空想の街 とある冬の一日 鳥に纏わる掌編・籠ノハナ屋・はなのえ文庫・曳舟荘

2020.1.23~24+α #空想の街 企画様に参加させていただいた #籠ノハナ屋 #はなのえ文庫 #曳舟荘 #鳥に纏わる掌編 のまとめです
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こみや@空想の街 @Ne2_co

ここに書くの忘れてたんですけど、#籠ノハナ屋 の位置は中央区トキ橋~きつね橋間の水路際です #空想伝言板

2020-01-23 12:29:09

一日目

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

何処にもない、何処にでもある街。空想の街。時計塔の街での2日間。はじめましての貴方も、おかえりなさいの貴方も、街は全てを受け入れます。どうぞ、お楽しみください。 #空想の街

2020-01-23 00:00:19
こみや@空想の街 @Ne2_co

「はー今日も一日お疲れ様お疲れ様!」 「……」 「うん、明日もいい日にしようなぁ」 「何だネ、もうこんな時間かい」 『さ、もうおやすみなさいましよ』 (寝息が一対) 「……明日も寒いかな」 #空想の街 #籠ノハナ屋 #曳舟荘 #鳥に纏わる掌編 #はなのえ文庫

2020-01-23 00:03:23

そして、街は開かれる

朝、籠ノハナ屋店舗にて
空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

おはようございます。昨日からの晴天を引き継いで、今日も一日お天気の予定です。寒くてもなんだか頑張ろうかなって思いますね!今日は15時から広場で役所から軽食のふるまいがあります。お近くを通られたらぜひお寄り下さいね!それでは、行ってらっしゃい。(情報窓口:堂坂みかこ) #空想の街

2020-01-23 08:00:39
こみや@空想の街 @Ne2_co

「今日はお花の先生が……西と南と、あと昼からの店が能登洲だな」 朝の市から商売の種を仕入れていったん店へと戻り、今日回る得意先を一つ、二つと指に折る。街にも随分馴染みが増えた。ありがたいことだと思う。 #空想の街 #籠ノハナ屋

2020-01-23 08:47:12
こみや@空想の街 @Ne2_co

寒くはあるが良い日和。なみなみ湯呑一杯の茶を飲み干して、よし、と腰を上げる。 「そんじゃ行ってくるわ! 店の方はよろしく頼むな!」 見慣れた微笑へと小さく手を振り返す。 #空想の街 #籠ノハナ屋

2020-01-23 08:47:50
こみや@空想の街 @Ne2_co

かーごやあー、はーなかごー……聞き慣れた声が遠ざかる。入口まで立って見送った彼女は、ガラス戸に書かれた店の名前を内側からなぞる。冷ややかな雫が指先を濡らした。店の名は #籠ノハナ屋 。息を吸い込めば、冬の花が清々しく香った。 #空想の街

2020-01-23 08:48:15
午前、あゆ子と不思議な物売り はなのえ文庫にて
こみや@空想の街 @Ne2_co

一応は私設図書館である #はなのえ文庫 だったが、決まった開館時間はあってないようなもの――だった。だが、本を読みに来るついでに読み書きを教わっていく子どもたちが来るようになってからはこの時間には店開きをするならいになってしまった。 #空想の街

2020-01-23 10:04:54
こみや@空想の街 @Ne2_co

子どもたちが顔を出す、というのは大人にとっても安心感につながるらしく、最近はちらほら大人の姿も見える。とはいえ、古書の多い図書館だ。気難しげな大人が言葉すくなに専門書を広げ、時にはこんな本はないかと尋ねに来る……というのは以前からのこと。 #空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 10:05:35
こみや@空想の街 @Ne2_co

時々、年かさの人々が昔読んだ本を探しに来て笑顔で帰っていく、そんなことが増えた、気がする。中には以前の #はなのえ文庫 を知る人もいて、昔を、昔ここにいた誰かの影を懐かしみに来てくれる。それが今ここを預かるあゆ子には嬉しかった。 #空想の街

2020-01-23 10:06:28
こみや@空想の街 @Ne2_co

門を開けたあゆ子は、大きく背伸びをして、力を抜いたところでやっとその人影に気づいた。その姿があまりに静かだったので――たたずまいが静かなわりに、その姿は見慣れないものだったが。人影は、頭から肩を覆った頭巾と、その上に被った帽子の合間からあゆ子を見ていた。 #はなのえ文庫 #空想の街

2020-01-23 10:09:25
こみや@空想の街 @Ne2_co

「あ、すいませんみっともないところを……!」 慌てて取り繕う。彼とも彼女ともつかないその人物は、すらりと細く背が高い。洋装の上から羽織をひっかけているのだが、ただでさえ大ぶりな羽織がひどくだぼついて見えた。 「……見ても?」 #空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 10:10:08
こみや@空想の街 @Ne2_co

低く、覆面越しの声に感情はない。でも、指さされたのが門の内側だったので、あゆ子はどうぞと庭を示す。ちいさく一礼した人物があゆ子の横を通り過ぎて門をくぐる、その時、やっとその肩に古い木の枝が担がれていることに気づいた。枝ぶりからすると梅だろう。 #空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 10:10:49
こみや@空想の街 @Ne2_co

その枝にいくつか紙片が結び付けてある。白い紙と色紙を重ねて結んだそれは、枯れ木に咲く花にも見えた。はたとあゆ子は思いいたる。 「……懸想文、」 梅の枝に恋文に似せた祝儀の文を結び、売り歩く商売があるという。この人物もそうなのかもしれない。#空想の街 #はなのえ文庫 #けさう文売り

2020-01-23 10:11:49
こみや@空想の街 @Ne2_co

街の外生まれのあゆ子には珍しい商売の人々も少なくないこの街だ。新鮮な驚きをもってあゆ子はその後ろに従う。 #けさう文売り は、中庭の梅の木の前で足を止めた。まだ開花には遠いが、「はなのえ」、花の兄の名にちなんで庭には数本が植わっている。 #空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 10:12:46
こみや@空想の街 @Ne2_co

彼(ということにする)はしばらく梅の木を、もしくは梅のある庭のを眺めていた。あゆ子がさすがにこの季節に枝はあげられないなと思った瞬間振り向いたので、少なからず驚く。 「歌の。和歌の本。ありますか」 そう問う声でも、やはりどんな人物かわからない。 #空想の街 #はなのえ文庫 #けさう文売り

2020-01-23 10:14:29
こみや@空想の街 @Ne2_co

あゆ子が本棚を案内すると、彼は一瞥して頷いた。何かありましたらお声かけくださいね、と言いはしたが、おそらく呼ばれることはないだろうという気がした。上がり框で、梅の枝が日の光を浴びている。なぜだろう、古い枝が生き生きとして見えた。 #空想の街 #はなのえ文庫 #けさう文売り

2020-01-23 10:16:32
空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

特定の文字が実体化する現象が起きてるようです!対象は本・書類・看板など、全ての文字媒体です。今回は「羽根」という文字が具現化してるみたいです。具現化した文字は元の紙に押しつけば戻ります。お部屋の掃除中、本物と実体化の区別にご注意くださいね! #空想の街

2020-01-23 10:00:40
こみや@空想の街 @Ne2_co

ひとまず自分の机に向かったあゆ子がぎくりと足を止める。遠くから響くアナウンスの声。書庫の中身と #はなのえ文庫 の蔵書印のある本はいい。何かまじないでもかかっているらしく、この手のできごとの影響はあまり受けないから。けれど問題は……机の上と周囲に積まれた、未処理の本だ。 #空想の街

2020-01-23 10:23:34
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