中村医師が成し遂げたアフガニスタンの農地復興と歴史上の農地開拓の類似について

アフガニスタンで長く医療活動と平和復興の社会運動に活躍された中村哲医師が、2019年12月4日テロリストの攻撃に遭難し、亡くなられました。中村医師が行った農地復興について、歴史上の中央アジア等での農地開拓に関連しての解説です。
中央アジア 中村哲 世界史 社会
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2019年12月4日、アフガニスタンで長く平和と復興の為に活動されていた中村哲医師が、現地武装勢力の攻撃を受け亡くなられました。
NHKニュース @nhk_news
【速報 JUST IN 】アフガニスタンで銃撃された中村哲医師死亡 #nhk_news www3.nhk.or.jp/news/html/2019…

中村医師は医療による活動に加え、農地を復興することで貧困と戦闘を根絶させる活動を行っていました

Pomo Rosso @pomo
亡くなった中村医師の砂漠に水を引いて農地にする活動は以前NHKの番組で知ったんだけどこの2005年と2015年の比較写真とかを見るとほんと信じられないような偉業を成し遂げてるんだよな 悲しい images.app.goo.gl/PZXDBzkQf2iJLV…
【中央アジアの歴史上の農地開拓についての解説】

強い日差しと少ない降雨による塩害のため、自然のままでは土地が荒廃するが、水源地から水路(カナート)を引くことで土地を肥沃な農地に変えてきました。その歴史上の解説です。

もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
中村医師達が活動したジャラーラーバードを州都とするナンガルハール地方は、首都カーブルとパキスタンのペシャーワルの間にある地域で、どちらかというともうカシュミール地方に属す様な感じの処だけど、大きく言えば(アフガン全体が)広義のホラーサーン地方に属し、ジャラーラーバードはその最東部。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
中村医師が2000年代に入るくらいから続けられたナンガルハール地方を中心とした緑化運動は、土木工事の素人が悪戦苦闘しながら現地の人々を先導して推進して10年も経たずに荒野を田園に変えた訳だけど、実は、これがアフガンを始めとする中央アジアの田園の特徴だったり。 twitter.com/pomo/status/12…
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
で、これらの地域は中央アジアやイラン等の隣接地域と同様に乾燥地域でかつ高原性の気候になるんだけど、緯度的には温帯(のやや南寄り)に属すため、実は土壌の塩化問題さえクリア出来れば、あとは大規模に水路を引いて開拓すれば、幾らでも農地が拡大出来る様な環境だったり。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
これが、かつてホラーサーン地方がイラン高原周辺の諸政権を支えた底力であって、「この開墾すればするだけ農地が拡大出来る=税収国力が上がる」という同地方の強みでもあった。具体的には古のサーサーン朝や或いはガズナ朝、ゴール朝、或いは古代のクシャン朝等もそうだったかもしれない。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
ただ、こういう大規模耕地の開拓は、初期投資が凄まじく掛るため、ちょっとやそっとの事ではなかなか出来る事ではなく、大地主か政権を主催する王侯貴族が資力と人員を可能な限り投下して水路や耕地整備を行うものだった。こういった大規模耕地開拓が出来る様な人士が、
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
デフカーン dihqān と呼ばれた大地主・地方有力者達であり、「人の住めない荒地」biyābān を「人が住める様な農耕地や居住地」ābādān や或いは「田園」bāgh に変える事、即ち巨大な初期投資が巨大な耕地収益として返って来るこのような構造こそ、前近代のこれらの地域資本の基本でもあった。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
つまり、実は中村医師のこのような活動は、少し前の時代のデフカーン達や王侯貴族達が行って来た伝統的な土地開拓のセオリーを、知って知らずか踏襲したものだった感じだ。要は一昔前なら中村医師は「デフカーン」と言って差し支えない感じの事をやった訳だけども、中村医師達は農耕収益そのものよりも
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
現地の緑化と現地住民の生活基盤の整備のために、これらの事業を行っているため、そこがすこぶる現代的な特徴であり、前近代のそれと大きく違う点だろうか。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
数年前に、この緑化が達成されかつての荒野が農耕地に変わっている写真を見て、 「資料に出て来る様な『ビヤーバーン(荒れ地)をアーバーダーン(人の住める農耕地や居住地)に変える』という表現を、実際に目の当たりに出来るとは!」と大変驚いたものだった。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
ただ、こういった地域の開拓地・農耕地は、政治的な情勢等の如何で「数年で荒れ地が農耕地に変わるのと同じくらいに、あっという間に農耕地が元の荒れ地に戻る」のも、歴史的に繰り返して来た話でもあって、中村医師や現地の人々の努力の成果が今後も持続するかはアフガンの情勢如何に寄る話でもある。

