ひらめかない人のためのイノベーションの技法

いきなり創造的なことをしろといわれても戸惑うばかり。けれど創造も、実はある程度マニュアル化が可能。
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shinshinohara @ShinShinohara

ある、水耕栽培の農家さんでの出来事。障害者学校の先生たちが見学に。苗を植える様子を見て「あれならうちの生徒にもできそうだね」とつぶやくのを、農家さんは内心、聞きとがめた。というのも、その作業は簡単に見えて、とても熟練の技術が必要な工程だったから。

2020-01-27 22:23:13
shinshinohara @ShinShinohara

浅ければ根が水に届かず、枯れる。深ければ苗が水中に落ちてしまい、流れていってしまう。絶妙な深さできれいに植えなければいけないので、慣れていない人間にはとても任せられない作業。それを簡単に考えるなんて。農業をなめないでほしい、と思ったという。

2020-01-27 22:24:39
shinshinohara @ShinShinohara

後日、障害者学校の先生たちが「試させてほしい」と言って再訪。下敷きを持って。その下敷きを、一列の苗に押し当てると、いっせいに苗がきれいにすっぽり収まった。農家の方は驚いた。下敷きを使えば、熟練者が細心の注意を払って植えるよりもきれいに植えられるなんて!

2020-01-27 22:26:17
shinshinohara @ShinShinohara

熟練者は、下手に手が器用なものだから、道具や方法を工夫するということがない。自分の技術でなんとかこなしてしまう。しかし障害者はどうしても不器用だから、道具などを工夫して、自分でもできるようにしようとする。不器用だからこそ、障害があるからこそ工夫が生まれる。しかも健常者にも便利。

2020-01-27 22:27:40
shinshinohara @ShinShinohara

それ以来、その農家は毎年1人ずつ、障害者を雇用し、その人でも仕事ができるようにするにはどんな工夫をすればよいのだろう?と考えるようになった。そうした工夫は、健常者の作業性も大幅にアップさせた。

2020-01-27 22:28:53
shinshinohara @ShinShinohara

実は、折れ曲がりストローもそうして生まれた商品のひとつ。寝たきりの人に飲み物を与えるのに、まっすぐなストローは不便極まりなかった。そこでどうしたらいいかと考え、できたのが折れ曲がりストロー。「できない」という課題があればこそ、工夫は生まれる。

2020-01-27 22:30:18
shinshinohara @ShinShinohara

創造は、イノベーションは、「できない」を発見することから始まる。そしてその「できない」を工夫によって「できる」に変えることが創造であり、イノベーションとなる。ビバ!「できない」!できないことは創造の胚珠!

2020-01-27 22:31:27
shinshinohara @ShinShinohara

いきなり新しいことを考えろ、と言われても、私たちは戸惑うばかり。しかし、「できない」をまず発見し、それを工夫によって「できる」に変えることを考える、という「方法」として言語化すれば、私たちは、さほど知識や技能がなくても、そこそこ新しいアイディアを生み出すことができます。

2020-01-27 22:33:09
shinshinohara @ShinShinohara

創造は、イノベーションは、決して天才たちの独占物ではありません。どうやって工夫すればよいかを言語化し、マニュアル化すれば、私たち凡人でも実践可能です。 明日発売の新刊は、そうしたコツを33個まとめました。ぜひお読みください。 amazon.co.jp/%E3%81%B2%E3%8…

2020-01-27 22:35:15
shinshinohara @ShinShinohara

「ひらめかない人のためのイノベーションの技法」実務教育出版、明日1月28日発売です。

2020-01-27 22:46:29