掌小説語り～自作つぃのべる集～46

リュカ @ryuka511

会いたいとずっと願っていた。希望のない私の世界を変えてくれる運命の相手がようやく現れたのだ。高揚を抑えきれず笑みがもれる。「初めまして勇者様、そして」剣を構えた。「ここを貴様の墓場とする」「それはこっちの台詞だ、魔王」あぁ、そう来なくては。私を救えるのはお前だけ #twnovel

リュカ @ryuka511

あれは奇跡か幻か。あれ以来、水面を何度覗いてもそれは私の姿を映すだけ。後を追おうとした私をとめた君の、怒ったような悲しいような複雑な表情が、脳裏に焼き付いている。生きなきゃとは思った。だけど生きたいとは思えなくて。もう一度君に叱ってほしいと、今日も水面を覗き込む #twnovel

リュカ @ryuka511

婚姻の式典は湖に浮かぶ船で行われた。貴方の笑顔に心が揺れる。貴方の幸せを守る為私はいるのだと自分に言い聞かせた。貴方の婚姻は政治的に大きな意味を持つ。不穏な気配に飛び出した。響く銃声、悲鳴。貴方が好きだった。貴方の無事を確認し、言えるはずのない想いを抱え、落ちる #twnovel

リュカ @ryuka511

「やっとできたのね」あの時のママの言葉をぼくは忘れない。みんなにできる事がぼくにだけできなくて、いっぱい練習してやっとできるようになったのに。あの時ぼくが欲しかったのはそんな言葉じゃない。だからぼくも、ママが欲しいものなんかあげない。「ぼくにはママがいません」 #twnovel

リュカ @ryuka511

穏やかな微笑で花に水をやっている隣人は殺人鬼だ。と言っても誰も信じないだろう。街を騒がせる連続殺人の犯人は彼だ。そうと知りながら何故黙っているのかって？私が彼を殺人鬼に育てたからだ。私の後継者として。彼は素質がある。実に鮮やかな手際で私を最初の犠牲者にしてくれた #twnovel