ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ #4
「イヤーッ!」「フーンク!?」インペイルメントのカタナが中途で何かに引っかかり、止まった。「フーン!」インペイルメントは力を込めるが、動かない!「ブッダ!何だありゃあ!」モスキートが飛び上がって叫んだ。「あいつ何だ?」
2011-06-06 22:57:20モスキートはカタナを止めた赤黒の新手ニンジャを凝視する!なんたるワザマエ!両手の平でインペイルメントのザオ・ケンを挟み込み、押さえつけて持ちこたえているではないか!「フーンク!」「イヤーッ!」インペイルメントはさらに力を込める。しかし動かない!
2011-06-06 23:04:33「ドーモ……皆さん……」そのニンジャの赤黒い装束はよくよく見ればボロボロだ。かなりの手負いなのだ!「……ニンジャスレイヤーです……!」「ニンジャスレイヤー!?ニンジャスレイヤーと言ったか!?」モスキートが叫ぶ。インペイルメントはさらに力を込める!「フーンク!」「イヤーッ!」
2011-06-06 23:35:17ニンジャスレイヤーは勢い良く両手を左へ振り抜いた!折れた!ザオ・ケンが折り取られたのだ!「フーンクッ!?」「バカなーッ!」モスキートは驚愕した。「インペイルメント=サン!ニンジャスレイヤーだ!霊柩車からか?クソッ、奴は手負い……しかし俺達もこれでアウトオブアモー極まったが……!」
2011-06-06 23:44:18「オヌシらは何者だ!」ニンジャスレイヤーは叫んだ。「アイサツせよ!」「フーンク!フーンク!」インペイルメントは飛び退り、地団駄を踏んだ。得物を破壊され激昂しているのだ。「クソッ、そいつはインペイルメント=サンだ。そして俺はモスキート!」モスキートはトレーラー上でオジギした。
2011-06-06 23:50:00「ソウカイヤが殺害対象と言っていたな?」ニンジャスレイヤーは己のニンジャ聴覚の鋭敏さを明らかにした。「この騒ぎはオヌシらの仕業か……!」その足元にじわじわと血の染みがひろがる。傷が開いているのだ。「……オヌシらは何者か!答えい!」「……ザイバツ。ザイバツ・シャドーギルド」
2011-06-07 00:02:08モスキートは低く言った。「ニンジャスレイヤー=サン、お会いできて光栄至極!このままカラテでやりあえばお互い無事で済むまい。そして君の殺害命令は出ていない」「……」「う……」呻き声が聞こえた。ニンジャスレイヤーが背後に注意を払う。強烈な蹴りを受けたヤモトが立ち上がろうとしている。
2011-06-07 00:34:29「ザイバツ・シャドーギルド」「そうだニンジャスレイヤー=サン。それが我々だ!……いやしかし、どのみち君にとってはさほど関係の無い話か」モスキートは肩をすくめ、「君がラオモト・カンを殺した。君はつまりそれで復讐とやらを終えたのだろう?せいぜい休むといい。君には関係の無い世界の話だ」
2011-06-07 00:41:34ギャギャギャギャギャギャ!ネズミハヤイがドリフトしながらニンジャスレイヤーのすぐそばをかすめる。ニンジャスレイヤーは咄嗟にヤモトの襟元を掴むと、ニンジャ腕力でネズミハヤイの後部ハッチめがけて投げた。「イヤーッ!」「ンアーッ!?」ヤモトはネズミハヤイの座敷へ転がり込む!
2011-06-07 00:47:21「何を!」モスキートが身を乗り出した。「その女子高生は置いて行きたまえ!」「フーンク!フーンク!」まだ勝負は終っていない、とばかりにインペイルメントがカラテでニンジャスレイヤーを威嚇する。「いや、インペイルメント=サン!奴の負傷の程度もわからぬ!」モスキートが制した。
2011-06-07 00:48:47「ヘタをすればザオ・ケンの無い君が一方的に敗れる可能性すらある!だから、アーッ!」モスキートは頭をかきむしる!「でも女子高生が!でも殺害命令が無い、ケジメはカンベンだ!でもこれはチャンス?いや我々もアウトオブアモー!だから結局チャンスではない?ワカラナイ!アーッ!」
2011-06-07 00:50:50ギャギャギャギャ!ギャギャギャギャギャ!ネズミハヤイが急かすようにタイヤを唸らせ、ブレーキ痕をアスファルトへ円形に刻み付ける。そして炎上トレーラーへ背を向け、一気に走りだした。
2011-06-07 00:54:15「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは短距離走者めいた全力のダッシュでそれへ追いすがり跳躍!ネズミハヤイにかぶさるシュラインに着地、振り落とされぬよう瓦を掴んでしゃがみ込む!ネズミハヤイはザイバツのニンジャ二人を尻目に急加速!
2011-06-07 00:56:37「オ……オ……オタッシャデー!!」狂気じみたモスキートの絶叫を後ろへ置き去りに、ネズミハヤイはトリイが連なるジャンクション入り口へ突入する。ニンジャスレイヤーは走行するネズミハヤイの上を這い、開いたままのハッチから車内へ滑り込んだ。「ヌウウッ!」
2011-06-07 01:07:51「ムチャクチャよ、あなた!」ナンシーは吐き捨てるように言った。「本当に死ぬわよ?」「……だが死ななかった」ぜいぜいと息を吐きながらニンジャスレイヤーは答える。「おおむね上手くいった」「何が……で、その子は?貴方の娘か何かかしら?」ナンシーがヤモトを親指で指差す。
2011-06-07 01:12:50座敷隅のヤモトはカタナから手を離さず、無言で、ナンシー、ニンジャスレイヤー、そしてデッドムーンに警戒の視線を送っていた。ニンジャスレイヤーはヤモトを見た。「……成り行きだ。会った事がある……この娘には。そうだな」ヤモトはおずおずと頷いた。
2011-06-07 01:16:03「積載オーバーもいいとこだぜ、お客さん……料金も割増しだな」デッドムーンが呟く。ボタンを押すと、マッチャとオカキがもう一皿現れた。「この後どうする……ま、順当に考えりゃ、闇医者だ。それともニンジャってのは一晩寝りゃあ自然に怪我が治るかい……」
2011-06-07 01:21:47「闇医者でいいわ」ナンシーが答えた。ニンジャスレイヤーはほとんど前後不覚の状態であったからだ。「そこの嬢ちゃんはどうするね……」デッドムーンは運転しながらヤモトを顎で示す。ナンシーは無言で肩をすくめて見せた。「ま、降りたい場所があったら言いな。料金はこの大人達が払うとさ」
2011-06-07 01:30:38言って、デッドムーンは「盤」と書かれたボタンを押した。ギュウイーン……再び車内にダークエレクトロポップが流れだす。ディキディキ、ディキディキブーン……ビュイーン……ブッダギャラクティカ……ユーアーイーヴィル……ユーアーラヴ……アイヘイトラヴ……。
2011-06-07 01:36:01