ギガベース日誌 ほのぼの閑話「顔合わせ」

再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

サイセター、執務室にて。　#ギガベース日誌

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「Je suis vraiment ravie de vous rencontrer amiral」 「？？？」 「Enchantée de vous connaître」 「？？？？？」　#ギガベース日誌

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「……amiral、貴方確かアスピナの出身よね？それに加えて艦隊指揮官ともなれば、フランス語ぐらいわかるものかと」 「わからなくて悪かったなこの野郎」 初対面の挨拶を母国語での先制攻撃としたRichelieuの態度に、DfJは静かに青筋を立てていた。　#ギガベース日誌

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「合流直後に木曾と喧嘩してた奴か……喧嘩っ早いのか？」 「あの時はお酒も入っていたし、どちらかというと腹立たしかったのは突っ込んできた佐渡の方よ。あのガキ共、指揮官権限でパパっと解体してくれない？」 「的あての的役をやってもらうから、暫くは無理だな」　#ギガベース日誌

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DfJの車椅子生活からの快復を皮切りに日々数を増した訪問者（艦）の数は、ついにはグラーフによる整理番号の指定が必要なほどに膨れ上がっていた。 「ガングート、アイオワ、ウォースパイト、そしてこのリシュリューが第2艦隊の水上打撃の要諦であると覚えてもらえればいいわ」　#ギガベース日誌

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「まぁ、第2艦隊は戦闘を滅多にしないから、戦艦の艦砲射撃なんて尚更出番が無いのだけれどね。そろそろ派手にやれるんでしょう。重宝してよね？」 「言われなくとも。恐らく来週かその少し先ぐらいには、こそこそするのをやめて動き始めるつもりだ」 「Très bien」　#ギガベース日誌

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ギガベース鎮守府の活動、即ち自分達以外の勢力への突発的な攻撃と略奪は、合流以降全く行われていない。 サイセターは特定の時間帯を除いてほぼ毎日潜航状態にあり、この沈黙は所属艦娘達に「準備期間」として通達されていた。　#ギガベース日誌

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トーラスや財団という後ろ盾を失ったギガベースが戦いを続ける為には、以前にも増して綿密な攻撃計画が求められる。 その結果、DfJが作戦会議や各種承認といった本来の提督らしい執務に携わる時間が増加し、グラーフが「顔合わせ」のスケジュールを組み上げたのである。　#ギガベース日誌

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その日最初の訪問者だったリシュリューは、軽い挨拶以上の会話を交わす事は無く、すぐに執務室を後にした。 「不知火、お前フランス語わかるか？」 「いえ、さっぱり」 傍らに直立する不知火は、DfJや訪問者には目もくれず携帯端末を弄り続けている。　#ギガベース日誌

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「朝から忙しいな。工廠の連中、まだヘリを仕上げてないのか？」 「あぁ、いえ。これは私的な連絡です。早霜さんと」 「夕雲型の奴か……そいつがお前と？」 「えぇ、一緒に食事でもどうかと。伊良湖さんの食堂でも、武勲艦への特製コース料理を振る舞っているらしく」　#ギガベース日誌

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「早霜さんはそれを2枚お持ちのようで、昨晩急に誘われました。正直、そこまでされる覚えが全く無いのですが」 「どうせレズだろ。不純同性交友も程々にしておけ」 「……」 口を噤んだ不知火が視線を上げれば、壁掛け時計の秒針は次の艦の訪問時間へと近づきつつあった。　#ギガベース日誌

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「次は……揚陸艦の方ですね。名前は……R1？」 「また色気の無い名前だな。鬼が出るか蛇が出るか……」 その艦娘は、予定されていた時刻ぴったりに執務室をノックした。　#ギガベース日誌

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「初めまして、提督殿。全身複雑骨折の重傷から快復されたと聞き及び、是非ご挨拶をと、こうして馳せ参じました。僭越ながら自己紹介を。本艦は 神州丸。強襲揚陸艦であります」 「順番間違えてるぞ。この時間に来るのはR1とかいう奴だ」 「本艦がそのR1であります。はい」　#ギガベース日誌

