:18
河畑濤士 @KWHTTS

一方、98年の本土防衛戦や横浜ハイヴ攻略戦に参加した経験のある陸曹らは、無表情のままであった。 現状、進攻ルートが限定される市街地という戦場に助けられてはいるが、無残を晒す突撃級の骸の列と廃ビル群の向こう側では多くのBETAが群れを成していることであろう。

2019-11-03 14:23:29
河畑濤士 @KWHTTS

「スティルランス、こちらチェリー。要撃級90、戦車級も1000体以上が、突撃級の死骸の裏に迫ってきているッ」 「スティルランス、ストーム。こちらも同様だ。戦車級300」 この陸曹らの勘は正解であった。迎撃すると決めた時点で、神田が事前散布しておいたセンサー類は続々と敵の存在を報せてきた。 pic.twitter.com/Cr6XuKXQOK

2019-11-03 21:21:43
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河畑濤士 @KWHTTS

「浮足立つな」 神田は一寸も動じず、声色(こわいろ)も平静のまま言った。 「各自、現在地にて迎撃。いま送った位置までは後退も許可する。日高中隊(フレイル)と長谷川戦車中隊(サラマンダー)は側面防御。そろそろビル群を突破してくる」 pic.twitter.com/qwu0PTHSBT

2019-11-03 21:32:48
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河畑濤士 @KWHTTS

神田がこのとき最も恐れていたのは、真正面から突破を試みる要撃級・戦車級の群れではなく、市街地を突破したBETA群に側面を衝かれることであった。故に撃震12機から成る日高中隊と、90式戦車12輌から成る長谷川戦車中隊を控置した。 事実、正面から突進してくるBETA群に対し、さしたる苦戦はない。

2019-11-03 21:43:03
河畑濤士 @KWHTTS

要撃級や戦車級といった比較的に軟な連中が真正面から強襲をかけてきたところで、機関砲弾の雹暴狂飆(ひょうぼうきょうひょう)に薙ぎ倒されて絶命するのみ。 途中、桜木戦車中隊が戦車級に肉薄されるアクシデントもあったが、こちらは機械化歩兵が対処して事なきを得た。 pic.twitter.com/VsyHZUutKM

2019-11-03 21:50:26
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河畑濤士 @KWHTTS

「ひっ、日高大尉ッ――!」 その一方でやはり来るべきものは来た。 廃ビルを生体装甲に覆われた前腕で突き崩しながら突進する要撃級と、瓦礫を乗り越え乗り越え要撃級に追随する戦車級の群れが、側面の市街地を突破して姿を現した。 「先頭、要撃級60体、戦車級約1000体! 後続も要撃級多数ッ!」 pic.twitter.com/qWkYXDM9H4

2019-11-03 21:59:27
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河畑濤士 @KWHTTS

「いちいち数にビビらない!」 悲鳴混じりの報告をしてきた部下を一喝した日高大尉は、ふんと鼻を鳴らした。神田少佐の指示を受けて側面の警戒にあたっていたのは、このためではないか。いくら頭数が多かろうが、“想定内”の事態である。 「フレイル各機、砲戦距離を堅持!」

2019-11-03 22:08:35
河畑濤士 @KWHTTS

「フレイル、こちらサラマンダー。援護する」 日高中隊とともにこの側面に出現したBETA群に対処するのは、90式戦車12輌から成る長谷川戦車中隊である。 「目標敵群直上、弾種キャニスター。全中隊車、撃て!」

2019-11-03 22:13:00
河畑濤士 @KWHTTS

仰角をとった120mm戦車砲が放つ砲弾は、要撃級と戦車級が混濁する1000体以上の大群、その直上で弾けた。 爆風が異形の群れを圧す――と同時に降り注ぐのは無数の鉄球である。人外の背を抉り、脚を砕き、頭部を貫く。感覚器を失った要撃級や半身を失って転倒する戦車級が続出する。

2019-11-03 22:13:37
河畑濤士 @KWHTTS

120mmキャニスター弾(散弾)は徹甲弾ほどの貫徹力はなく、要塞級や突撃級に対しては無力であるし、飛散する弾子は要撃級にしても致命傷にはなり得ない。だがしかし、絶命に至らせる必要はない。脚の1本でももぎ取れば、それで連中の突撃速度は大幅に落ちる。 それこそが狙いだ。

2019-11-03 22:21:10
河畑濤士 @KWHTTS

密集陣形をとった1000体以上の敵群に対して、12発のキャニスター弾(散弾)は期待通りの働きをした。 BETAは絶対に味方を誤射したり、踏み潰したりしない。戦車級の混成で、ただでさえ要撃級が本来の機動力を活かせないのに、群れの中に次々と擱座する戦車級が現れれば、もう高速突撃は不可能だ。

