ギガベース日誌 ACT08「PHANTASMA BEING」03

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再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

金剛の実体シールドを足場として蹴りつけ、垂直方向に大きく跳ねる機体。迫るミサイルを振り解きながら放った一閃が、ハングドマンの左脚部を装甲ごと切断した。 バランスを失い、急速落下するハングドマン。それに迫るは、古い鴉が駆る純白のACだ。 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:21:25
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決着が訪れるまでの僅かな時間。細分化された時間の中で、主任とその男は言葉を交わした。 「何故、そうまでして変化に固執する?」 「完全な循環は、やがて停滞と閉塞のみに帰結する。過去を食い潰すだけの世界では、人間を救えない」 「在るが儘に生きるのが、罪だとでも?」 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:28:03
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「まさか。それこそが人の可能性だ。本能のままに蔓延し、殺し、そうして世界をも変えた。君がその最たる例だろう」 「だったら、貴方は何もわかっていない。俺が戦っていたのは、それしか無かったからだ。俺が生きたいと思った理由が、殺すことでしか守れなかったからだ」 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:30:34
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「変わったのは手段だけだ。俺は自分を変えられなかった。貴方がDfJと呼ぶ彼も、きっとそうなのだろう。俺を変えたのは俺じゃない」 「……安心したよ」 ハンガーに携行していたレーザーブレードを手に取り、ハイブーストもままならないハングドマンにACが迫る。 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:33:45
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装甲が剥離した左脚部から滑り込んだ高熱の刃は、そのまま結合部、コア下部を通過し、ハングドマンのコアを頭部まで薙いだ。 「だったら、俺は何も間違えていない」 納得と安心が込められた言葉を最後に、二人のやり取りは断絶した。 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:36:53
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「ハングドマン、全滅を確認」 「噂には聞いていましたが……乱痴気極まりない方でしたね」 静けさを取り戻した海上では、鹿島が各艦の損傷部位に簡易修復剤を塗布し始める。 特に2回もノーマルの重量を受け止めた金剛は、艤装から火花を散らし、脚部からは一部骨格が飛び出ていた。 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:44:49
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「あんなんでもギガベースの制御AIやってたんだぞ」 「3日で沈みそう」 「心外だなぁ。これでも仕事は真面目にやってたんだけどなぁー!」 再び響く主任の声。艦娘達が迅速に戦闘準備に移る一方で、DfJはコックピットの中で肺の容量を目一杯に使った溜息を吐いた。 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:50:31
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「主任。アンタと遊ぶのは良いが、そろそろ変わり種の一つでも持ち出してきたらどうなんだ」 「生憎持ち合わせに乏しくてね~!!おじさん、あれからあんまり小遣いもらえてないからさぁ」 「成程。だから、ハングドマンと"それ"しか無いってか?」 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:54:21
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上空から舞い降りる影。 ノーマルとも、ネクストとも異なる異形の輪郭は、飛行形態から通常形態への移行を経てようやく人型の形状を下方の者達に見せつける。 真紅の発行体を抱く中心部から無秩序に放たれる粒子は、死んだ海を劇的に彩った。 #ギガベース日誌

2020-03-31 15:57:41
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特殊兵器EXUSIA。DfJ達の眼前に再び姿を現した歪な巨人は、交戦の意思を見せる事無く空中に留まる。 「ご丁寧にリペイントまでしやがって。イメチェンか?」 「あぁ。久々にお前等と会えるんだ。ちょっと奮発しちゃってねぇ!」 「で、どうする?再開するか?」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:00:55
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「アンタがそれを乗り回したところで、精々神州丸あたりを沈めるのが限界だと思うが」 「ふぇ?!」 目の前の超兵器に対しあまりにも冷めたDfJの反応は、主任にこれ以上継戦の意思が無い事を察してのものだった。 「やめとくよ!これ以上はキャロりんの機嫌を損ねちゃいそうだ」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:04:52
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「じゃあなんで降りてきたんですか。まさか本当にリペイントしたEXUSIAを見せびらかしにきただけとでも?」 「……俺の今の中枢は、コイツに搭載されてる。そして、この海にやってきた深海棲艦はお前達が退けた。だから、このやりとりは奴等のネットワークを介する必要が無い」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:08:15
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「……密談か」 「あまり時間が無い。簡潔に伝える。まず一つ。オーメル本社海域を生き延びた艦娘の中に、お前達と合流していない艦がいる。彼等は地中海から北アフリカ方面に脱出し、現地の戦力と合流したようだ」 「マジか。摩耶か加古あたりか?」 「卯月と瑞鳳だ」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:20:36
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「……そうか。で、他は!」 「アンタ今『卯月と瑞鳳だったらほっといてもいいか』って思っただろ!」 「やかましいぞ天龍。主任が時間がねえって言ったの忘れたのか」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:26:37
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「ORCAは逃げ遂せた2隻の追跡と撃破を実行するようだ。が、暫くは考慮に入れる余裕も無いだろう。お前達にとっての目先の脅威は、今現在本隊と交戦している深海棲艦達なのだから」 「提督。本隊との連絡、未だ回復していません」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:32:56
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「世話の焼ける……まぁいい。俺達で潰せばいいだけの話だ。話はそれで終わりか?」 「あと2つ。DfJ、この戦場を切り抜けた次に、横須賀地下のアスピナを襲うつもりだろう」 「筒抜けかよ!」 「それでいい。サウードはお前を待っている」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:36:58
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「俺とキャロルの議論は、終ぞ結論を得られなかった。題目そのものが不確定性であるからこそ、結果のみが答えとなる。お前と不知火がアスピナに辿り着いた時、我々は漸く答えを得るのだろう」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:40:47
再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「最後に……傭兵、君に知らせておこう」 「俺に?」 「君が戦う理由。君を変えた人間は、この海にいる。護りたければ、彼等についていけ」 「……いいのか。貴方は一度は俺を否定した」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:45:34
再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「ああ。だが、君の応えでそれを改めた」 EXUSIAは海上から離れ、腕部と脚部を折り畳み飛行形態へと移行する。 「たとえその生誕が、全てプログラムされたものであったとして」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:48:36
再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「それそのものが望まれた在り方を続けても、誰かが変える事はできる。きっと変わるさ、君が何も違わないと断じたこいつでさえも」 #ギガベース日誌

2020-03-31 16:52:25
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