『反出生主義を考える――「生まれてこないほうが良かった」という思想』読書メモ集
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arishima_takeo
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『現代思想』反出生主義特集。森岡戸谷対談で「生まれてこない方が良かった」は誰の視点から言ってるのか問題。自分は自分の誕生を呪うかもしれないけど、自分の誕生で喜ぶ奴もいる、反出生主義はそいつらの喜びも奪おうとする暴力なのではないか、と。p14
2019-10-29 18:32:16
ベネターからの反論は多分容易で、①そいつらの喜びでオレが我慢しなきゃいけない理由なんなん?、②そもそも生まなけりゃ喜びと反対の不快も生じないんだからいいんじゃね?的な。
2019-10-29 18:34:35
反出生主義特集。小島和男論。「私たちは分からないかどうかもまた分からないのだ」(p88)。これはいい言葉だ。
2019-10-30 07:30:42
p90。完全な責任をとることができない問題。これもいい。ベネター はぶっ飛んでるように見えるけど、ある意味「無限責任」(レヴィナス)をとるとはどういうことか、の具体的ヴィジョンでもあって、むしろ、あらゆる責任が限定責任にならざるをえないことを悟らせるレッスンでもある。
2019-10-30 07:38:55
無限責任とはここでは「ある責任を限定化させたこと」への自己責任(自分に対する自分への応答)になる。
2019-10-30 07:41:40
反出生主義特集。鈴木論。ベネター は福利の問題を考えていながら、福利の主体は誰かを問わない。これは彼の非対称論を崩すのではないか。冒頭の「生まれてこない方が良かった」は誰の視点からいってるか問題とも通じる。p120
2019-10-30 11:59:24
こういう批判はありうるだろう。ただ、これを採用すると、世代間倫理とか「未来の他者」みたいな概念にも大きな反省を迫るように思うのだが。あるいは、個人を超えた種や類の概念を頼りにするか。
2019-10-30 12:02:04
「ナッツとドライフルーツは一緒に食べて初めて互いのよさが分かるというものだ。反出生主義とヨナスはそうした関係にあるのではないだろうか」(戸谷洋志「ハンス・ヨナスと反出生主義」)。分かるようでよく分からん比喩だ(笑)。
2019-11-02 13:52:18
「ベネター は「害悪を与える人々や社会状況」(白人や奴隷制)を改善しようとするのではなく、「害悪を被りうる存在」(黒人奴隷)を消去する世界に向かおうとしている」(小手川正二郎「反出生主義における現実の難しさからの逸れ」)。うーん、そうかなあ。
2019-11-02 14:08:15
存在消去の方向自体はそうだと思うけど、その方向が、状況改善の要求を無効化するかどうか。別に二者択一に捉えなくていい…し、ベネターも捉えていないのでは?
2019-11-02 14:13:02
例えば、彼がいう本来は生まれてこない方がいいけど自殺までする必要はない論とか、絶滅は一気にするより漸進的であった方がいい論とかは、状況改善の努力をふくんでいるんじゃないの?
2019-11-02 14:13:46
児童が虐待されやすいこのクソみたいな世界に産まれてくることはマジでファックなんでやめたほうがいいけど、だからといって、現在行われている児童虐待を放置していいことにはならない…ごく普通の主張のようにおもうのだが。
2019-11-02 14:16:01
小手川さんの密輸された形而上学批判は、ベネター に限らず、英米系一般に言えることなんじゃないかって気がするね。論理パズル問題といいますか。
2019-11-02 14:21:58
「そこには、自分がコントロールできるものだけを相手にしていれば、倫理的に正しくあることできる(逆に言うと、コントロールできないものには係わったりすべきではなう)とみなす信念が透けて見える)(p187)。「が」が抜けてますね。
2019-11-02 14:31:37
橋迫瑞穂「反出生主義と女性」。反出生主義の「マチズモ」(p193)とスピリチュアル市場と表裏一体の「「産む性」と生まれた人間との葛藤」をめぐる反出生主義人気(p195)はどういう関係にあるんだろうか。つまり、葛藤を克服したいからマチズモに走る…みたいな?
2019-11-02 15:09:55
ん、もしかして、女性版超越性がスピリチュアル市場だとすれば、男性版超越性が反出生主義って理解でOKなのか?
2019-11-02 15:13:47
反出生主義特集。産む/産まないの論点に集中しているわけだが、そもそも1カップルで2人以上産まないんだったら、人類の漸進的絶命には然りって言ってるわけで、極論いえば子供産んで育てながら反出生主義者であることも可能なのでは、とか思わなくもない。
2019-11-02 15:57:58
ただ、「子供をつくることは道徳的に悪である」論の吟味と、「子供を二人以上つくることは道徳的に悪である」論の吟味はまたちょっと違うのかな、という疑問はメモしておこう。
2019-11-02 16:02:40
「人間の人口を減らす提言をしているハラウェイの姿勢を、優生学や反出生主義のひとつのヴァリエーションとみなし糾弾するという誤解はアカデミアの書評にまで溢れている」(逆卷しとね)。へぇー。
2019-11-02 16:05:27
『現代思想』反出生主義特集だいたい読み終わった。私の関心では加藤秀一「「非同一性問題」再考」の「事前の視点/事後の視点」を咀嚼する必要がある。意外と鶴見の「期待/回想」の時間論とも通ずるかもしれん。が、同著者のこれよりもより完成された論考があるような気も。
2019-11-02 16:21:26