連続テレビ小説『スカーレット』とはどんなドラマだったのか？放送終了前後からの感想と考察のまとめ

窪田浩一 @ko1kubota

働きながらお金を貯め、そのお金で学校へ通おうとしていた。そうして自分で自分の運命を切り開き、教養を身に付け貧困から抜け出せる可能性を描きながら、それもまた父親の作った借金の為に潰される所を描き、主人公が自分の世界を広げる機会を失い、その後再び広げる事はなかった。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

実際に喜美子が貧困から抜け出せたのは八郎と出会ったからであり、八郎から陶芸を習い、共に工房を興して、共に働く事で、段々と川原家は裕福になり貧困から抜け出せる事が出来た。八郎だけの力ではなく、半分は喜美子の力である事は間違いないが八郎の力なくしては不可能な事だった。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

どうも、このドラマは女の幸せは男次第、女の人生は男に左右されると描いていた様な気がする。照子は有能で優しい婿に恵まれて幸せな人生を送ったし、百合子が貧困から抜け出せて幸せになれたのも、信作という優しい男と結婚して優しい義両親に恵まれたからだ。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

直子は鮫島との結婚がどうだったかはっきりは分からないが、商売は最終的には上手くいかなくなった様だし、鮫島と別れてお金持ちの布袋さんと付き合う様になり服装が派手になり羽振りも良くなった。このドラマを喜美子の自立の物語見る向きもあるけど… #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

八郎と共に築いて来たものを基盤にし、全て八郎にお膳立てして貰った上に、最後は八郎から全てを奪い去った上での成功は本当に自立と言えるかどうか疑問だし、博打の様な穴窯の成功は余りに特殊であり、一般的な女性の自立とは程遠い物語だった。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

結局このドラマは未だに日本は男社会であり、その社会で女性が自立して生きていくのは難しいという現状を描いたドラマだった気がする。その社会をどう変えていくべきか、そのヒントは散りばめられていた様に思うけど、全てはただのヒントのままで実を結ぶ事は何もなかった。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

という事で、僕はこのドラマはかなりシビアに現在の男性社会を批判したドラマに思える。喜美子の成功と八郎との別離を持って、制作陣は自立した女に男は不要と言いたいのか？という批判も目にしたけど、制作陣は決して喜美子と八郎の別離を肯定的には描いていないと思う。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

むしろ女性の仕事での成功と女性としての幸せが両立しない事の多い現状を批判的に描いていたと思う。ある意味様々な社会的問題を描いていたドラマだと思うけど、問題提起はするけど答えは出さない。答えは視聴者に委ねた事で、それが伝わらなかった視聴者も多かったと思う。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

そういう所を見ると、この様な視聴者に答えを委ねる様な作品は、少なくとも日本のドラマでは少なく視聴者は慣れていないので難しいというのが良く分かったという事が出来ると思う。色々と挑戦的な作品だったと思うけど、どれだけその成果があったかと言うと厳しかったという気もする。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

#スカーレット は陶芸のドラマでもあったけど、喜美子の成功を肯定的に描きたくなったからなのか、喜美子に関する限り陶芸に関する描写はかなり物足りなかったし、分かり難かったと思う。陶芸に関する描写では武志の波紋の作品に関する描写が最も詳しく描かれ、感動的だったと思う。

窪田浩一 @ko1kubota

そして武志の作品制作の過程で、八郎がアドバイスしたりコーチ的な役割を負ったのも良かったと思う。ここでも喜美子は余り関わっておらず、その辺も主人公の扱いが微妙なドラマだったと思う。八郎に関しては新人賞を取った作品は唐突に出来た印象だったけど… #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

コーヒー茶碗の制作を通して喜美子と過ごした時間がこの作品に繋がったと思える展開だったし、喜美子の太陽の笑顔に触発された作品というのも説得力があって伝わったし、良いシーンだったと思う。脚本にはコーヒー茶碗の制作の終盤喜美子が反省したり… #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

