加藤秀一『〈個〉からはじめる生命論』読書メモ集
- arishima_takeo
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「けだし損害賠償とは、本来あるべきだった状態を損なったことについて、その落差(マイナス分)を埋め合わせることにはかならない。すなわちそれは、二つの状態間の比較を要求するのである」(加藤秀一『個からはじめる生命論』)。それな。
2019-11-14 11:11:42反出生主義批判での、存在と非存在の比較そのものがナンセンスという主張を受け入れるのならば、現在行われている様々な損害賠償も不可能になるのでは、という気がするんだな。
2019-11-14 11:13:13「時間様相に関係しない一般的な人間類型を立てて、それに対する環境破壊の影響を推し測ることから、その相対的な善悪を判断することができる」(加藤秀一『個からはじめる生命論』)。ここよく分からない。功利主義や生命倫理への不満が時間軸の欠如に由来していたのでは。
2019-11-14 16:11:58「ある人の存在を前提にして、その人に対する外部からの影響(環境破壊や怪我・病気をさせること等)を問題にすることと、ある属性(それが障害であれ何であれ)と不可避に結びついた出生=存在そのものを問題にすることは、まったく別々のことなのだ」(加藤秀一『個からはじめる生命論』)。うーむ。
2019-11-14 16:16:41「生命」は倫理の平面ではない。あらゆる生命を無条件で肯定することーーこうした美しいスローガンを私たちは嫌というほど目にしてきた。だがそれを本気でいった人はほとんどいなかったし、まして真にそのような思想に立脚して生きた人など一人もいなかったことは明らかだ。by加藤秀一
2019-11-14 18:46:20生殖技術の利用によって、人類からはみだす「新種」が生まれることなどを待ちわびる必要はない。あえて乱暴にいえば、一個の人とは、それだけですでに一個の「新種」であり、空前絶後の「怪物」なのだから。by加藤秀一『個からはじめる生命論』
2019-11-14 18:49:04「生命は流れ、種は自らを再生する。それは事実である。だがそれと同時に私たちは、来たるべき子どもたちに、かつて親などというものはいなかったかのようにふるまうことを教えることができるのである」(加藤秀一『個からはじめる生命論』)。カッケー。
2019-11-14 18:57:10加藤秀一『〈個〉からはじめる生命論』読了。面白かった。「未来の他者」論(柄谷行人&大澤真幸)批判は私が繰り返してきたところだし、非在者の語り=騙り批判も含め、「誰か」の大地から離陸しない姿勢は非常に共感した。他方、反出生主義まで斥けられるのかというとちょっと躊躇が生じる。
2019-11-14 19:07:02というか、この立場を採ると当然反出生主義も通せないが、多くの人々はこれを採らず必ずや「誰」から「何」に逸脱する、言い換えればアレント的「誰」を「何」の否定態として理解されることの問題が残存している気がする。『新体系』の言葉を借りれば「誰」は「何」の破れという点で「何」に依存する
2019-11-14 19:11:40加藤さんの立論は九鬼ベースの話だけど、関係主義は「間柄」という危険な誘惑、和辻への転落(!)があるはずで、ここからどういうふうに九鬼に戻ってくるのか…といってもいい。
2019-11-14 19:14:30