ギガベース日誌　ほのぼの閑話「クリスマス」

再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

ほのぼの閑話「クリスマス」　#ギガベース日誌_Re

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ギガベース鎮守府には、未使用エリアが存在する。 不時着したクレイドル住民を救助する為に出撃した企業のギガベースを、DfJは個人的に襲撃し強奪。その後トーラスや財団によって内外装に大規模な改造が数回施されてきたが、居住エリアについては最低限の処置しか行われていない。　#ギガベース日誌_Re

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そんな未使用エリアも、艦娘達の独断で物置や装備置き場として利用され、空き部屋は徐々に無くなっていった。 そんな未使用エリアの最深部。誰の目も届かない、埃が詰まった隅の隅に、3隻の艦娘が集っていた。　#ギガベース日誌_Re

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「よく集まってくれた。同志達」 「他の艦には感付かれていないじゃろうな？」 「ええ。周囲に私達以外の反応はありません」 「そうか……じゃあ、もう一度概要を確認するぞ」 主犯格めいたポジションに立つ隼鷹は、ギガベース内の構造を示した地図を床に広げる。　#ギガベース日誌_Re

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「私達は今日、提督の口座の金を不正利用する。覚悟はいいか？」 「勿論じゃ。吾輩を舐めるな」 「全力で事にあたる覚悟です」 「ならいい。プランは単純。今夜提督の部屋に行く。いつも使ってる端末を奪う。予め決めていた物品をトーラスの通販サイトで購入する。以上だ」　#ギガベース日誌_Re

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「本来なら、艦内巡回担当や監視カメラ、主任や不知火の動向も気にしなきゃいけない所だが、今日に限ってはその必要も無い。”クリスマスパーティー”で皆あれだけ食って飲んで騒いだ後だ。誰も真面目に監視なんざやりゃしない」 「我慢して程々に抑えた我々以外は、な」　#ギガベース日誌_Re

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「主任と間宮さんは先んじて買収。主任とは私達の行為を黙認する条約を結び、間宮さんには提督と不知火さんの食事に大量の睡眠薬と艦娘用の起動抑制剤を投与して頂きました。御二人が料理を口に運ぶ瞬間は、私が確認しています」　#ギガベース日誌_Re

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「作戦は完璧だ……なので、ひとつ今から行う行為の正当化でもしようと思う。やってる事は完全に泥棒だからな」 「必要あるか？あやつが最近ケチ臭くなったのは誰の目から見ても明らかじゃ」 「ましてや……私は、駆逐艦たちはずっと待っていました。1ヶ月も、2か月も前から」　#ギガベース日誌_Re

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「何を？」 「クリスマスプレゼントでしょうっ！！！」 神通は声を荒げながら拳を床を叩きつけ、床が数センチほど陥没する。引き気味の利根と隼鷹の困惑の表情に気付くことなく、神通は続ける。　#ギガベース日誌_Re

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「最近の提督は装備や戦闘に関連する物以外の購入、時には装備購入の申請すら断る機会が増えました。私は構いません。特段必要性に駆られたわけではなく、少しレイレナード製のブレードを試してみたかった、程度の事です。気にしてはいません」 「めっちゃ気にしとるじゃろお前」　#ギガベース日誌_Re

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「それでも、一部の駆逐艦達は信じていました。流石にクリスマスともなれば、何かしらの恩寵はあるだろうと。以前、トーラス本社港に寄港した際に一度だけ、全艦にお小遣いをくれた時のように。でも……今日、提督はあんなっ……あんなことをっ……！！」　#ギガベース日誌_Re

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時は遡り、正午。 ギガベース鎮守府、食堂。　#ギガベース日誌_Re

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「しれいかぁ～ん！メリークリスマ～～～～～ッス！！！」 「五月蠅い……そうか、もうそんな時期か」 ほぼ全ての艦がDfJに話しかけるタイミングを窺っていた中、真っ先に突撃したのは卯月だった。　#ギガベース日誌_Re

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「そう！クリスマスだっけど～！何か催し物とかやるつもりは無いのかっぴょん？」 「考えてなかったな……間宮！今夜の食事、少し豪華にしてやれるか？パーティーチックに」 「適した食材があるかわかりませんが、やってみますね！」 間宮は嘘をついた。　#ギガベース日誌_Re

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既に調理場の巨大冷蔵庫の中には、七面鳥や艦娘の体質に合わせ殺人的な度数に引き上げられたシャンパンといったパーティーに欠かせない食品が大量に保管されている。間宮ははなからパーティーが行われるものだと思っており、トーラスから食材を買い付けていたのだ。　#ギガベース日誌_Re

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「節分の時といい、お前等はこういうのが好きだよな。日本は信仰に関わらずいろんな文化のフェスティバルを節操無く模倣するんだったか？」 「そんなことより、クリスマスプレゼント。寄越せぴょん」 卯月は真正面から突貫した。　#ギガベース日誌_Re

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「は？」 「パーティーも良いけど、クリスマスは強者が弱者に施しをくれてやる日だぴょん。どーせ不知火に洒落た贈り物の1つや2つ送った事あるだろうから、知らないなんて言わせないぴょん」 「あー。成程な。うん。わかった。じゃ手出せ卯月。いいものをやる」　#ギガベース日誌_Re

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「ほんと？！なんだろな～なんだろな～！うーちゃん小切手か提督のスマホがいいな～っぴょ～ん」 DfJは、食堂の机の端にある調味料置き場に手を伸ばす。その中の一つの瓶を手に取り、開け、はしゃぎながら両手を差し出す卯月の手に一振り。　#ギガベース日誌_Re

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「ゴマ塩。俺からのクリスマスプレゼントだ。ゆっくり味わえ」　#ギガベース日誌_Re

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「酷すぎますっ！！！！」 涙目で再び床を叩く神通。そろそろ床が抜けかねないと判断した隼鷹がなだめにかかる。 「あの時の卯月ちゃんの顔が目に焼き付いて……！！」 「吾輩、コジマ粒子を目から出せるとは知らなんだ」　#ギガベース日誌_Re

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「むしろ無い方がマシだよな……まあ、卯月の奴はパーティーで機嫌直してたけど」 「主任すら同情しておったからな、アレ」 クリスマスプレゼントごま塩事件。それが、今日発生したDfJの罪だ。 であれば、隼鷹達の戦いは、この罪を清算する為にある。　#ギガベース日誌_Re

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「……そろそろ時間だ。神通、立てるか？」 「はい、問題ありません」 「では、参ろうか」 隼鷹、利根、神通の3隻は、決意に満ちた足取りで部屋を後にする。 「私達が、このギガベースのサンタになるんだ」　#ギガベース日誌_Re

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続く　#ギガベース日誌_Re

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夜のギガベースの廊下を駆けていく三隻の艦娘。何れも目撃による行為の露見を避ける為、利根が遊び終えた捕虜が着ていた衣服に着替え、ネクストの頭部パーツを模したマスクを着用し素顔を隠匿している。　#ギガベース日誌

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「おい、アリーヤ利根」 「なんじゃ、ランスタン隼鷹」 「この服、なんか臭うんだが」 「あぁ、これを着ていた連中は、いつもと趣向を変えて溶かしてみた。幾分か沁み込んでおるかもしれん」 「勘弁してくれよ……」　#ギガベース日誌