例えばアラビア半島のイエメンでは、農業用水の発達により平和な時は大農業国として食料を生産しておりましたが、近年の内戦とサウジアラビアの軍事攻撃により農業用水が破壊され、現在は深刻な飢餓が同国を襲っています

AFPBB News @afpbbcom
国連(UN)の食糧農業機関(FAO)、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)、世界食糧計画(WFP)は8日、共同声明を発表し、内戦が続くイエメンで約2000万人が深刻な食料不足に直面していると明らかにした。afpbb.com/articles/-/320…
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
そういう事をつらつら思い返しながら、改めて不帰の人となられた中村医師のご冥福を篤く御祈りする次第である。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
>中村医師達の緑地 最初に医師らがここを開拓するーとか言った頃の荒れ地を見て、ああーなんだか大昔に農耕地だったっぽい感じの平坦な地形だなーしかしここに川から無理矢理水路引っ張って農地にするとか、川下の人達と水争いにならんと良いけどねぇ…みたいに不安になったのを思い出すのでござるw
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
地図で見ると分かるけど、首都カーブルやジャーラーラーバード等の周辺地域をよく見ると周囲はアフガン中央のゴール山塊やパキスタン国境とのヒンドゥークシュ山脈に囲まれていて、中村医師達のグループが耕地開拓の為に引っ張って来た水源は、これらの山岳地域からの河川。 twitter.com/noroUE4/status…
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
中村医師が2000年代に入るくらいから続けられたナンガルハール地方を中心とした緑化運動は、土木工事の素人が悪戦苦闘しながら現地の人々を先導して推進して10年も経たずに荒野を田園に変えた訳だけど、実は、これがアフガンを始めとする中央アジアの田園の特徴だったり。 twitter.com/pomo/status/12…
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
で、こういった河水は、早い話しが3000m〜5, 6000m級の高山の氷河とかの雪解け水を水源する河川で、実はこれらも90年代くらいから旱魃に晒されていて、既存の河川・水源が枯渇気味なのが問題とされて来ていたり。これは近年隣接するインド北部やパキスタン北部でも深刻な問題になっている。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
なので、これも実を言えば、中村医師達が河川から直接水路を引っ張って来て耕地開拓したのは結構な賭けで、水路工事を始めた当時は結構なごうごうとえらい水量を誇る河川だったけど、この水量が今後も継続するかどうかは近年の気候変動的に分からない、というなかなかきわどい綱渡り状態な状況だった。
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh
幸い、今の所耕作が継続出来ない程の河水の枯渇に悩まされた云々みたいなニュースは聞かれないので、中村医師達は賭けに今の所勝てている状況。一応、カーブル側水系の上流地域にあたるので、多分大丈夫だろう、という目算があったと思われるけども、ヒマラヤやパミール、ヒンドゥークシュ山系の氷河の
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コメント

ほしの @hoshinospw 2019年12月7日
中村医師の偉業に関して、もんけさんによる中央アジア等での歴史上の農地開拓の解説ツイートをまとめさせていただきました
もんけ(歴史) @mongkeke_tarikh 2019年12月7日
まとめ、ありがとうございますー しかし、ただのぶら下がりついなだけなのに、こんな噂のぱずり○ーまんなふぁぼついな事になろうとは思いもしませんでしたw >改めてご冥福を御祈りします
OOEDO @OOEDO4 2019年12月7日
まとめお疲れ様です。一覧性を増すため、もし可能なら「中村哲」のタグをお加えいただけないか、ご一考ください (  https://togetter.com/t/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E5%93%B2 のように関連まとめが読めるようになるので )/あと 最初の 『仲村医師は医療による活動に加え…』が「仲村」となっています、お知らせまで
ほしの @hoshinospw 2019年12月7日
OOEDO4 タグの追加と誤字の修正を行いました。ありがとうございます。
OOEDO @OOEDO4 2019年12月7日
12月7日 Eテレ 午後11時00分~ 午前0時00分 ETV特集・選 追悼 中村哲さん「武器ではなく 命の水を」https://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2019-12-07/31/19642/2259690/
Untermensch @Unterme25818854 2019年12月7日
結局、地域に政治的安定を齎せられる権力が無いとあかんってことやね。
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