日本労働研究雑誌 2020年1月号~特集1:行動経済学と労働研究 / 特集2:AIは働き方をどのように変えるのか

日本労働研究雑誌 2020年1月号~特集1:行動経済学と労働研究 / 特集2:AIは働き方をどのように変えるのか / https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/01/index.html [PDF] 行動経済学と労働研究 提言:労働研究における行動経済学の有効性 大竹 文雄(大阪大学大学院教授) / https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/01/pdf/001.pdf [PDF] 行動経済学と労働研究 行動科学の視点から見た行動経済学 亀田 達也(東京大学大学院教授) / https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/01/pdf/028-038.pdf 続きを読む
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Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(。 ・ω・)フム 私自身は,“エルドラド”を素朴に信じて「あるある」型の鉱脈探しを続けるのではなく,既知の“オーソドックスな心理バイアス”の境界条件を科学的に探る(=深堀りする)アプローチが 1 つの見通しを与えるのではないかと考える。「なぜそのバイアスが存在するのか」という

2020-03-31 00:39:39
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

Why Question(Tinbergen 1963)を問うことが,反復観察や「あるある感」に支えられたロバストさの“素朴な担保”を超えて,政策・応用場面でバイアスを「道具」として鋭く使うための“科学的切れ味”を鍛えるだろうという見通しである。

2020-03-31 00:39:39
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(・д・)ホォー 「当該のバイアスがなぜあるのか」という問いを科学的に進める上では,進化生物学者Niko Tinbergenの言う機能的(functional)説明に焦点を当てることが重要になるだろう。

2020-03-31 00:39:40
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機能的説明とは,バイアスが,その持ち主の生存にもたらすメリット,言い換えれば,バイアスの誘因(インセンティブ)に注目する視点だ。単なる「認知的ケチ(cognitive miser)」の原理ではなく,バイアスが「積極的な生存機能」をもつ(もっていた)という視点である。

2020-03-31 00:39:41
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ベネズエラのHiwi族における資源分配パターン pic.twitter.com/lBhChO5AVL

2020-03-31 00:40:59
拡大
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

資源獲得に伴う分散が大きいほど,他の家族に分配される比率が高いという現象は,さまざまな狩猟採集社会で共通して認められる(Gurven 2004)。

2020-03-31 00:41:00
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

現代社会における社会保障制度や所得再分配の仕組み,コミュニティにおけるさまざまな互助組織も,不慮の事故や不遇に対するリスクを集団全体として減らすセイフティ・ネットである。言い換えると,

2020-03-31 00:41:01
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

ヒトの進化史を通じて(狩猟採集社会から現代社会に至るまで),社会的分配はリスクヘッジの機能を果たしてきた。この意味で,社会的分配に関わる意思決定は,個人のリスク評価と,進化的に極めて密接な関係にある(Kameda,Takezawa and Hastie 2005)。

2020-03-31 00:41:02
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分配における功利主義者はギャンブル場面でリスクを取るが,ロールズ主義者はリスクを避けるという結果である。第三者としての他者への分配,自分自身のリスク下の意思決定(ギャンブル)という全く異なるタスクの間で選択行動に共通性が見られたという結果は,

2020-03-31 00:41:04
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2つの場面での意思決定が,心理的に共通の機序(パラメーター)によって制御されている可能性を示唆している。

2020-03-31 00:41:05
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参加者たちは,選択行動(“イデオロギー”)ではマキシミン(ロールズ)主義者,平等主義者,功利主義者に分かれたが,選択に至るまでの情報探索では,分配,ギャンブルの両方の課題において,とくに決定の直前に「低」の情報をチェックする割合が,全員共通して大きいという結果である。

2020-03-31 00:42:14
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

これらの結果は,「最不遇状態への関心」が,全参加者を通じて,少なくとも注意や思考のレベルでは,自発的に起きていることを示している。

2020-03-31 00:42:15
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(。 ・ω・)フム 一連の実験の出発点は,John Rawlsの正義論(Rawls 1971)にあった。Rawlsは,中立で公正な分配判断を行うための「概念的な仕掛け」として,無知のヴェールを構想した。このヴェールをかぶると,自分に関するあらゆる事実

2020-03-31 00:42:16
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(人種・階層・地位・財産・能力・年齢・性別・健康状態などを含む一切の個人的な属性)を知ることができなくなり,自分にとって有利な分配のかたちを追求することは不可能になる。周知のように,Rawls は独自の思考実験により,無知のヴェールのもと,

2020-03-31 00:42:16
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

人々は最不遇に目を向けるようになり,最不遇状態を最大に改善するマキシミン原理を全員一致で採択すると論じた。もちろん,Rawls の思考実験は極めて“人工的”であり,その立論を規範的議論(〜べき)から経験的命題(〜である)にそのまま展開することには大きな無理がある。

2020-03-31 00:42:17
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(・д・)ホォー しかし,実験の結果は,「無知のヴェール」という人工的な仕掛けを使わなくても,社会的分配とリスク意思決定で共通して,最不遇・最悪の状態に最大に留意する「マキシミン的な思考」を人々が自発的に行うことを示している。

2020-03-31 00:43:24
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

狩猟採集社会における肉の分配から,現代社会における社会保障や所得再分配制度に至るまで,社会的分配は,生存の脅威となるさまざまなリスクを,集団的に減らすための安全装置として機能している。「事態がどの程度悪くなり得るのか」に気を配ることは,生き残りのための必須要件だと言えるだろう。

2020-03-31 00:43:25
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

「不遇な状態の可能性」にとりあえず「身をおいてしまう」(その視点をつい認知的に取ってしまう)という“認知的バイアス”はそうした生態環境の中に起源をもち,それゆえに,分配判断,リスク決定のいずれにおいても

2020-03-31 00:43:26
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

プライマリーなアンカー(Frohlich and Oppenheimer 1992)になる,と私たちは考える。つまり,「リスク分散機能」を果たすという境界条件のもと,①ロールズ的な“不遇への関心”は人々の心の中で,イデオロギーの差を超えた第一次的な(おそらく進化時間に起源をもつ)

2020-03-31 00:43:27
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

認知バイアスとして共通に働き(e.g.,Engelmann and Strobel 2004),②選択行動におけるイデオロギー差は,その共通バイアスに,当人の置かれた社会文化的あるいは個人的生態条件からの補正がかかり生じるのではないか。

2020-03-31 00:43:27
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

[PDF] 座談会:AIは働き方をどのように変えるのか 池田 心豪(JILPT主任研究員)(司会)貞松 成(global bridge HOLDINGS 代表取締役CEO)中原 淳(立教大学教授)原 有希(日立製作所主任研究員)山本 陽大(JILPT副主任研究員) / jil.go.jp/institute/zass…

2020-03-31 00:44:54
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

中原 すごく気持ちがわかります。立教大学経営学部でもたくさんのデータをとっていますので。データを取っていると,あれもできる,これもできる,それもできる,となっちゃうのですよね。

2020-03-31 00:44:55