デイヴィッド・リヴィングストン『科学の地理学』読書メモ集

荒木優太 @arishima_takeo

「科学知識は、多くのさまざまな場所でつくられている。その場所は、問題になるだろうか。科学活動がどこでなされるかということは、科学の営みに違いを生むだろうか。さらに重要なことは、科学の内容に場所が影響を与えるだろうか」（リヴィングストン『科学の地理学』）。面白そうだろ？

荒木優太 @arishima_takeo

ダーウィン進化論は、ロシアとカナダで別のことを意味した。ベルファストとエディンバラでもそうであるし、労働者のクラブと教会のホールでも異なった。byリヴィングストン『科学の地理学』

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エデンの園に木を植えたときに、神は最初の庭師ではなかったろうか。byリヴィングストン『科学の地理学』

荒木優太 @arishima_takeo

一八世紀末のパリの病院にはわずか六人の患者しかいなかったが、それでも伝染病患者と陣痛が進んで出産しそうな妊婦、死に際の患者を分けようとするような努力はほとんどなされなかった。byリヴィングストン『科学の地理学』

荒木優太 @arishima_takeo

精神病院は、監視と科学的・道徳的な治療空間であり続けてきた。それは、少なくとも一八世紀末までは公的な娯楽の場でさえあった。ベドラムと人びとが呼ぶようになった場所では、訪問者たちは一ペニーさえ払えば、娯楽のために病棟を散歩することができた。byリヴィングストン『科学の地理学』

荒木優太 @arishima_takeo

「一七世紀の道徳哲学者で政治哲学者のジョン・ロックは、天使は顕微鏡的な眼が授けられていたのではないかと考えていた」（リヴィングストン『科学の地理学』）。へぇー。

荒木優太 @arishima_takeo

「フンボルトのメキシコに関する著作の英語の評者は、フランス語やドイツ語の評者よりも明らかにより批判的で、自然神学を弁護するために判断を下しがちであった」（リヴィングストン『科学の地理学』）。へぇー。

荒木優太 @arishima_takeo

「北方ロシアの生物は、小さな密な生態的地位に詰め込まれているわけではなかった。ロシアの進化論者にとって、ダーウィン流の闘争は、単にシベリアの土地や気候に適合しなかったのである」（リヴィングストン『科学の地理学』）。これは面白いなあ。相補扶助大好きクロポトキンは地理学者でもある問題

荒木優太 @arishima_takeo

「後年、測量は、アメリカ合衆国地質調査所の測量のように、大陸としてのアイデンティティを持つアメリカの国民意識〔の形成〕に少なからず貢献した」（リヴィングストン『科学の地理学』）。ソローパースミード問題。

荒木優太 @arishima_takeo

「リネー自身は、基本的には自分自身を国家の建築家と考えており、彼の頭脳は、彼が「自然の経済」と呼ぶものや、神の経済、国民の経済政策とのあいだを柔軟に行ったり来たりした」（リヴィングストン『科学の地理学』）。これもおもろい。

荒木優太 @arishima_takeo

メルカトルの有名な一五六九年の地図投影法は、諸大陸の形に合ってはいるが、その相対的な大きさを正しく表わしてはいない。メルカトルの地図は、一様な磁針方向を保持するために、航海上の目的に合うよう意図的に細工が施されている。byリヴィングストン『科学の地理学』

荒木優太 @arishima_takeo

ジェームズ・クックが一〇〇をはるかに超えるオーストラリアの岬や湾、島に、しばしばヨーロッパの自然誌家たちの名前を用いて付けたとき、彼はローカルな命名を一挙に消し去り、はじめてその場所をヨーロッパの流通に持ち込んだ。byリヴィングストン『科学の地理学』

荒木優太 @arishima_takeo

リヴィングストン『科学の地理学』読了。期待どおり非常に面白かった。普遍的に見える、つまり何処でも通用可能に見える科学＝知がいかに地理性に依拠しているのか、流通（地域から地域への翻訳）の過程でどれくらいの変容を被るのか…豊富な例示とともに論じる。

荒木優太 @arishima_takeo

強いてリクエストをいえば、地理学と物理学・化学からの視点ももっとありうるのでは、と思った。地理学と宇宙、とか。