【なにか黒いものが】福間健二 #k2fact246

福間健二 @acasaazul

第一部、なんだった。ゴミ置き場、他人の出したゴミ袋の置き方なおしながら目をつむると意見がとびかっている。第二部、内省的な五〇〇頁。偶然にではなく、カートンでもらったハイライトを吸って。一か月ちょっと。よろしい、しばらく休んでいい、とその親切な人は。（なにか黒いものが１）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

空の下。精神的にだとしてもそれ以外はないのだが、第三部。はじめは絵を描き、やがてもっと全身的に三日月の下に遠い町を沈めたのである。虫を食ったのでもある。なにか黒いものが通っていって、ライターの、カチッという音。点いたのだろう。古い友人が手を振った。（なにか黒いものが２）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

彼じゃない。第一部の夢をいつまでも忘れない。それはいいけど、彼じゃない。手がとまって妄想の春に遊ぶ。それだって許されるけど、彼じゃない。ヒューマン・トゥ・ヒューマン、つながる。感染ということもある。疲れて塀にもたれかかり、ニュース耳に入らなくても。（なにか黒いものが３）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

ぼくはどこでも書いている。ある程度の没入できる環境、静かに咲いてどうするのだと花に問うほどの明るさがあれば。忍びよる寒さに気づく。ジャスミン茶も飲む。元気な少女たちのショットが欲しくて。すぎていく時間、あけくれを知る屋根への信頼もなく。すでに傷口。（なにか黒いものが４）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

でも、彼じゃない。ヒューマン・トゥ・ヒューマン、つながればいいというだけじゃない。立ちどまれば、サングラスの非情の先生。いまは不渡り先生。おろせ、と命令する。何を。棚からエルロイを。ないですよ。じゃあ、どこにでも入りこむネズミの王様のシャラムン。（なにか黒いものが５）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

生まれてない詩人のまだ硬くない骨をかじってしまうぼくも一種のネズミだ。王様、それに気づいてくれたのかな。心があって夢を見るネズミだったけど、もう生きてない。でも、生きている。古い友人も、不渡り出しながら破産しない先生も、そしてあなたも、本のなかで。（なにか黒いものが６）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

星がひとつ。いや、いくつか。見えてくる前にこわばった顔して帰っていったのは。隣にしゃがんで唸っていたのはきみだったのかと肩を叩いてくれたのは。第二部までの夜の謎、どうでもいいわけじゃないけど、ぼくは外。何に感謝しよう。曇り空の下、まだ生きている。（なにか黒いものが７）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

人が死んだり生きかえったりするたびに動いてまた使えるようになる「使用済みの部位」にやどる危険な考えからの、誘惑の手。どこに行ったのか。その手が置き忘れていったもの、勝手に熟れたりするなよって。けさはマンボの王様ペレス。マンボ、ナンバーエイトもある。（なにか黒いものが８）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

こっそりと、でも気づかれている。踊らない世界対踊る世界。どっちが敏感で気持ちいいか。わかりやすいリズム。だが、六〇年代半ばからは人気が下火になって、メキシコに。またしてもその背後をなにか黒いものが通っていって、ぽかんとするスキだらけのきみが好き。（なにか黒いものが９）#k2fact246

福間健二 @acasaazul

第三部、つまりは貯金がない。望まない仕事をして、おいしくないごはんも食べる。人生はダイナミックなものだ。なにか包んでいた古い日付けの新聞にそんな若い投書を見つけて、よいこと少しはする。死者の日、そして普通の日。第四部、愛によって。第五部、骨の力で。（なにか黒いものが10）#k2fact246