労働市場の新しい見方?

ロスジェネ問題とは何か?
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伝左衛門 @yumiharizuki12

hamachanも言ってるけれど、日本の労働市場について包括的なレビューを書く人が少ないから小熊英二の本は当面、基本書になる可能性が高い。特に、「正社員需要はバブル崩壊後も安定しており、ロスジェネ問題は、90年代の急激な若者人口増加という供給事情で引き起こされた」という指摘は重要。

2019-11-06 16:11:14
伝左衛門 @yumiharizuki12

「ロスジェネ問題は供給側の変化で起こった」という内容は、2000年頃までに書かれたレビューには盛り込まれてない。そもそもロスジェネ問題が脚光を浴びたのは、赤木智弘が「「丸山眞男」をひっぱたきたい--31歳、フリーター。希望は、戦争。」を書いた2007年。

2019-11-06 16:17:15
伝左衛門 @yumiharizuki12

ところがリクルートの恒例の大卒有効求人倍率を見ると、その上下変動は求人数の変動によってもたらされてるように見えてしまう。これはどう解釈すればいいのか? works-i.com/surveys/adopti… pic.twitter.com/I4fUdJ4Ofm

2019-11-06 16:28:13
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伝左衛門 @yumiharizuki12

正社員比率が特に落ち込んでる世代はないとも言われるが、JILPTの年齢別正規雇用比率のグラフは、描き方がわかりにくい。「すべての年齢で非正規が増えてる」という印象しか得られない。 jil.go.jp/kokunai/statis…

2019-11-06 18:57:08
伝左衛門 @yumiharizuki12

正規雇用比率を同一コーホートで平成25年と平成30年(推定)で比べたものだが、「40歳前後までは非正規から正規への転換が進むが、40歳を越えると逆方向への転換」というパターンが観測される。赤木氏はこのグラフでは38歳に相当し、正規比率が人生でピークに達する年齢。mhlw.go.jp/file/06-Seisak… pic.twitter.com/I3tp9ohISi

2019-11-06 19:23:26
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伝左衛門 @yumiharizuki12

正規雇用はあまり減っていないと言われるが、男性についてはむしろ増えてる。自営業が減ってその分非正規雇用が増えたので「雇用者数に占める非正規の割合」が上がっているのである。いわゆる「派遣」は本当に少ないこともわかる。jil.go.jp/kokunai/statis… pic.twitter.com/JFBi7WsSo6

2019-11-06 19:36:25
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伝左衛門 @yumiharizuki12

女性は元々正規雇用が少ないけれど、数自体は安定している。ところがこの30年、非正規が急増して非正規雇用比率は50%を超えている。しかし、非正規雇用がもっぱら男性問題として語られるのがロスジェネ論壇やKKO論壇w pic.twitter.com/XYtEv5qTJk

2019-11-06 19:41:38
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伝左衛門 @yumiharizuki12

G氏が語るように無業者はむしろ女性に多いのだが、犯罪を含む派手な社会的逸脱が多いのは男性なので、男性問題として語られることが多いのだろう。 (「息子はリスク」)

2019-11-06 19:48:15
伝左衛門 @yumiharizuki12

まあ、これが定説。 <「非正規」雇用の拡大でこうした慣行の下にある被用者のシェアが低下したという反論が予想されるが、著者はデータ分析に基づいてそれも棄却する。確かに非正規雇用は拡大したが、正規雇用のシェアは安定し、非正規の拡大は自営業の縮小と対応している。>nikkei.com/article/DGXKZO…

2019-11-06 19:56:18
伝左衛門 @yumiharizuki12

<地域独占の場合、最賃が上がれば、企業はそれ以下の賃金で雇用していた労働者を、最賃をわずかに超える賃金で雇用するので、分布がその賃金水準でスパイクする。一方、競争的な労働市場では最賃より生産力が低い労働者が失業し、スパイクは起きない。>nikkei.com/article/DGXKZO…

2019-11-06 20:04:20
伝左衛門 @yumiharizuki12

このへんに「最低賃金は全国一律」論の根拠があるのだろう。 <雇用主となる企業が少ないことによる地域独占の存在は、最賃政策が正当化される最も強力な理論的根拠だ。この観点からすれば最賃政策のプラス効果は、労働市場が競争的な首都圏でなく地方で大きくなると大竹氏は予想する。>

