レミリアとクリスマス~くりこしょう~

くりこしょうの季節。 レミリアが毎年クリスマスにくしゃみ鼻水がとまらなくなるだけ。
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ハチ🐾 @hachisu716

クリスマスの時期のクリスチャンの敬虔で清浄な空気にアレルギー反応みたいなのが起きて、人で言う花粉症みたいな感じになってくしゃみばっかして鼻ずるずるしてるレミリアとかよくない? ずっとマスクしてるの

2017-03-11 20:45:53
ハチ🐾 @hachisu716

で、一件悪魔としての格が低い小悪魔のほうが重度の症状を呈しそうだけど、意外にもレミリアのほうが症状が重くなっているといいと思います

2017-03-11 20:48:35
ハチ🐾 @hachisu716

むしろ悪魔としての力が強いほうが、聖なるエネルギーにアレルギー示すって理由と、吸血鬼っていう種族がチート的に強大な力を持つ反面で、弱点に対してはめっぽう弱いという性質を持ってるため、とか

2017-03-11 20:52:02
ハチ🐾 @hachisu716

んで、むしろ悪魔として未熟な小悪魔のほうが聖なるエネルギーに対してダメージを受けにくい。つまり悪魔としての属性値が低いため。 人間でいえば、花粉症は花粉症でも軽度で、意外とけろっとしてるストレスフリーな人がいるような。

2017-03-11 20:54:18
ハチ🐾 @hachisu716

だからレミリアがぶえっくしょいぶえっくしょいとくしゃみをして目をしょぼしょぼしてる傍らで、小悪魔は意外とピンシャンしてる。 小悪魔「お辛そうですね……」 レミリア「お前、目鼻つらくないの? マスクしてないけど」 こあ「割と調子のいい日は平気なんです。少し鼻の通りは悪いですけど」

2017-03-11 21:00:55
ハチ🐾 @hachisu716

ちょっと鼻をすんとならして苦笑する小悪魔。 確かに、ほんの少し目鼻は赤いようだ。 でも、自分はこんなに目と鼻を取り出して洗いたいほどにぐずぐずなのに、それほどの軽度ですむとは。 レミリア「えーーっ……マスクしなくてもいい日とかあるの……いいなあ……」

2017-03-11 21:03:43
ハチ🐾 @hachisu716

信じられない、という貌で弱々しく頭を振ったレミリアは、また、へっくしょい! と派手なくしゃみをさせられた(と彼女はこう言う。したくもないのに、アレルギーによってさせられるので)あとに、またズルズルと鼻をすすりながら目を手の甲でぐしぐしとこすり、よろよろと歩いていった。

2017-03-11 21:06:47
ハチ🐾 @hachisu716

また別の時間。 目や鼻を取り出して洗いたい? ティッシュで鼻をかみ、つかの間の清涼感を勝ち取った瞬間、レミリアはふと思い付いた。 ああ、なんだ。私はそれが出来るんじゃないか、と。

2017-03-11 21:08:43
ハチ🐾 @hachisu716

@hachisu716 咲夜「あら」 主人の部屋にあたたかい甜茶を持って入ってきた咲夜は、ふと足をとめた。 彼女が茶器をおくつもりだったテーブルの上に水盤の中が置かれており、三匹の蝙蝠がぷかぷかと水浴びをしている。

2017-03-11 21:17:52
ハチ🐾 @hachisu716

レミリア「〈右目〉、〈左目〉、〈鼻〉」 何処からか声がしたと思ったら、目を凝らせば水盤の先の暗がりに主が立っていた。 ただ不思議なのは、なぜか小さな頭を覆うようにすっぽりと紙袋をかぶっているところだろうか。

2017-03-11 21:22:07
ハチ🐾 @hachisu716

レミリア「ちょっと洗浄中でね。貌は、隠してる。見られない姿(なり)になっているからね」 咲夜「気にしませんのに」 笑いながら、咲夜は水盤の中の蝙蝠を覗き見た。 どの蝙蝠が主のどのパーツなのかは分からないが、どの子もきゅーっと目を細めて小さな三角耳をちょこちょこと動かしている

2017-03-11 21:24:24
ハチ🐾 @hachisu716

ただ、やはり基のレミリアがそうであるように若干鼻の通りが悪いらしく、ピスピスと小さな鼻を忙しげに鳴らしてはいた 咲夜「なるほど、考えましたねえ」 時折パシャパシャと水飛沫を弾いて羽搏き、ぷかりぷかりとペンギンのように浮かんで漂っては、また水盤の硝子にことんとぶつかって進路を変える

2017-03-11 21:30:06
ハチ🐾 @hachisu716

水盤の縁に鉤爪をかけて身を乗り出した一匹は、ふんふんと咲夜の甜茶の匂いを嗅ぎ取っているようだ。この蝙蝠が、彼女の〈鼻〉だろうか。 レミリア「むしろ何でもっと早く思い付かなかったんだろうと思ったよ。……やっぱりこの時期はいまいち頭の働きも鈍いな」

