- radarada_post
- 1045
- 0
- 0
- 0
【ウジコ様は告げる】1章★135 「何か疑問点はありますでしょうか?」 「疑問点ねぇ……白黒の巻き付いているのは、"フィルム"だったのか……」 ウネウネと蠢いている白黒の紐は、よく見れば黒い下地に白い四角が連続して等間隔に並んでいるのが分かる。それは映画のフィルムによく似ていた。
2020-03-26 18:00:00【ウジコ様は告げる】1章★136 それだけではない。透視が始まる直前、何処からか映画の上映開始のブザーが鳴り、映写機がカラカラと高速で回る音が聞こえたのだ。ロス君の後悔が一つの映画であるかのように。
2020-03-27 00:00:00【ウジコ様は告げる】1章★137 しかし……そのせいで、逆に気になる事があった。 「ねぇ、ディアーリ。さっきの映像、全く音が入ってないように見えるんだけど……僕の耳がおかしいわけじゃないよね?」 ロス君の後悔の映像には、音が入っていなかった。
2020-03-27 06:00:00【ウジコ様は告げる】1章★138 ロス君ともう一人の少年、そしてソフトクリーム売りの男性は、何らかの言葉を交わしていた。だが、その言葉はおろか映像に乗るであろう音が全く乗っていない。聞こえてきたのはカラカラと射影機がフィルムを回す音だけだった。
2020-03-27 12:00:00【ウジコ様は告げる】1章★139 僕の疑問にディアーリは頷いた。 「ご心配なく。私もこの映像から音を聞くことは出来ません。そもそもこの映像に"音は入っていない"のです。つまり、"会話内容から類推することが不可能"なのです」
2020-03-27 18:00:00【ウジコ様は告げる】1章★140 そうなるとこれは確かに一筋縄ではいきそうにない。今後に響いてくる問題かもしれない。 「とはいえ、今回は、別に会話が無くても解決しそうな案件ではありそうですね」 「まぁね。物凄いハッキリしてるしね」
2020-03-28 00:00:00【ウジコ様は告げる】1章★141 今回の罪の意識は、不可抗力とはいえこのソフトクリームを二つとも食べてしまった事だ。後はその事について少し情報を集めて掘り下げるだけで十分だろう。
2020-03-28 06:00:00【ウジコ様は告げる】1章★142 「しかし……随分とレアケースですね。前十年間、このようなパターンは無かったので、ある意味新鮮です」 「えっ? これが?」
2020-03-28 12:00:00【ウジコ様は告げる】1章★143 思わずディアーリを見て反応してしまった。ただ出店でソフトクリーム買って、転びそうになって口に放り込んだこの想起が"レアケース"ってどういうことだ? 解決のし易さでは類を見ないという事なのか? まぁ、何を悩んでいたのかが分かったから些細な問題か。
2020-03-28 18:00:00【ウジコ様は告げる】1章★144 「とりあえず、彼がどんな悩みを抱えているのかはわかったよ。ところで聞きたいんだけど、ディアーリもこの"罪の意識"を見れるわけだよね?」 「ええ。ですが、"罪の意識"の中身を私単独では見ることは出来ません。これは"ウジコ様"だけの特別な力なのです」
2020-03-29 00:00:00【ウジコ様は告げる】1章★145 「特別な力……ひょっとして、手を握るように言ったのは、ディアーリも一緒に見れるようにするためかな?」 「その通りでございます。ウジコ様と手が触れている状態の人物は一緒に"罪の意識"を見ることが出来るのです」
2020-03-29 06:00:00【ウジコ様は告げる】1章★146 「なるほど……つまり僕と"罪の意識"を見る事が出来るのは、"罪の意識"を抱える人を除いた上で、一人だけって事 になるのか」 誰かと手を繋ぐとき、もう一方の片手は"罪の意識"に触れなければならない。となると、招待できるのは、一人だけという事になりそうだ。
2020-03-29 12:00:00【ウジコ様は告げる】1章★147 ところがそんな仮説に対して、ディアーリは首を横に振った。 「いえ、実はそういうわけではないのです。数年前に試したのですが、"ウジコ様"と手を繋いでいる私が別の誰かと手を繋いだ場合、その人物も見る事が出来たのです」
2020-03-29 18:00:00