ジャンプ愛好家による『黒子のバスケ』キセキの世代についての解説
- Gungnir3228
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チャラくて友好的→「黒子っち」 生真面目→「黒子」 元相棒→「テツ」 ふわっとした子ども→「黒ちん」 怖いキチガイ→「テツヤ」 呼び方でもキャラを立てる小技
2020-04-10 08:51:05逆に、キセキに対しても 「リョータ」 「真ちゃん」 「大ちゃん」 「敦」 「征ちゃん」 と名前で呼ぶキャラがいて、フルネームを覚えさせる、小技
2020-04-10 08:57:52さて、赤司について。ラスボスである。青峰をエースとして配置してしまったので、青峰の格を落とさず、かつ、ラスボスとしてキャラを立たせる必要があった。更に、「中学で堕ちるに足る何があったのか?」の説得力も必要。
2020-04-15 19:03:46赤司。なので、司令塔としてのハイスペック特殊能力&チームメイトも無冠三人&新型黒子&オヤコロキチガイと、全力で属性を盛ってきた。赤司のデザインが完了して、作品の勝ちがほぼ確定した。
2020-04-15 19:05:44キセキ。誤解を恐れず言うなら、女性ファン向け「あざとい」の極地なキャラメイク。そこらへん詳しくはないが、例えば、絶大な女性人気を誇る「おそ松さん」の六つ子にキャラコンセプトが近い。赤司も「ジャンプで跡部景吾が異次元のレベルで売れた」を下敷きにしてできたキャラだと思っている。
2020-04-15 19:18:13黒子は黒子の皮を被った熱血少年漫画主人公。火神はまんま熱血少年漫画主人公。メイン二人は王道なのだが、キセキ五人をあざとく、そしてナーバスにデザインした。このバランスが絶妙。
2020-04-15 19:20:05さらに上手いのは、キセキはウケ狙いであざとく作られたのではなく、ああいうキャラである物語上の必然性があるということ。あの「脆さ」があるからこそ、彼らは中学で堕ち、黒子にぶん殴られて救済された。囚われのお姫様が五人いるのである。
2020-04-15 19:22:16帝光編。完成度が恐ろしく高い。上手いのは、①ラストバトル直前まで引っ張り、ラスボス赤司までがっつり試合をさせ能力をお披露目し、可能な限り全ての情報を開示したこと&②絶大な人気を獲得したキセキにブレることなく、鬼畜ムーブをさせたこと。
2020-04-15 19:37:56藤巻先生は自作のキャラ愛に溺れ、ヌルい過去編を描いてしまうようなお人ではなかった。中途半端な過去編を先出しするような愚も犯さなかった。作品へのドライさと計算高さが結実した。
2020-04-15 19:41:59帝光編。「どうやってキセキは堕ちたのか?」という作品の謎に説得的な解決を与える、ミステリ的完成度の高さ。まず、「事態を収拾できる大人を退場&板挟みで動けなくする」工夫。
2020-04-15 20:23:43上級生は引退、名将たる監督は病気退場、緊急昇格コーチは若く、上からの圧力もあり身動きがとれない。チームは無敵だから新たな監督を呼ぶ必要性も「外形的には」ない。赤司の暴走を誰も止められない。
2020-04-15 20:26:27キセキの亀裂もよく練られている。本来は熱血主人公、赤司の暴走を止められそうな青峰だが、彼は真っ先に一人だけ覚醒し、大人の手も差し伸べられぬまま孤立し堕ちる。
2020-04-15 20:29:38生真面目な緑間だが、彼は入学当初から赤司と一番多く接し、彼の異変に少しづつ気付いていたので、率直に言うと、「赤司にビビって」いる。なので介入できず、練習不参加というわかりやすく怠慢な青紫に怒りをそらす。紫原は体格に恵まれすぎて元来から歪んでいたし、赤司に直接的にビビらされていた
2020-04-15 20:34:38黄瀬は新参で下っ端だし、そもそも、あいつ完璧超人で「できない子」の気持ちがわからない。だからチームの問題にも気づかない。黒子も所詮お助けシックスマンにすぎず、まだ味方も殴ってでも止められるような熱血主人公性は獲得していない。
2020-04-15 20:44:27さらに、①成長期なので能力に身体が追いつかない。練習でキセキ同士のマジバトルは禁止&②キセキは全員「自分が最強だと思っている。他のキセキに対する同族嫌悪」。この二つがキセキの分断&決裂を加速させる。
2020-04-16 03:34:11ラストバトル。ギチギチにやるべき展開を全部詰め込んで描き切った。ラスボス赤司に、無冠三人、新型黒子黛。無冠はそれぞれ、木吉、日向(とコガ)、伊月のラスボスとして機能している。
2020-04-16 03:39:01これに加え、赤司ゾーン、天帝の目攻略&赤司精神崩壊、主人格の復活、疑似ゾーン、新型ゾーン、と特殊設定を大量にふんだんに詰め込み、きっちり勝利&完結させた。
2020-04-16 03:43:12作品の勝因。①影が光を手に入れて堕ちたキセキをぶん殴る、というコンセプトの勝利。②そのコンセプトに従い、キャラメイク&配置に徹底的に拘る。③出し惜しみなし前のめりに死ぬスタイル。あたり。
2020-04-16 04:10:26加えて④過剰気味にぶっこむ。緑間のオールコート3Pとか、ミスディレオーバーフローとか、オヤコロ赤司とか。競技バランスとか来年の展開とか良識とか、そういうものを割り切って捨てられる潔さがある。
2020-04-16 04:12:32打ち切りサバイバルにも適応した。兎に角最初の1クールで黄瀬を倒し早期打ち切りを回避、次に緑間というインパクト抜群のボスを配置。緑間戦で安定した人気を確立し、満を持して負け展開を入れてきた。
2020-04-16 05:08:34修行展開でも、青黄対決や紫氷室登場を入れ、青峰再戦をWC本戦初っ端に入れ、中ボスバトル。キセキ以外との試合に紙面を割かず、初期のライバルを準決勝。満を持して帝光編。そしてラストバトルへ。無駄のない流れ。
2020-04-16 05:22:16ひたすら褒めてきたけど、作品の粗は多々ある。ここでは言及しない。ただ、粗の取捨選択が上手い、という印象。そういう意味でも、よく計算された作品なのだと思う。
2020-04-16 07:45:55最後に、この作品の芯。登場人物に純然たる才能の壁があって、壁のこっち側もあっち側も、どっちも苦しんでいる。主人公の黒子はこっち側で、火神とキセキはあっち側。持たざる黒子が、ラッキーパンチを五発当ててキセキを救う、そんな刹那の話。これが最後までブレなかったのが、強い。
2020-04-16 08:02:20