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「事前に伝わった艦名はコードネームですか？」 「そうです。他にもMTやGLといったものが」 「なんで本名隠す必要の無い相手にコードネーム伝えるんだよ」 「だってそっちの方がかっこいいでしょう。アルファベット二文字の秘匿名など、何とも言えぬ深みがあって……」 「浅いよ」　#ギガベース日誌

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「まぁ本艦の主たる戦場は浅い海なのでそれでも問題は無いのですがね。本格的な作戦行動が始まった暁には、この神州丸の上陸戦力運用能力をお見せいたしましょう」 「上陸戦力？」 「主に略奪用の特殊建機や輸送ボート等を。揚陸艦ですから」　#ギガベース日誌

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DfJは数秒首を傾げ、改まった様子で神州丸に問い直す。 「揚陸艦って自分が陸に乗り上がって敵拠点をぶん殴るもんじゃないのか？」 「提督殿は強襲揚陸というものを何だと思っておられる？！？！」 「あきつ丸はそうだったぞ」 「え゛」　#ギガベース日誌

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「神州丸さん。あきつ丸さんは、ギガベースというAFそのものの特性やコジマ技術を満載した艦娘が大量にいる状況では、航空機運用による上陸支援という本来のコンセプトが優位性に欠けると考え、別の選択肢をとったまでの事です。第1艦隊の揚陸艦はあきつ丸さんだけだったので……」　#ギガベース日誌

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「あぁ、成程。申し訳ない。取り乱してしまいました。不知火殿の説明で納得であります。しかし、残念でありますな……同じ旧陸軍出身の艦同士、並び立つ日を夢見ていたというのに」 「あいつ腕に烈風装着したままコジマ纏ったパンチとかキックとかしてたぞ」 「尚更見たかった……」　#ギガベース日誌

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今は亡きあきつ丸の戦闘情景を頭から振り払い、神州丸は改まって切り出した。 「ところで提督殿。このアームズフォート、ギガベースもまた水陸両用でありましたな」 「そうだ。最近は専ら潜ってばっかりだが」 「つまり揚陸艦でありますな」 「……そうだな？」 「フフッ」　#ギガベース日誌

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「何を隠そうこの神州丸は、強襲揚陸艦という概念の原点。つまりオリジナルであります。本艦が誕生しなければギガベースもまた存在しなかったかもしれないという事で……」 「何が言いたい。自慢話ならGAの社屋でやれ」 「……つまりです。餅は餅屋、桶は桶屋とも言いますし」　#ギガベース日誌

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「本艦にサイセターの火気管制と操縦を一任するよう、グラーフ殿に提督殿から御進言していただけないでしょうか。何度も頼み込んでいるというのに、艦橋に入ることすら許可されていない有様」 「成程、そういう事か。なら駄目だ」 「えー。キャラメルあげますのでどうか御一考を」　#ギガベース日誌

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「歯にくっつく菓子嫌いなんだよ。で、サイセターの操縦についてだが……本来制御AIと大量の乗組員で行うAFの制御を艦娘1人にやらせるとなると、製造時点での情報処理能力が優れている空母艦娘に任せるのがベストだ。1番艦でも隼鷹に任せていた」　#ギガベース日誌

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「脳を処理システムの1ブロックとして扱うという点では、ネクスト用の操縦機構であるAMSに匹敵……扱う情報の量で見ればそれ以上の負荷がかかる代物と聞いています。迂闊に繋がれば全身の穴という穴から体液を漏らす羽目になるかと」 「そ、そんなに……」　#ギガベース日誌

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「概ね、納得したであります。グラーフ殿は無駄を好まない性分かつ御多忙故、いくら訪ねても『駄目だ』の一点張りでしたが……本艦の事を気遣ってくれていたのでありますな。提督殿にお話して正解でありました。では……」　#ギガベース日誌

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神州丸の退室を確認した後、DfJは部屋の外に漏れぬよう絞った声で不知火に語りかける。 「あいつの艤装見たか」 「ええ」 「菊月に乗らせたセグウェイがあんな感じになってたな。グラーフが意味もなくCICから叩き出すわけもない。多分あいつの言う揚陸とやらもまともじゃないぞ」　#ギガベース日誌