【月食記念】月のツイノベ まとめ【2011/6/16】
夜明け前の街道にセンはいた。満月が影に食われていくのを馬上から見つめる。やがて浮かぶ、暗赤色の月。手綱を握る己の左手にゆっくりと視線を移した。微かに震えている。太陽光という祝福を受けぬ月の光。それは彼の中の普段は抑え込まれている因子を刺激する。そう、あの──。 #twnovel
2011-06-16 16:40:34同時刻、同場所。ロジェは街道脇にいた。木に寄りかかり、暗赤色の月の下で一人何かに耐える男を見守っている。保険、だ。もし男が己を制御できなくなった場合、控えている彼が手を下す。政府の、そして守護者総帥からの厳命であり、また今耐えている男自身が望んだことでもあった。 #twnovel
2011-06-16 22:33:57#twnovel 「お月様、見えないねぇ」 「雨模様の天気じゃ仕方ないさ」 「ねぇ」 「何だよ、俺の腕にぶらさがって」 「また筋肉付いたんじゃない?」 「月(にくづき)の話かよ///」
2011-06-16 22:45:26いたいの、いたいの、とんでいけ。 遠い月までとんでいけ。 切なさにいたむ心だけでも、なぐさめてもらって帰っておいで。 #twnovel #twpoem
2011-06-16 23:10:23「今日は月蝕があったんでね。見たんだ」「そうですか」美術部部長と生徒会長が美術室で話している。「早起きした甲斐があったよ。インスピレーションが降ってきた」「そうですか。しかし美術部部長。いえ、生徒会副会長」生徒会長は彼の頬を引っ張る。「仕事がたまってるんです」 #twnovel
2011-06-16 23:12:05月曜日には恋に落ちよう。 火曜日にはデートに行こう。 水曜日には涙を少し。 木曜日には仲良くなって、 金曜日にはプロポーズ。 土曜日にはすべてをやめて、 日曜日にはまたパーティーをしよう。 #twnovel #twpoem
2011-06-16 23:13:30数万人がもらった宝石を、今夜は私がプレゼントされた。バッカみたいと笑っていたけれど、数万人の女性たちと同じように、私もまた、左手の薬指を月へと掲げ、うっとりしている。 #twnovel
2011-06-16 23:15:46#twnovel お月様は目だちたがり。昔はもっと明るくて、太陽みたいだったけど、空を見上げて自分のことを、ずっと見上げてほしいから、明るさぎゅっと弱くした。お月様は目だちたがり。
2011-06-16 23:18:26ツキのないキツツキがツキあったのは、ツキやといのツキヨがらす。タカツキの木からツキおとされて、ツキなみの恋と命はツキてしまった。 #twnovel
2011-06-16 23:19:06縁側 蚊取り線香 畳に落ちる月明かり 虫の声 サラサラの布団 ごろ寝するいとこ達 クスクスと聞こえる笑い声 一緒に寝転がる私 浴衣姿でうちわを扇ぐ母 「目を閉じて」と低く言う若い母の懐かしい声 目を閉じるとすぐそこに聞こえた気がした #twpoem #twnovel
2011-06-16 23:19:42赤い月が追いかけてくる。狼たちと逃げるけど、花はすべて燃えてしまった。破滅をあざ笑う本たちが、人を残らず喰いつくす。私が世界を救ってみせる。きっと月光を取り戻す。明日の朝、変な夢を見たって話せるように。今これを読むあなたが、普通の現実を生きられるように。#twnovel
2011-06-16 23:23:28#twnovel 月に恋をするなんて、なんと愚かしいのでしょう。決して届かないのに、とても気まぐれなのに、どうして愛してしまうのでしょう。ほら、月が奇麗だよ。僕は君に話しているの、気付いているだろう。ほら、月が奇麗だよ
2011-06-16 23:29:49#twnovel 悲しい夜には月を探しなさい。誰に言われたか忘れてしまったが、私は悲しい事がある度に夜空に月を探す。時に丸く時に薄く、そんな月を見上げていると、いつしか心は静かに落ち着くのだった。こぼれ落ちそこねた涙は月の子供達になって、大きな涙粒である月に帰って行ったのだろう。
2011-06-16 23:30:29#twnovel 月に一度の憂鬱。月に一度の躊躇い。月に一度の勇気。月に一度の怒り。月に一度の無謀。月に一度の頑張り。月に一度の怠惰。そうやって30日分作って、一日だけ何も考えないであなたを待つ。ちょうど50回目の今夜も待っている。
2011-06-16 23:37:42#twnovel 「すこしみにくいね。薄く雲がかってて」「だな」「何年ぶりとかの月食なのに」「うん。それよりどうよ?」「熱も下がってきたよ。なんか、いいね、ロミオとジュリエットみたい」隣の家。窓越しの会話。俺とお前の間にうっすら浮かぶ月。まぁ、いいか。次はお前と子供と三人で。
2011-06-16 23:37:57@1_dark あの月に手が届いたらキスすると約束をした。少し屈んだ僕の指先には大きく凹んだ穴が触れる。感触なんて分からない。ぽろりと涙が零れて浮かんだ。きみはもういない。 #twnovel
2011-06-16 23:47:52@1_dark 「空が曇っちゃって月食見られなかったんだ」「それは、ツキが無かったな」 #twnovel テキトーでゴメンなさいm(_ _)m
2011-06-16 23:48:48月を食べたい。真ん丸でおいしそう。琥珀色のシロップを掛けたらきっと最高よ。娘の言葉に魔王は厳つい顔を歪にしながら(笑っているのかもしれない)、答えた。「娘よ、月はお前にやるぞ。だが今は先に勇者を始末せねばな」娘は美しい肢体をくねらせ笑む。「勇者も、食べていい?」 #twnovel
2011-06-17 00:00:53#twnovel 幾らほどの塵が集まれば月となるのか。瓦解した世界の中で数えきれないほどの礫塊に囲まれ、思案するのは再生を司る女神。太陽は変わらず燦々と照っているが、文明の名残がある物はそれを拒絶する。結局、彼女にできるのは全てを塵へと還すだけだった。いっそ、月光よりも冷やかに。
2011-06-17 00:02:10#twnovel ある日、月がいなくなった。何日経っても現れない。月のない世界は暗く、寂しく、悲しい。世界中の人々が嘆き、月の帰りを祈った。権力争いに興じる政治家や独裁者たち、紛争地帯の兵士たち…皆が争いをやめて空に祈ったその日、月は再び満ち始めた。@1_dark
2011-06-17 00:06:10@1_dark 月の如くに気持ちが変わる 君に恋して幾年も 泣いて笑って怒って恥じらう 君を見つめるだけの日々。幾度目わからぬ涙の君を慰める手の行き場を変えて もう手を伸ばしてもいいですか?涙に濡れるその唇に 僕も触れてもいいですか? #twnovel
2011-06-17 00:06:41鉄格子の中から覗く夜の帳は酷く静かで、まるで地上から生き物が消えてしまった様な神聖さを飾っていた。擦り切れた本を頁を繰る。先人達は皆、月を食らわすは人間の業だと語った。ならば、私の業は如何程か。霜の下りた足枷。見上げれば空の真円に竜が一匹、巻き付いていた。 #twnovel
2011-06-17 00:15:18風神は、坐り心地よい雲を集める。龍神は雨を降らせ、下界の人間をさっさと家に帰す。雷神は、古今東西美味い酒集め。さあお役目果たして、今夜は神々だけの月見会。雲に腰掛け、冴えざえ輝く月を独り占め。 #twnovel
2011-06-17 00:16:35