2019-11-03 22:28:06
河畑濤士 @KWHTTS

「食い放題!」 「お前ら本当は弱いんだよ! 勘違いするんじゃねえ!」 身動きがとれない大隊規模のBETAに、日高中隊の突撃前衛・強襲前衛が36mm機関砲弾を撃ちかける。満足な機動をとれない相手に、一方的に攻撃を加えるような恰好だ。日高中隊の衛士達はただトリガーを引き続け、死骸の山を築く。 pic.twitter.com/guNIomYHbo

2019-11-03 22:36:05
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河畑濤士 @KWHTTS

だが日高中隊の前衛を務める第1小隊の衛士達は、数十秒後に不安を抱いた。 「こいつらッ――どれだけいやがる!」 事前散布の音震センサーが捕捉していたのは要撃級、戦車級の頭数のみで、実際には闘士級・兵士級といった小型種が彼らに多数帯同している。 敵の奔流が、途切れない。

2019-11-03 22:46:02
河畑濤士 @KWHTTS

「アルファ(第1小隊)、リロード(再装填)!」 「ブラヴォー(第2小隊)、カバーして!」 突撃前衛・強襲前衛の第1小隊が後退し、2000発格納の弾倉を交換する間は中衛の第2小隊が制圧射撃にあたる。衛士達の網膜に映るレーダー画面は、血液を連想させる赤いマーカーに塗り潰されていた。

2019-11-03 22:54:25
河畑濤士 @KWHTTS

「フレイル、サラマンダー。後続の突撃級は俺らがやる。逆に要撃級以下は頼む、直接照準じゃもう死骸が邪魔で狙えない!」 敵が切り拓いた市街地の突破口周辺は阿鼻叫喚の地獄絵図で、外殻と肉塊、体液がぶちまけられ、どれが死体でどれが活動個体なのかよくわからなくなっていた。

2019-11-03 23:00:10
河畑濤士 @KWHTTS

主力戦車の長所でもあり、短所でもあるのは全高の低さである。物量押しで来るBETAを撃破すればするほどその死骸が積み重なり、ついには戦車級をはじめとする小型種、酷いときには要撃級の胴体さえ狙えなくなる。 この戦場でも同様。長谷川戦車中隊は、もう小型種を素通しにするほかない。

2019-11-03 23:04:55
河畑濤士 @KWHTTS

「生きてるやつと死んでるやつの区別がつかねえ!」 しかし全高約18メートルの巨人が有する電子の瞳を通しても、風景は似たようなものである。衛士達はけばけばしい緑色の死骸や、転がっているタコめいた感覚器の合間に動くものを認めるや否や、反射的に36mm機関砲弾を叩きこんでいる状態だった。

2019-11-03 23:10:49
河畑濤士 @KWHTTS

が、実際のところこのとき最も危機的状況に立たされていたのは、日高中隊ではない。 「アックス各機ッ――フォーメーション・円壱型(サークルワン)!」 戦域北方で敵群と対峙していた川平中隊であった。 北には戦車級約1500体。南には市街地を突破してきた要撃級。絶体絶命の状況である。 pic.twitter.com/Ke4N2PKSC9

2019-11-03 23:16:51
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河畑濤士 @KWHTTS

「川平中尉、出撃前にアイジャン(※)やって当たり棒引いて運使い切りましたね」 「馬鹿言ってる場合か、チャーリーははぐれの要撃級を狙撃してくれ!」 「了解! 次はハーゲンダッツジャンにしておきましょう」 「こちらブラヴォー、ビルの陰から光線級ッ!」 (※)アイスを賭けたジャンケン。

2019-11-03 23:18:32
河畑濤士 @KWHTTS

窮地において川平中隊はやるべきことをやった。 87式自走高射機関砲12輌から成る五十嵐戦車中隊を逃すために踏みとどまり、それに留まらず日高中隊の側面を守るために、誰が見ても死地であるその場所に立ち続けたのである。

2019-11-03 23:23:34
河畑濤士 @KWHTTS

「アックス4、アウトオブアモー、ドローCIWS!」 空覆う暗雲が泣き出す中、77式撃震が突撃砲を棄てた。空間を埋め尽くす水滴を弾き飛ばし、背部兵装担架が跳ね上がる。爆砕されるボルト。破片舞い散る中、強制開放された74式近接戦闘長刀が撃震の手中に収まった。そのまま、天を衝く大上段の構え。

2019-11-13 18:12:32
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