2020年4月3日

戦車小話~ドイツ戦車の足回りは複雑で壊れやすい?

なんとなく複雑な造りで壊れやすかったという印象のある大戦期ドイツ戦車の足回り。でもホント? みたいなおはなし
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えすだぶ @FHSWman

大戦期ドイツ戦車の足回りが複雑だった事と、壊れやすかった事とは別の話として見るべきなようにも思います。個人的にはむしろ「凝ったお陰であんな規模の車両でもなんとか持ちこたえていた」のではとも思うです #マシュマロを投げ合おう marshmallow-qa.com/messages/814f2…

2020-04-02 19:35:32
えすだぶ @FHSWman

まず「足回りが複雑だった」という話なので、ドイツ戦車のなかでも虎豹以降の話としましょう(III号IV号はまあ割とシンプルですし)。さて大戦期の各国戦車を見渡して、そもそも重量45tを超えるような戦車がどれだけあったでしょうか? そう、ドイツ除けばほぼKVとISくらいのもんです

2020-04-02 19:45:18
えすだぶ @FHSWman

そんでKVの信頼性に関してはご存知の通りです。50tに迫ったあたりでもうどうしようもなくなり、大変な苦労をしてKV-1Sで軽量化したり、ISでどうにか上手くまとめ上げて46tで一応満足行く程度に落ち着かせましたが、まあその程度車格なのです

2020-04-02 19:50:08
えすだぶ @FHSWman

車両は重たいほど厄介になるもので、45tを超えるような戦車ではそれまで許されていたようなシンプルな足回り(変選択摺動式変速、クラッチ・ブレーキ操向、隙っ歯な走行装置…)ではKVのように失敗します。しかし大戦期ドイツ戦車は手の込んだ事をやってその限界を広げた……こう考えてはどうでしょう

2020-04-02 19:59:29
えすだぶ @FHSWman

例えば大戦期ドイツ戦車でよく槍玉に挙がる千鳥式や挟み込み式転輪ですが、あれは荷重の均等分散の他にも一軸あたりの重量軽減にも役立ってます。王虎でも一軸3.7tくらいで、当時の戦車でも一般的な範囲の数字。これが仮に片側6転輪なら1軸5.7tとか大変な事になり、転輪寿命が酷い事になってたでしょう pic.twitter.com/z65yhIOnw3

2020-04-02 20:05:06
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えすだぶ @FHSWman

参考までに転輪一軸5.4tをやらかしたのがこいつ。案の定転輪ゴムの損傷が酷いと問題になっております。いっぽう千鳥式/挟み込み式転輪の虎や豹なら大重量でも多数の転輪に分散して支えられたので、転輪一つあたりの負荷はT-34と似たようなものに抑えられておりました pic.twitter.com/XdTWtg6t5H

2020-04-02 20:12:58
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えすだぶ @FHSWman

ドイツ戦車の足回りの複雑な所としては、走行装置のほかには駆動系も挙げられます。特に凝ってたのは変速機と操向装置ですが、信頼性についてひどい文句は聞かれません。これらは複雑なせいで信頼性の低下を招いたというよりは、凝った事をやったお陰で大重量の車両をうまく成立させられたという方かも

2020-04-02 20:19:05
えすだぶ @FHSWman

例えば操向装置。ソ連戦車が多用したクラッチ・ブレーキ操向は左右動力の断接が0/1でハッキリしてて、カーブの曲がりだしがカクっときます。その際に最終減速機に多大な負荷がかかって壊しやすい。KVなんかは大重量でも同じ操向装置なものだから急旋回かけた途端に死亡となりやすかった訳ですが

2020-04-02 20:28:29
えすだぶ @FHSWman

いっぽう虎や王虎が採用した二段半径二重作動式の操向装置は動作モードにクラッチ・ブレーキを含みません。流石に乗用車みたいな完全自由半径旋回とは行かないけれど、曲がり出しは比較的スムーズで、急激な負荷は発生しづらい。このお陰で60~70t近い戦車でもある程度は壊れにくく抑えられたのです

2020-04-02 20:48:16
えすだぶ @FHSWman

T-34とかのクラッチ・ブレーキ式操向装置と、虎の二段半径二重作動式操向装置の歯車回路を比べるとこんな感じ。見るからに後者のほうが複雑ですが、かといって複雑で壊れやすいかというとそうではなく、むしろシンプルな前者のほうが乱暴な動きになり易くて戦車を壊しがち pic.twitter.com/f9dGvymdjZ

2020-04-02 20:59:15
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えすだぶ @FHSWman

この点パンターの操向装置は虎に比べるとちょっと簡易で、急旋回のときは動作モードがクラッチ・ブレーキになります。なので急旋回をかけた時に最終減速機に負荷が掛かって壊しやすい。悪名高いパンター最終減速機の信頼性問題の一因は複雑な装置にあるのではなく、むしろ簡易版であった為なのです

2020-04-02 21:02:33
えすだぶ @FHSWman

勿論そんなことは当のドイツも分かってて、パンターIIでは王虎と共通のより凝った駆動系にすることで負荷を減らそうとしたのですが、でも手間がかかって生産が追っつかなくなるというので結局最後まで簡易版とせざるを得なかったのでした。原因も対策も分かってたけど実行ができない、というよくある話

