「ほめる」は自己肯定感を損ねる

自己肯定感を高めるには「ほめる」ことが大切だと信じられていますが、実は逆かもしれません。
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shinshinohara @ShinShinohara

「ほめる」ことは自己肯定感を高めると信じられています。子育て本や部下育成本にもそう書かれています。私も最初の本ではまだ整理しきれておらず、「ほめる」という言葉を使っていたのですが、2冊目から、意識的に「ほめる」を避けるようにしています。むしろ自己肯定感が失われてしまうためです。

2020-03-05 18:59:43
shinshinohara @ShinShinohara

「ほめる」ということは、ある種の「期待」を伝えることになります。努力してほしい、毎日勉強してほしい。すると、努力しない僕は、毎日勉強しない私は、果たして愛してくれるのだろうか?肯定してくれるのだろうか?という不安が生じます。ほめるから自己肯定感が失われる逆転現象が起き得ます。

2020-03-05 19:01:30
shinshinohara @ShinShinohara

「結果をほめるのではなくプロセスをほめよう」と、子育て論でも部下育成論でもよく指摘されています。しかし、結果でなくプロセスをほめるにしろ、自己肯定感が失われかねません。いつも努力する自分、毎日勉強する自分でないと認めてもらえないのでは、という裏のメッセージが伝わるからです。

2020-03-05 19:03:26
shinshinohara @ShinShinohara

自己肯定感とは、あるがままの自分を認めることができる感覚です。努力しなくても、勉強しなくても自分は自分であるだけでいいんだ、この世に生まれてきてよかったんだ、生きていていいんだ、と思える感覚です。しかし「ほめる」と「期待」が伝わり、期待通りでない自分は否定された気になります。

2020-03-05 19:04:57
shinshinohara @ShinShinohara

ですから、私は、子育てにしろ部下育成にしろ、「ほめる」必要はないと考えています。「期待」していることが伝わらないようにするためです。「期待」というマインドセット(思枠)を抱いてしまうと、どうしても期待通りにならなかったときにガックリ失望します。そのことが子どもや部下に伝わります。

2020-03-05 19:06:25
shinshinohara @ShinShinohara

「期待」しない方がよいわけですが、「期待しない=見捨てる」と誤解されがちです。「あなたにはもう期待しない」という言葉は、「あなたは私の心の中で見捨てることにする」という意味になります。こんなことをしたら、自己肯定感どころではありません。

2020-03-05 19:07:54
shinshinohara @ShinShinohara

では、どのようなマインドセット(思枠)がよいのでしょうか。「あなたが生きてくれているだけでうれしい、存在するだけで楽しい」という思枠を胸に抱くと、「期待」せずにすみ、しかも、自己肯定感を子どもや部下に保障することが可能になります。

2020-03-05 19:09:23
shinshinohara @ShinShinohara

さて、ここで問題。これで自己肯定感が確保できるわけですが、このままだと努力しなくなります。そう、実は、自己肯定感は、努力する理由になりません。自己肯定感は、努力する気力、意欲が湧くようになるための土台、地面ですが、自己肯定感があるから努力するか、というと、そうではありません。

2020-03-05 19:10:53
shinshinohara @ShinShinohara

努力する子ども、部下を育成するには、自己肯定感だけでは足りません(ただし自己肯定感は基礎として不可欠!)。その次のステージが必要です。それは自己効力感です。自分が能動的に動くことで、何事かが変化した、と感じられる感覚のことです。

2020-03-05 19:12:16
shinshinohara @ShinShinohara

この自己効力感を高める接し方はなんでしょうか。私の現在の仮説では、二つ。「驚き、面白がる」こと、「頑張りすぎないで、無理をしないで」と声をかけること、です。 あるがままのあなたでよい、という「思枠」を基礎におくと、興味深いことがおきます。「驚く」ことがたやすくなります。

2020-03-05 19:14:04
shinshinohara @ShinShinohara

あるがままのあなたでいいのに、こんなことしてくれるなんて!え!宿題やったの?そこまでしなくていいのに!手伝ってくれるの!なんて優しい子なの!驚きの連続。すると、子どもは得意満面。子どもは、親を驚かせるのが大好きだからです。そして、驚かせるのが好きなのは、大人になっても。

2020-03-05 19:15:34
shinshinohara @ShinShinohara

平常状態の「あなたでも好き」だからこそ、平常ではない努力や工夫を見たとき、私たちは素直に驚けます。驚くと、子どもは(部下は)もっと驚かせようと企みます。工夫すること、努力することが楽しくなります。

2020-03-05 19:16:52
shinshinohara @ShinShinohara

さて、ここで必要になってくることがあります。「頑張りすぎないで、無理をしないで」と声をかけることです。いくら子どもが、部下が、工夫や努力を重ねることが楽しくなってきたといっても、人間なのだから疲れます。休みたくなるときもあります。気晴らしもしたくなります。それが人間です。

2020-03-05 19:18:01
shinshinohara @ShinShinohara

そんなとき、「頑張りすぎないで、無理をしないで」と声をかけられたらどうでしょうか。「そうか、自分のことを、体を壊しかねないほど頑張っていると認めてくれているのか」と、裏のメッセージを嗅ぎ取ります。それが誇らしくなります。そして、休むことに気がとがめなくなります。

2020-03-05 19:19:38
shinshinohara @ShinShinohara

「頑張りすぎないで、無理をしないで」という言葉は、「ちょっとは休みなさいよ」という裏のメッセージが伝わります。だから、休むことは積極的な意味を持ちます。休んだり気晴らししたりすることを、肯定的に捉えることができます。それでいて、努力することは「驚かせる」楽しみであり続けます。

2020-03-05 19:20:53
shinshinohara @ShinShinohara

「ほめる」は「期待」が伝わるからやめること。「あるがままのあなたでいい、そんなあなたが大好き」というマインドセット(思枠)を抱くこと。その上で、子どもや部下の工夫や努力に「驚く」こと。そして、「頑張りすぎないで、無理をしないで」と声をかけること。

2020-03-05 19:22:27
shinshinohara @ShinShinohara

思考のフレームワーク(思枠)次第で、自分も相手も、行動や思考が大きく変化します。私たちは、感情や思考の組み立てを「思枠」の中で行うためです。だから、言動を改めたいなら、言動そのものを改めようとするより「思枠」を改めた方がうまくいきます。「思枠」がそのままだとうまくいきません。

2020-03-05 19:24:11
shinshinohara @ShinShinohara

四冊目の本「思考の枠を超える」は、私たちの思考と行動がいかに「思枠」に縛られているかを解き明かし、それをいかに改善するかを考えてみました。ビジネス書として発刊しますが、子育て本としても役に立つよう、気を配りました。よろしければごらんください。 amazon.co.jp/%E6%80%9D%E8%8…

2020-03-05 19:26:51
shinshinohara @ShinShinohara

「期待」することの弊害は、拙著「子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法」でも詳しく紹介しています。子育てに関心がある方は、こちらを読んでいただいたほうがより適しているかもしれません。 amazon.co.jp/%E5%AD%90%E3%8…

2020-03-05 19:29:14