
戦車小話~ドイツ重戦車って具体的に一体何がそんなに重くなってるの?

ISとP虎ってサイズは殆ど同じなのだなあと唐突に気づく。そんで装甲厚も略々同等で、なのに後者が10t以上重い。ええ……? pic.twitter.com/Ief29THfHZ
2021-03-03 17:39:31


ドイツ重戦車って具体的に一体何がそんなに重くなってるの?という、意外にちゃんと考えたことがなかった問いにぶつかる
2021-03-03 17:41:23
P虎は電気駆動系が重いのかな……とは言え10tはねえじゃろとか、それにヘンシェルの虎にしたって長さを幅に振り替えただけでやっぱり似たようなものだよなとか
2021-03-03 17:48:55
装甲車体、砲塔と武装、機関系、足回りなんかの各パーツが総重量に占める比率を見てみると、同時期他国の戦車に比べて何かの要素が異様に重くなってるとかは特にないんですよね。言い換えると全体的に薄ら重い
2021-03-03 17:56:24
そうそう。大戦後半のドイツ戦車といえば足回りが複雑で重いという印象があるかもですが、意外に総重量に占める足回りの比率はシャーマンやT-34と同等だったりします。足回りは上の重さを支えるためにこそ必要なものなんで、足回り自体のせいで重いって事にはあまりならない様子
2021-03-10 00:36:09
虎に豹、シャーマン、T-34でいずれも足回りが占めるのは総重量の25%前後と、なんだか奇妙な一致を見ています。ある太さの足が支えられるのはこれだけの重さという感じで、物理的にそういう風になってしまうものなのかも知れません
2021-03-10 00:46:33
戦後すぐに書かれたソ連の戦車設計手引きを見ると、車体袖部があるとその分実質車体がさらに広いのと同じになるし、一番厚い前面装甲の幅も増すんで車体重量が無茶苦茶増えがちだぜ!とか書かれてはおります。言われてみるとISは袖部があるとはえ控えめだし前方は絞ってる、いっぽう虎は目一杯ある、か pic.twitter.com/C2cFI3KsEj
2021-03-03 18:12:18

更にパーシングなんかは一番上のシンプルな構成だし、外寸は虎に近くても実質的には車体が小さいので軽く済むわけですね。ただし当然内部容積はその分狭くなるんで弾薬搭載方法に苦慮することになる(砲塔バスケットを廃止して床下弾庫拡大)、その上でなお持てる弾数は虎より少ないわけです
2021-03-03 18:19:20
思い返すと、大戦期ドイツ戦車って砲威力が増していった後も搭載弾数にあまり妥協してないですわね。他国なら弾薬がデカくなった分だけ積める数が減っちゃうのは仕方ないよねでもりもり削ってるけど、ドイツは一貫してほぼ維持してる
2021-03-03 18:23:36
王虎の弾薬なんかIS-2の122mmの薬莢と弾頭合わせたのと同じくらいのサイズがあるわけですが、それを2.6倍の数積んでるのです。現用120mm弾薬とも同じくらいの寸法で、それを72発……こいつ戦車の歴史の中でもトップクラスに弾が容積を食ってるんじゃないかしら pic.twitter.com/BjV4HPA9GO
2021-03-03 18:30:20


あとは砲塔バスケット。あれ付いてると無条件においしい素敵装備なんではなくて、場所を食うんですよね。ソ連戦車やパーシングはあれ無しにしたお陰で狭い車体でも弾数をある程度持てたわけです。逆にドイツはバスケットも弾数も維持してるんで、そりゃ容積を食っちゃうわね
2021-03-03 18:39:43
こいつがT-34とほぼ同じ車格で36~40tの予定。袖部は無しだから軽く済ませやすく、でもT-34より装甲は厚いのと差し引きで、まあそんなもんかなという感じかしら。ドイツ戦車もVK3601まではまだサイズに対して異様な重さにはなっていないのだなあ pic.twitter.com/D0wMqAV5DP
2021-03-03 18:46:13

やっぱり車体袖部が問題なのかしらん。豹やヘンシェル虎は言うに及ばず、ポルシェの虎だって一応袖部を絞ってはいますけどISに比べりゃずっと巨大ですし
2021-03-03 18:53:53
砲威力が増して弾薬が嵩張るようになっても従来戦車並の弾薬搭載数を維持しようとし、そのために履帯上に張り出した大きな車体袖部を設けて空間を確保した。しかし装甲面積が増したので車格や装甲厚の割には妙に重くなってしまった……ドイツ重戦車にはそんなストーリーが立つ気がするです
2021-03-03 19:03:38
(一連のお話を考えるときに前提として把握しておいてほしい虎の内部配置) pic.twitter.com/7pV4mPrO6q
2021-03-09 23:12:26

同王虎。やっぱりこいつは弾薬の占有容積が異様です。まあこの弾薬サイズだし、砲塔バスケットが邪魔で床下弾庫も難しいから他にどう置けるよって感じですが pic.twitter.com/0MbLktfFMP
2021-03-10 00:10:58

とまあなんかそれっぽくまとめましたが、実際そうだと何かで確認した訳じゃありません。そう考えると筋が通る気がするよなという程度のおはなしですので、あんまり真に受けないでくださいまし
2021-03-03 19:08:33
そういうわけでこちらをご覧くださいまし。あくまで「そんな気がする」程度のおはなしですが twitter.com/FHSWman/status… #マシュマロを投げ合おう marshmallow-qa.com/messages/42b9f…
2021-03-03 19:09:54
質問見ながら特に回答するつもりでもなく「そういやよくわかんねえな?」と迷走ツイットしていたらいつの間にか回答めいたものがひねり出せてしまったので、話が妙な流れになっちゃいました
2021-03-03 19:12:06
ひねり出せて「しまった」 ここ重要です。なんかよくわかんないけどそう考えると筋は通るよねというおはなしが組みあがっただけで、実際に当時のドイツ戦車開発においてどういう議論があったのかとかは一切拾っておらんので、あくまで妄想の一つでしかありません。ご注意重点
2021-03-03 19:14:06
ソ連戦車でもIS-4なんかは袖部に弾薬と冷却系を置いてたりとレイアウトがかなりドイツ戦車的で、でも前後は絞って出来るだけ袖部を縮小しようとはしてて。そんでも(重装甲なのもあるにせよ)60tになっちゃうわけで、やっぱりこの構成は軽くしづらいのかもだ pic.twitter.com/GeUKIj8zss
2021-03-03 19:23:56


逆にM103なんかあの図体で60t切ってるんですよね。袖部を設けるのの逆というか、実際の車体サイズは相当小さく抑えてます pic.twitter.com/Bqh2p3slII
2021-03-03 19:34:35


M103は車体サイズを抑えた代償に何を失ったかというと、これもまずは搭載弾数になるのかな。あの図体なのにISに毛が生えた程度の33発しか積めてません(改良後に38発)。IS同様に分離弾薬なので弾頭と装薬に分けられて搭載効率は良い筈だけど、いかんせん大きさが大きさですし pic.twitter.com/uREzQ2GzqF
2021-03-10 19:26:28

あとは航続距離ですか。搭載燃料1060リットルという量自体は十分多い部類なのだけど、810馬力のガソリンエンジンに食わせて60tの戦車を走らせると路上で130kmしか持たない。初期のセンチュリオン程よりはマシだけど控えめです
2021-03-10 19:29:20
実際その航続距離の短さは問題だと思われてたみたいで、これがM103A2ではディーゼルになって480kmに大躍進! と、これは同時に搭載燃料が600リットルも増えた結果なのね。一体どこにそんなスペースが……
2021-03-10 19:33:23