2017-03-11 21:34:05
ハチ🐾 @hachisu716

紙袋ごと頭を振ったレミリアは、ガサガサと音を立てる。 咲夜「蒸れませんか? 取っても大丈夫ですよ」 くすりと笑う咲夜。大体、目鼻がない貌なんて今さら驚かない。 厨房では、目鼻のある食材からそれらを日常的に削いでいる。

2017-03-11 21:37:50
ハチ🐾 @hachisu716

レミリア「私が恥ずかしいし」 ぼそりと云っていじけたような仕種で爪先で絨毯を軽く叩いたレミリアは、咲夜に(紙袋の貌が、恐らく)向き直った。 レミリア「ところで、それってお茶? 変わった匂い」 咲夜「ええ、甜茶です。花粉症に効くんですよ。鼻がよく通ります」

2017-03-11 21:44:11
ハチ🐾 @hachisu716

レミリア「いや花粉症じゃないんだけれどもな……」 と呟くレミリアに、 咲夜「クリスマス粉症?」 レミリア「うーん……」 それもどうだろう。呼び方を聞かれても困る。腕組みしてレミリアは考える。

2017-03-11 21:46:13
ハチ🐾 @hachisu716

レミリア「何とでも呼んで」 アレルギー症状のせいで、思考に時間をかけるのが億劫なレミリアは、考え込んですぐ打ち切った。 咲夜「じゃあ、短く呼んで、クリ症。クリ症で」 レミリア「う、ううん……」

2017-03-11 21:49:01
ハチ🐾 @hachisu716

なんかちょっと厭だな、とレミリアは思ったが、好きにしてと云ってしまった手前、否という事も出来ない。 それでもレミリアのそんな微妙な表情を紙袋の外から的確に読み取った咲夜は、もう一度考えて小鳥のように小首を傾げた。 咲夜「じゃあ少し長くして、クリ粉症。クリ粉症で」

2017-03-11 21:51:46
ハチ🐾 @hachisu716

レミリア「くりこしょう」 つい反復して繰り返してしまう。 長くしてってそんなに変わらないじゃない、と思いつつも、クリ症よりはレミリアの中の許されざる一線を越えてないというか、語感がマシになったような気がするので、それでいいことにした。 レミリア「うん。それでいいや……さてと」

2017-03-11 21:54:29
ハチ🐾 @hachisu716

お茶を飲むのなら、貌を出さないとね。 そう云って、レミリアはパンと両手を自分の躰の前で合わせた。 水盤の中で遊んでいた蝙蝠たちはぴっと耳を立て、漆黒の眸を丸くしながら、音もなく飛び立ってレミリアの貌へと向かっていく。

2017-03-11 21:56:42
ハチ🐾 @hachisu716

紙袋を片手で持ち上げて外したレミリアは、ぷはっ、と息をついた。 そして満足そうにすっと深呼吸をした。 レミリア「あーーーーっ、気持ちいい! すっごくスッキリした! 今何処も痒くないし、鼻も詰まってない!」

2017-03-11 21:59:01
ハチ🐾 @hachisu716

そして満足そうに深呼吸を続けた後に。 レミリア「ひえっくしょい!」 盛大にくしゃみをした。 咲夜「まあ」 また元のアレルギー症状で鼻をぐずらせたレミリアが、充血で赤い眼でいそいそとポッケから新しいマスクを取り出して装着する。 咲夜「……残念でしたね」 レミリア「一瞬だった……」

2017-03-11 22:01:35
ハチ🐾 @hachisu716

咲夜「クリ粉症、可哀想に」 もうその名を使い始めた咲夜に何を云うのも面倒で、レミリアはもごもごとマスクの中で礼を云うと甜茶の入ったカップを盆から取り上げた。 ずずっと口に運ぶと、変わった甘味の、変わった甘い香りが鼻の中をあたため、通り抜ける。 レミリア「変わったハーブだね」

2017-03-11 22:06:29
ハチ🐾 @hachisu716

確かに鼻が悪くても、この香りは分かるみたいだ。 咲夜「薬草茶です。100パーセント」 一体なにが100パーセントなのかは教えてくれない。咲夜のお茶で時折痛い目を見ているレミリアは、まともなお茶なのかふと不安になる。 咲夜「薔薇がですよ。バラ科の甜茶は効くのです」

2017-03-11 22:13:47
ハチ🐾 @hachisu716

レミリア「ふぅーん……ぞうだんだ……」 ズルズルもごもごと返事をしながら、レミリアは100パーセントらしい甜茶を飲んだ。 花粉症に効くからといってクリ粉症に効くとは限らないと思うけれども、これも咲夜の好意なのだからありがたく受け取っておく。

2017-03-11 22:22:55