2019-11-06 20:06:31
伝左衛門 @yumiharizuki12

とはいえ割と最近まで労働経済学者は、「最低賃金を引き上げると地方の雇用が失われる」と主張していた気もするのだが、あれは気のせいだったのか。

2019-11-06 20:08:14
伝左衛門 @yumiharizuki12

<日米のもう一つの大きな違いは、身体的非定型タスクのシェアが、米国では60年代以降一貫して減少したのに対し、日本では逆に一貫して増加した点にある。保安職や運輸職を想定すると理解しやすい。自営業セクターの衰退に伴う潤沢な労働供給と関係すると推測している。>nikkei.com/article/DGXKZO…

2019-11-06 20:18:41
伝左衛門 @yumiharizuki12

<自営業セクターから被用者セクターに労働者が流入し、被用者市場は継続的に潤沢な労働供給を受け続けたと考えられる。この現象のもう一つの表現が、非正社員の増加だったというのが筆者の別の持論なのだが、非正社員の拡大が日本において身体的非定型タスク拡大の受け皿になった。>

2019-11-06 20:21:43
伝左衛門 @yumiharizuki12

特定世代にやたら非正規雇用が多い、というグラフとかをネット上で発見するのはなかなか難しい。さらに40歳で正規雇用でもその後非正規への転換が進むらしいのも事実。「非正規だと老後心配なので正規雇用促進」という政策を政府が取ってるようにも見えない。

2019-11-06 20:28:41
伝左衛門 @yumiharizuki12

「ロスジェネは40歳になっても非正規だから老後が心配だから、安倍政権はこの数年、集中的に対策を打つ」みたいに報じられていたけれど、ロスジェネと関係なく40歳以降は正規から非正規への転換が進むことにはどう対応するのか?

2019-11-06 20:39:15
伝左衛門 @yumiharizuki12

中高年になると正規から非正規への転換が始まるのだから、中高年の既得権益が守られてる証拠もないよね。

2019-11-06 20:41:09
伝左衛門 @yumiharizuki12

ロスジェネ問題って実態として存在するのか怪しい気もしてきたw 研究者とか、明らかにある世代以降正規雇用が少なくなった職種があるわけだが、「非正規を正規にするために今の正規を解雇します」では解決にならない。

2019-11-06 20:46:57
伝左衛門 @yumiharizuki12

要は、このグラフ(男子)とにらめっこして、必要ならEXCELデータも付いてるので計算すればよい。すべての年で、正規雇用比率は40歳前後で最大化し、それより若くても歳とっても下がる。つまり40歳までに非正規から正規への転換が起こり、40歳超えると逆の転換が起こる。jil.go.jp/kokunai/statis… pic.twitter.com/oCgGSrgZKf

2019-11-06 21:15:29
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伝左衛門 @yumiharizuki12

ロスジェネの代表として1975年生まれの赤木智弘氏を考えると、彼は2018年に43歳である。つまり35~44歳の括りに入り、正規雇用比率の一番高い年齢である。同じ年齢括りの10年前2008年より正規雇用比率が下がってると思うが、急に変化した印象はない。10年括りが長すぎ5年括りで見るべき?

2019-11-06 21:30:49
伝左衛門 @yumiharizuki12

JILPTが公開してるEXCELデータは10年括りである。10年もあるとその間に景気のV字回復があって、就活成功者や正規転職成功者が急増して、就職氷河期があっても前後の好況で相殺されてしまう可能性が高い。

2019-11-06 21:31:42
伝左衛門 @yumiharizuki12

結局、長期で見ると、ロスジェネ問題は特定世代の人口急増という供給側の事情で引き起こされたのであるが、短期的には、民間需要が大きく変動して引き起こされたように見える。この矛盾をどう解決するか、ということ。

2019-11-06 21:38:52
伝左衛門 @yumiharizuki12

民間需要が大きく減少した年に就活した世代は初職で非正規雇用になりがち。しかし通常は就職後に非正規から正規への転換が進む。このペースが遅いと40歳なのにまだ非正規、というロスジェネ問題が起こる、と解釈すべきかな。

2019-11-06 21:41:51
伝左衛門 @yumiharizuki12

つまり、日本では正規就職チャンスは学卒時しかないというイメージに反して、転職市場の機能が重要で、通常は40歳ぐらいまでに正規転換するけれど、元々、非正規比率が高すぎたか、景気回復後の転職市場の機能が低くて、ロスジェネ問題として取り沙汰されるのだろう。

2019-11-06 21:45:22