掌小説語り~自作つぃのべる集~53

自作ついのべるのまとめです。 2017年9月分。
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リュカ @ryuka511

閉じ込められた檻で壁を蹴っている私を、唆かす私がいる。私は囁く。いいぞ、もっとだ。欲望のままに暴れるがいい。こんな檻など壊してしまえ。私は外へ出るべきなのだから。私でありながら私ではないその声に怯える。それを外へ出してはいけない。だが、檻を壊すのを止められない #twnovel

2017-09-27 00:25:48
リュカ @ryuka511

対峙した敵将は若かった。こんな若造に我々は敗れたのか。「お前は何の為に戦う?」「私の剣で平和な国を作る!」青さに堪えきれず笑う。「どんな大義名分を掲げようが戦とは殺し合いだ。我が兵の血を吸った剣で築く平和とやら、冥府の底で見せてもらおう」遠のく意識で笑ってやった #twnovel

2017-09-28 00:16:30
リュカ @ryuka511

丘の立ち枯れた木の下で、君は僕に花冠の作り方を熱心に教えていた。上手くできない僕に君は不満げだった。「こんな事もできないの?」「こんな物何の役に立つんだよ!」思わず投げつけた作りかけの花冠は、ばらばらに散らばった。その少し後。僕の作った花冠は、君の棺に入れられる #twnovel

2017-09-29 00:23:01
リュカ @ryuka511

魔女は劇場で人間の歌を覚え、真夜中の舞台で歌うのを楽しみにしていた。魔女は悲しい歌を好み、心を込めて歌うほど歌には魔力が宿った。悲劇はそこから始まる。魔女は気付かなかった。世を嘆き終焉を願う歌は、魔力を得て終焉を実現させた。そんなつもりは無かったと、魔女は泣いた #twnovel

2017-09-30 00:18:31