緊急取材30キロ圏病院の72時間ルール
- toshihiro36
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担当課長:病院の入院患者をどうするかという部分については、きめ細かな対応をしなくてはならない。県として対応すべきところは、きちんと考えていきたいと思います。
2011-06-10 02:59:04<ナレーション> 多くの人々が生活する中で、逆に足枷となりつつある避難準備区域のルール。被災地の病院は独自に動き始めた。
2011-06-10 10:56:55<ナレーション> 南相馬市の中核医療を担う大町病院。この病院では、入院が72時間という条件で受け入れが許可されている患者は5人だけ。「5つのベッド・72時間」という制限があるにもかかわらず、ここ大町病院では自主的にその制限を超える患者を受け入れ始めた。
2011-06-10 11:02:54副院長:(いま入院患者は)18名です。若い人が(別の地域に)避難されて老人だけが残っていることが多いので・・できるだけそういった方々の受け皿になるように努めていかなくてはならない。正直言って、72時間で治る病気ってほとんどありませんし・・途中で他の病院の先生にお願いするのも(続く
2011-06-10 11:07:39副院長:こちらとしても心苦しい。あとは病院を移す(患者を移送する)ことで患者の具合が悪くなった時に・・患者さんに良くないのではないか・・
2011-06-10 11:10:29<ナレーション> 今後、20人まで入院患者を受け入れ・・さらに増える場合には看護師など医療スタッフを増員して対応していくという。
2011-06-10 11:12:29副院長:原発の危険もあるんですけど、いま助けられるものが治療が遅くなって具合が悪くなった時に・・自分ができるはずのことをやれないのが、一番つらい。(患者を)断らないで受け入れられる態勢を作りたいと思っています。
2011-06-10 11:16:02ここからスタジオになります
山形:これは誰か聞いても「えーっ」っていうようなルールだと思うんですよ。ただ南相馬市の一部の地域では入院ルールが存在しました。ひとつの医療機関あたり入院患者は原則最大5人まで。そして入院期間は3日・72時間程度。これは文書などにはない、言ってみれば“暗黙のルール”なんです。(続く
2011-06-10 11:23:52山形:こういうルールが存在するんです。このルールが適応されるのは、福島第一原発から20~30キロの圏内にある緊急時避難準備区域に指定されている地区の医療機関なんですね。ここでは2つの病院が入院患者を受け入れているんですけれども・・このルールを厳格に守ろうとすると、 (続く
2011-06-10 11:27:49山形:新しい患者さんが来た時に入院ができない。あるいは入院する場合には、いま入院している患者さんを(原発から)遠くの地域の病院に転院させる必要があると。こういう状況が生まれているんです。実際にはそのルールの枠を超えて受け入れている病院もあるんですけれども。これ、どうでしょう?
2011-06-10 11:31:50ピーター:ルールって破るためにあるから・・そういう暗黙のルールって、良い方へ変えていくべきですよね。「作ったルールは変えません」という頑固さが、皆さんを不幸にしていると思うんですけど。「出ていけ」と言われたって、手術した患者が3日で出られるわけないじゃないですか。どう考えても。
2011-06-10 11:35:49山形:いま考えると非常に不思議な・・患者さんのためにならないルールなんですが、このルールの背景には震災当時の津波・原発。この南相馬市の状況がありました。住民の方の避難が相次いで、7万1千人いた人口がおよそ1万人近くにまで減ってしまったというんです。病院はそういう時、 (続く
2011-06-10 11:41:01山形:患者さんが減少し、医療スタッフも避難が相次いで・・患者さんを看るスタッフ自体も少なくなってしまったんですね。当時いた入院患者はすべて他の地域の病院へ転院すると・・そういう事態に緊急的に追い込まれていたんです。ただ逆に言うと、1万人も住民が残っているんです。 (続く
2011-06-10 11:45:01山形:この方たちの具合が悪くなったらどうするんだ。当時燃料事情もあって、おいそれと他の地域の病院にいけないという事情がありましたね。ですから(病院は)なんとか入院を再開したいと考えたんです。そうした中で4月の上旬、県と病院の会合がもたれて・・入院を再開するために (続く
2011-06-10 11:49:09山形:大体の目安「5人まで、3日間」・・患者さんのために入院を再開しようとして考えられた、ひとつの目安・・そのルールだということなんです。5人とか3日というのは、病院が責任を持って何かあった時に入院患者を避難させられる・・そういう人数のひとつの目安として設けられていた。 (続く
2011-06-10 11:54:44山形:ですから、患者さん・住民を救うためのルールだったんですが・・いまでは南相馬はだいぶ人口が戻ってきています。およそ4万5千人の方が生活しているんですが、ルールはそのままということで・・全く実情に合わなくなってしまっているんです。
2011-06-10 11:57:46山形:そこで一つ足枷になるのがこちら・・4月22日に南相馬市の一部が緊急時避難準備区域に指定されたということなんです。この緊急時避難準備区域というのは・・抜粋なんですが「この区域においては、引き続き自主避難をし、特に子供・妊婦・要介護者・入院患者等は、当該区域内に (続く
2011-06-10 12:03:19山形:入らないようにすること。」こういう言葉がありました。それから「避難や屋内退避も自力でできるようにすること」と。入院患者さんはここの部分が引っ掛かって、おおっぴらにこれ以上受け入れ難い状況が生まれているということなんです。
2011-06-10 12:06:55川村:ちょうど今この時間に南相馬の桜井市長が有楽町での外国人特派員協会で12時半から講演をしているんですよ。こういう質問も出るんじゃないかと思いますけど、外国人の特派員も不思議がるでしょうね。非常時における医療というのは・・なにも厳密なルールを決めるとか (続く
2011-06-10 12:14:20