フォースで風の谷を救えなかった本当の理由

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スター・ウォーズは、主人公が冒険活劇の旅に出るまでけっこう時間がかかっています。何しろ本人がなかなか腹をくくらない。 pic.twitter.com/x8wrFlHLhi

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２）亡き父は実は天才パイロットで天才剣士、自分を昔から知ってくれている老賢者、救助を希うプリンセス、父の遺品たる勇者の印・光剣、本人も宇宙パイロット志願者…これだけの好条件がそろいながら、ルークはなお二の足を踏む。 pic.twitter.com/3Sjq5n40aS

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３）そこでルーカスは、裏技を使う。家族を殺害するのです。 考えてみてください。ルークは両親（といっていい叔父叔母夫妻）を帝国軍によって殺されてしまうのですが… どうして軍は、夫妻を殺さねばならなかったのでしょう。ロボットの行方を追って捜査するのに、いちいち相手を焼き殺すのかな。 pic.twitter.com/QllZWuisdO

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４）しかしこの作劇によって、ルークのなかに帝国への憎しみが芽生え、冒険の旅へと決断を下すわけです。「あなたといっしょにいく。フォースを教えてほしい。父と同じ、ジェダイの騎士になりたい」 pic.twitter.com/F1lik7V4S6

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５）才能と血統の両方を密かにもつ、優柔不断な男の子が、これでようやく動き出す。 それはいいとして、叔父叔母夫婦を帝国軍が殺害しなくてはいけない理由がはっきりしない。 ルークの尻を叩くための、作者の神の手。

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６）こういうところが作劇上の穴ですね。宮崎駿が「ルーカスなんてたいしたことない」と言い切ったのも、きっとこういう詰めの甘さを見切っていたからだと思う。

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７）ところが宮崎も、ルーカスと同じ失態を後にやっています。 ここです。トルメキア軍が、いきなり風の谷に押し寄せてくるところ。 pic.twitter.com/yLimafAkmc

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８）城を急襲する突撃兵。 pic.twitter.com/vFdZUb0552

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９）王が覚悟を決める。 pic.twitter.com/XfkF4VbVZU

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１０） pic.twitter.com/H3JK7zBdKF

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１１）国を急襲するとき、王をいきなり殺したりはしない。フセインですら生け捕りにしたのだから。 ナウシカ父を兵に殺害させることで、占領軍が悪であると私たち観客＆視聴者に印象付けるための、作者の技です。 pic.twitter.com/z3erOxvWUF

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１２）こうして善悪の構図を明確にして、ドラマが進んでいく。 pic.twitter.com/NQan7C3knq

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１３）ルーカスを腐した宮崎も、同じ穴にはまったのです。

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１４）本人もそのことに気が付いていた。だから１４年後、そういうズルをしないで同じテーマに再挑戦したのが、これ。 pic.twitter.com/mLaoHVUHsB

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１５）どうなったか？ 圧倒的につまらなくなってしまいました。

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１６）冒険活劇の作劇法で、高度なテーマを扱うのはいろいろと危うさを伴うという、戒めですね。私はそう理解しました。