2020-04-02 21:05:20
えすだぶ @FHSWman

そんなパンターでも最終減速機を除く信頼性は実は悪くありません。パンターの履帯と走行装置の寿命は2000km程度、エンジンは1000~1500kmと言われますが、実はT-34やISが改良を経て最終的に達成した寿命も大体似たようなもの。戦車というもの自体が1500kn走ればまずまずの出来という乗り物だったのです

2020-04-02 21:12:23
えすだぶ @FHSWman

思うにドイツ戦車の放棄が相次いだのは何もドイツ戦車の機械的信頼性だけのせいでなく、単純に後半はだいたい負け戦だったという事にもあるんじゃないでしょうか。同じ程度の故障でも勝っていれば後でじっくり修理できるけれど、敗走していたら諦めて放棄せざるを得ないかも知れません

2020-04-02 21:18:31
えすだぶ @FHSWman

だいたい現代でさえ60t超えてくるような戦車は大変な感じがでてきて、70tはまあ無理かなみたいなところがあるのです。ましてや70年前では無理難題もいいとこです。しかし大戦期ドイツ戦車工学界はそれを一応まあなんとか騙し騙し使い物になる程度に仕上げた……これはとてもすごい事なのです

2020-04-02 21:29:37
えすだぶ @FHSWman

当然その上で「そもそも戦車を無暗に太らせるからいたずらに難易度が上がってしまうのであって、太っても破綻させないように努力を注ぐより、まず出来るだけ太らせずに性能を向上させる事に注力した方がよかったのでは?」という指摘はあってもいいかもだけど……まあそっちも別方向の難しさがあるので

2020-04-02 21:36:22
えすだぶ @FHSWman

もちろんドイツぢんも戦車のいたずらな大型化に無頓着だった訳ではなくて、例えば「戦車は全長が1m増えるだけで最悪10トンとか重くなるぞ! だからエンジンは小さく!短く作れ!」なんて警句が言われてたり、実際それを反映して彼らの戦車用エンジンは素敵に短いのだけど……うん、エンジンだけは… pic.twitter.com/JGCmyRByko

2020-04-02 22:23:57
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えすだぶ @FHSWman

パンターの断面図を眺めてると「前輪駆動ってくそ美味しくないのでは?」みたいな気がしてくる。 pic.twitter.com/V2aiPcAGIn

2020-04-02 22:31:40
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えすだぶ @FHSWman

豹や王虎のレイアウトでは車体前方の変速機交換ハッチを設ける必要があるんで、車体前方天板のサイズがそれなりに必要。それと機関室で砲塔リングを挟むと、もう車体長の最低長さが決まっちゃう。これでは長さを抑えたコンパクトなエンジンがあっても相殺されちまいます pic.twitter.com/2Ev3GC69rd

2020-04-02 23:09:38
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えすだぶ @FHSWman

かといって虎みたいに変速機を交換するためにまずわざわざ砲塔を引っこ抜かないといけないのも……。まあ先述のように虎の変速機と操向装置は実際出来が良いので、これをやる必要はそんなに無いのですけど。最終減速機はもっと壊れやすいですが、あっちは外から手を付けられますし pic.twitter.com/vAUPWli6E1

2020-04-02 23:12:18
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えすだぶ @FHSWman

シャーマンの前面装甲がそのまま操向装置ハウジングになってて丸ごと引っこ抜く設計は対弾性の観点では文句もあったりしますが、でもまあ前輪駆動かつ前面が大傾斜装甲の戦車でメンテナンス性をうまく料理するには悪くない手ではありましたよね pic.twitter.com/U74Ka6mMAO

2020-04-02 23:15:13
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えすだぶ @FHSWman

前輪駆動のもうひとつ旨くない点が砲塔バスケットの必要性。これは装填手が歩かなくて済む便利装備みたいによく言われますが、ドライブシャフトがなく床が平らであれば当時の戦車では別にそこまで必要でもなかったのです。むしろ戦闘室高さが食われたり車体側とのアクセスが悪くなったりの害が大きい pic.twitter.com/AP3WutH9SN

2020-04-02 23:27:00
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えすだぶ @FHSWman

大戦期の戦車にとっての砲塔バスケットは、動力旋回する砲塔に追従して歩く装填手が床下を這うドライブシャフトに足をとられないように守る安全装備に過ぎないみたいな所があります。だから手動旋回砲塔の戦車には要らないし、床が平らな場合も無くていい。実際パーシングとかあえて廃止してますし pic.twitter.com/b9LDJO1dQ7

2020-04-02 23:38:12
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えすだぶ @FHSWman

なんとかこいつらの良いとこ取りしたらパンターも最終的に30t台で済んで全て丸く収まってくれないかなあという気持ちと、そんなこと出来る時間があったら苦労はないんだよなあという気持ち pic.twitter.com/5r15XgUU75

2020-04-02 23:42:37
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えすだぶ @FHSWman

戦車漫談、雑なのでよくないけどたのしいんだよなあ

2020-04-02 23:56:07

コメント

緑川⋈だむ @Dam_midorikawa 2020年4月3日
WW2でこれなら最近のMBTとか軸重にどうやって対処してるんだろう
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高瀬玲/タカセアキラ @takaseakira 2020年4月3日
主題に対して中身がちょいずれてる気がする 壊れやすさの話じゃなくて 機構とそのメリットに言及してる感じ
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