【月食記念】月のツイノベ まとめ【2011/6/16】
地面に揺れる輝く球体に幾つもの羽が浮かんでいる。しとしとと振る雨の中でも、その誘惑には勝てずに大小問わず仲間が散っていった。さぁ僕も飛び込んでいこう。揺れる水たまりに映るまあるく輝く光へ。水面にぶつかり途切れる意識の中、上空に浮かぶまあるい球体が発見できた #twnovel
2011-06-17 00:21:03雨じゃあ仕方ない。楽しみにしてた皆既月食の観測は諦めた。雲の向こうに隠れちゃあ色気もなにも無い。またの機会もあるだろうし、満月は何度も見られるしな。何となく恨みがましい気持ちを残して床に就いた。そして、月は消えた。そんな様子だったんだよ、彼女が居なくなった時は。 #twnovel
2011-06-17 00:22:04@1_dark地球~月は光速で約1.3秒かかる。つまり月に鏡を設置して、そこに反射した、この部屋から出た光を望遠鏡で見る事ができれば、約2.6秒前のこの部屋の様子が見れる。で、実際に望遠鏡を覗いてみると、刃物を持った男がこの部屋に入って来るのが見える。誰こいt #twnovel
2011-06-17 00:25:59月のない夜に出会って、半分の月の夜に手を繋ぎ、まぁるい月の夜にキスをした。月が欠け始めてまた距離が開き、新月の夜にまた出会う。交わす言葉も少なく、でも気持ちまでも離れた訳ではなくて。三日月の頃に抱き締められ、満月の夜明けに一緒になった。その月蝕は私達の永遠の柩。 #twnovel
2011-06-17 00:26:31「月が欠けていく」悲鳴が上がる。端から齧られるように黒い闇が浸食していく。ほんの数分の出来事。薄ぼんやりと膨らんだ輪郭が見える。月だった物達は、何億もの数に分裂して地球に向かっていた。速度はさほどでもない。だが、数日後には届くだろう。大量のかぐや姫達が降るのだ。 #twnovel
2011-06-17 00:36:48「月が綺麗ですね」「月が綺麗だと思うのは、見上げる心が綺麗だからだ」「……貴方には月はどう見えますか」「照明」「あら?」「ヒロインを照らす為の照明装置」「あんなに綺麗なのに?」「君を照らす照明だ」「では貴方がお相手を演じてくださいますか? 人生の幕が降りるまで」 #twnovel
2011-06-17 00:38:37夜のきざはしに立って、夜明けまで夜を見ている。満ち月がゆったりと空を渡って行く暗がりを、風切る鳥の羽音。蛙たちの愛の歌。 #twnovel
2011-06-17 00:44:14#twnovel 久しぶりの電話だと言うのに、たわいのない会話が続いている。距離とともに気持ちも離れているのだろうか?不意に彼が月が見えると言うので、こちらも窓から見ると、満月が見えた。遠くにいるのに近くにいるような気分。月明かりのおかげで会話が随分と進んだ。月が仲人みたいね。
2011-06-17 00:47:50#twnovel 手紙なんか書かなくったって判るよ。きっと、あんたと私は同じことをしてるんだろう? 亡くなったお父さんを想って月を見る。それだけでも立派な親孝行じゃないか。仕送りありがとうとか、体調はいかかですかとか、取って付けたような言葉……悪か無いけどね。父さんはどう思う?
2011-06-17 01:05:37「月が綺麗だな。そう思わないか?」「雨降ってますけど」「月がお前の美しさに嫉妬して泣いてるのさ」「月も貴方に見られたくないのですね」「その辺りもお前にそっくりだな」「さて、今日は満月だそうです」「そうか、なら月見酒だな。付いて来い」 #twnovel 「雨、強くなってきましたね」
2011-06-17 01:10:42雨が降る。雨が降る。線になった雨を引っ張ったら雨雲がごっそり抜けて、月が顔出した。「お月さん見っけ」傘の下からご挨拶。お月さんは光っている。 #twnovel
2011-06-17 01:15:57#twnovel 天文ファンの彼と、皆既月食を観測した。彼は興奮気味で、宇宙の神秘に釘付け、といった様子。…少しだけ妬ましい。私は思わず、アノ事を言ってしまった。「…私の月のものも来ないの。…皆既月食なのかな」 と、彼は望遠鏡を放り出し、しばしの無言の後、私を抱きしめた。
2011-06-17 01:41:36#twnovel 超能力者達の間で月の裏側の念写が大流行。人の顔をした岩や、有名キャラに見える三つのクレーター。UFOのような物も写り込んでいた。幾多の念写の中でも狂っているとしか思えない月の風景を写す人がいた。念写とは詰まるところ心を写すことであり、その人はルナティックだった。
2011-06-17 01:47:51「夜ごと姿を変えるあの月になど誓わないで」そう言ったのはジュリエット。私ならむしろ月にこそ誓って欲しい。心なんて、揺れて当然。それでも私への想いで満ちる日があるのなら。満月を覆う雲。あなたの光は見えないだけで、雲の向こうはきっと明るい。そう思ってて、いいよね? #twnovel
2011-06-17 02:22:05包丁研ぎ士になった息子の悪い癖。睡眠導入剤が効かない夜は「うふふ。うふふ」と呟きながらいつまでも包丁を研いでいる。刃は毛髪のように薄くなり、新月のように細くなり、いまにも消滅してしまいそうだ。彼は魂を削っているのか。 #twnovel
2011-06-17 04:09:09