八郎の新人賞を取らねばというプレッシャーを和らげようとするシーンもあったので、それがカットされなければもっと分かり易く感動的なエピソードになったと思う。また、陶芸家としての壁にぶち当たって苦悩する八郎の描写や和食器セットに到達する過程も丁寧に描写されていたと思う。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

それらの描写に比べると喜美子の陶芸に関する描写はかなり控えめだったと思う。喜美子の陶芸への思い、作品への思いというのが殆ど描かれないまま唐突に自然釉を再現したいという強い思いに向かってしまったのだが、どうにも唐突にしか感じなかった。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

それまでの絵付小皿とかの喜美子の作品からの飛躍も大き過ぎるし、八郎はかなり前から喜美子の造形力を評価していたが、造形に対する喜美子の思いや拘りが語られた事も一度もなく、最初の穴窯の作品もそれ程造形に凝ったものではなかったと思う。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

造形よりも自然釉の再現にウエイトが置かれていたと思うけど、自然釉の再現はどちらかと言うと、技術的技法的なものであり、陶芸家としての才能とは余り関係ない気もする。その辺もそれで良いのか？という気がしないでもない。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

穴窯の最初の成功から7年経過後には結構造形に凝った作品が増えてた印象だが結局喜美子の造形力が発揮され始めたのは穴窯の成功後からという事だと思うし、その過程も描かれていない。また、喜美子は八郎や武志と違って一度も作品で悩んだ事もないし… #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

こういう作品を作りたいとイメージを追った事もない。それが天才だという表現だとしたらつまらない。天才ならどんどんイメージが溢れて来て止まらない様な表現があっても良かった筈だし、八郎に言われて自分の作品を作り始めた時も、それで作品作りの楽しさに目覚めて、湯水の様に… #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

次々と作品を作り始めるのかと思いきや、数作で途絶えてしまって続かなかったし、本当に陶芸が好きだったのか、作品を作りたいという欲求があったのか疑問だった。まあこの辺りは喜美子の受けていた抑圧のせいだと解釈出来るけど、もっと喜美子の陶芸への思いを描いて欲しかったと思う。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

そういう事も含めて、色々な問題提起をする関係で、大阪編までの自分で運命を切り開いて行くという展開から離れて行ってしまったが、本来 #水橋文美江 さんはそういうドラマの方が得意だと思うし、その方向性で最後まで描かれるドラマを観たかったと思う。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

さて、そろそろまとめに入ろうと思うけど、手離してもまた繋げば良いという事を描いたドラマだというのが、大きな本筋だったと思うけど、手を離すまでの展開が衝撃的過ぎたのと、手を繋ぎ直す際の描写は控えめでカタルシスを避けたものだったので、イマイチ伝わり難かったと思う。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

また、最後はいつもと変わらない1日が特別な1日という事を強調して描き、それと併せて照子や百合子の様な専業主婦を喜美子より幸せな様に描写した事もあり、女の幸せは良い男と結婚して良き妻になる事。という結論にも見える様なドラマだったと思う。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

おそらくそんな事はなく、でも、人生において本当に大事な事は何か？それは仕事で成功する事よりも、家族を持って大事な家族と平凡で平和な日常を過ごす事ではないか？という問いかけをしてるドラマではないかと思った。 #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

その為喜美子の成功を肯定的に描かなかったのが、モデルはいないとした1番の理由だったのかもしれないと思う。そして、その上で、その幸せを掴もうとしたら才能のある女性でも仕事を諦めたり、逆に仕事を選んだら女性としての幸せを諦めなければならい世の中はおかしいのではないか？ #スカーレット

窪田浩一 @ko1kubota

…と問題提起したドラマだったと思う。しかし答えは出さず視聴者にその答えは委ねられている。また、ドラマの中で喜美子と八郎の失敗も描かれている。最終的には2人は関係を修復し、失敗してもやり直せば良いと描かれているが、失敗を失敗と捉えない事で不満を抱えた視聴者も多かった。 #スカーレット