とても短いお話〜Twitter小説コレクション〜

以前書いたツイノベの中から、できるだけSFとギャグ要素のないものをまとめてみました。
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おーさん @osayas811

閉園後の遊園地が僕らの遊び場だった。カバーのかかったコーヒーカップはかくれんぼに絶好の場所。鬼が別のカップを見ている隙に、安全なカップに移る技。今も思い出す緊張感。でも夕闇が迫る頃、家の遠い友だちがもう帰ろうといつ言い出すのか、僕にはそれが一番のドキドキだった。 #twnovel

2013-06-11 23:56:15
おーさん @osayas811

押入れに少女がいた。かくれんぼで誰にも見つけてもらえず、そのまま座敷童になったらしい。「僕が見つけたからもういいだろ?」「ダメ。私がもういいよって言ってから」僕は襖を閉めて聞く。「もういいかい?」返事はない。襖を開けると誰もいない。次はいつ見つけられるのだろう。 #twnovel

2013-06-12 23:44:18
おーさん @osayas811

幽かに #聞こえた音 で僕は目覚めた。ピアノを弾く君がいた。「僕の好きな曲だ」君は微笑む。「君に伝えたいことがあるんだ」「何?」「今までありがとう」……「反応がありました」医者は彼からヘッドホンを外す。「ご主人が何かを言おうとしています」ええ、私には聞こえたわ。 #twnovel

2013-06-15 19:37:43
おーさん @osayas811

もうすぐ授業が始まる。僕は教室に急ぐ。階段を二段飛ばしで昇って廊下に出る。でも教室が見つからない。また階段を昇って、教室を探して、また昇って、探して……そんな夢を今でもときどき見ることがある。卒業から何十年も経つというのに。きっと何か忘れ物をしてきたからだろう。 #twnovel

2013-06-17 23:47:18
おーさん @osayas811

車掌が叫んだ。「幸福行きの電車は動きません。お客様の価値観がみな違うので」そこで目が覚めた。動物園のミニ電車に乗っていた。降りて園内を歩く。檻の中の動物は不幸だと、誰が決めたのだろう。自分の不幸を忘れたい人間かも知れない。俺の顔を見てライオンが大きな欠伸をした。 #twnovel

2013-07-04 10:32:54
おーさん @osayas811

君を裏切った僕は、君から人でなしと言われた。人でないなら何になろう。死ぬまで君の心の傷を癒し続けるものになりたい。それが僕の贖罪だから。今日も君が呼んでいる。僕は転がるように駆けていき、君の顔を舐める。ペットショップでの再開から3年。僕は君を癒せているだろうか。 #twnovel

2013-07-15 18:56:39
おーさん @osayas811

女の子は廊下のベンチで指を動かしていた。「何してるの?」と聞くと、「今日来るお友だちを数えているの。来たらまた一緒に遊ぼうって約束したんだ。あ、私の番だ」そして女の子は急に消えてしまった。そのときだよ、分娩室で泣くお前の声がパパに聞こえたのは。誕生日おめでとう。 #twnovel

2013-08-20 00:16:49
おーさん @osayas811

授業中、俺は彼女に向けて紙飛行機を飛ばす。その紙には愛のメッセージが書いてある。紙飛行機は彼女のノートの上に落ちた。紙を開いて読む彼女。え?彼女が広げた紙を俺に向けて笑っているぞ。18点?やべっ、さっき返されたテストの裏に書いちゃった。どうする。リトライするか? #twnvday

2013-09-13 10:27:14
おーさん @osayas811

世界を滅ぼせる男がいると聞き、会いにいった。だがその男はベッドにいた。家人の話では、誕生以来一度も目覚めたことがないそうだ。私は不思議な思いで彼を見た。すると急に彼の顔が歪み、今にも目覚めそうになった。「いけない」私は気づいた。この世界が彼の見ている夢だということに。 #全滅亡祭

2013-10-11 21:17:51
おーさん @osayas811

この前の返事をしたいからと、君は小学校の校庭に僕を呼び出した。「運動会のフォークダンスを憶えてる?あなた、あのときもプロポーズしたよね。答える前にペアが入れ替わっちゃったけど」「憶えてる」「だから今度はちゃんと答えるよ」どこからかオクラホマミキサーが流れてきた。 #twnvday

2013-10-14 06:15:12
おーさん @osayas811

聖夜に外出禁止令が解除された。一部の人間を除いて。「政府も粋なことをするな」人々は町の中心にあるクリスマスツリーに集まる。「外出できない人がかわいそう」やがて空から白い粉が舞い降りた。選ばれた者はどちらだったのか。粉雪に似た猛毒を浴びながら、人々は微笑んでいた。 #twnovel

2013-12-21 13:44:21
おーさん @osayas811

君からの返事がないのはわかってる。でも、既読がつくのは君の優しさだよね?君の心の痛みは僕にはわからないけれど、君が元気になれるなら、どんなことでもしたい。でも、僕にできるのは短いお話を書くくらい。いつか君の目に触れて、笑ってくれたらいいな。君の笑顔が見たいから。 #twnovel

2014-01-28 23:26:56