年齢の壁を越えて

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ゆいない @yuunayokoyama

1 私が彼と出会ったのは4年前 その時の私は薄雲がかかったような世界にいた 志望していた3つの国公立大学に落ち、東京の私立大学に入学することになった 私の家はとてもではないが裕福といえる家ではなかったし、下に3人の兄弟がいることから私立大学なんてもってのほかだった #エイトで妄想

2020-04-17 22:12:41
ゆいない @yuunayokoyama

2 浪人するのにもお金がないし、高卒では看護師になれないから仕方なく私立大学に入学した 看護師になることは小学生からの夢だったから、まだ大学に入れただけ感謝だ 今は少しでも家族の負担を無くすために勉強を頑張ることと、沢山バイトをしてお金を稼ぐことしかできなかった #エイトで妄想

2020-04-17 22:13:05
ゆいない @yuunayokoyama

3 私は国公立大学に落ちてしまったという絶望の中、勉強とバイトに明け暮れる日々だった 同じ大学の友達はサークル活動をしたり、遊びに行ったりしていた 私はそれを羨ましく見るだけだった 私は時給がいいということで都内の高級焼肉店でバイトをしていた #エイトで妄想

2020-04-17 22:13:23
ゆいない @yuunayokoyama

4 その店は有名企業の上層部の方や海外の方、さらには有名芸能人の方たちが訪れるような店だった 今日も某IT企業の上層部たちが大人数で来店なさっていた ほとんどが50代男性と思われる中、1人だけ若い方がいた 30代、ひょっとしたら20代ぐらいの男性 #エイトで妄想

2020-04-17 22:14:04
ゆいない @yuunayokoyama

5 1人だけ年代が違うなか、浮くことなく皆さんと楽しそうに食事をしていた 空いたお皿を片付けているとき 「ありがとう」 手前の男性が声をかけてくれて目が合う 綺麗な顔をしていた その顔がニコッと笑う その瞳に吸い込まれるような錯覚を覚える #エイトで妄想

2020-04-17 22:14:22
ゆいない @yuunayokoyama

6 数秒間見つめ合ったとき、我に返ってお皿を片付け退席した 退席してからもドキドキが止まらなかった バイトが終わってからも彼のことが頭から離れなかった #エイトで妄想

2020-04-17 22:14:50
ゆいない @yuunayokoyama

7 それから1週間後、その彼が同僚と思われる人たち数人とこの店に来店した また目が合った そしてニコッと笑った 胸が高鳴った #エイトで妄想

2020-04-17 22:15:05
ゆいない @yuunayokoyama

8 それから毎週、彼はこの店を訪れるようになった 彼はいつも私に笑いかけたり会釈をしてくれる 次第に、週に1度か2度訪れる彼のことを楽しみにするようになった ある日、彼は1人で来店していた #エイトで妄想

2020-04-17 22:16:02
ゆいない @yuunayokoyama

9 「お会計はご一括で…」 会計の際、カードを受け取るとカードの下に小さく折りたたまれたメモのようなものがあった その紙を開くと電話番号が書かれていた 「お客様、こちらは…」 『俺の連絡先』 「えっ…」 『時間ある時でいいから連絡して』 #エイトで妄想

2020-04-17 22:16:12
ゆいない @yuunayokoyama

10 彼は会計を済ませると颯爽と店を出ていった 私は突然の出来事に呆然としてしまった バイトが終わってすぐ、渡された連絡先に電話をかけた あんなに綺麗な人から連絡先を教えてもらえたことが嬉しくて私は舞い上がってバイト中もずっと何も考えていられなかった #エイトで妄想

2020-04-17 22:16:54
ゆいない @yuunayokoyama

11 「もしもし!あの、さっき連絡先をもらった…」 『岸井さん?』 「えっ…なんで知って」 『いや、お店で名札付けとるから』 「あっそういうことですか…」 『でもこんなすぐに電話してくるとは思わんかったわ笑』 「あっすいません!ご迷惑でしたか…?」 #エイトで妄想

2020-04-17 22:17:06
ゆいない @yuunayokoyama

12 『いや、むしろ嬉しいです あの、今週末ランチでもどうですか?』 私は早速こんな誘いを受けるとは思ってもみなかったのでさらに舞い上がった 「…はい!是非!」 #エイトで妄想

2020-04-17 22:17:15
ゆいない @yuunayokoyama

13 そして週末 彼は黒い外車で私の住むマンションまで私を迎えにきてくれた 『お待たせ、乗って』 「はい、ありがとうございます…!」 すごい…こんな外車なんて、はじめてだ 彼の車で少し行ったところにオシャレなイタリアンレストランがあった 『ここ、俺のよう行ってるお店』 #エイトで妄想

2020-04-18 22:26:43
ゆいない @yuunayokoyama

14 彼の車で少し行ったところにオシャレなイタリアンレストランがあった 『ここ、俺のよう行ってるお店』 彼とは初対面とは思えないほど会話が弾んだ 話が上手じゃないし、人見知りな私だが彼と話すのはとても楽しかった #エイトで妄想

2020-04-18 22:26:50
ゆいない @yuunayokoyama

15 彼とは初対面とは思えないほど会話が弾んだ 話が上手じゃないし、人見知りな私だが彼と話すのはとても楽しかった 定員さんに気遣うところや、食べ終わったお皿を重ねておく姿にも好感が持てた 料理もとても美味しく、お店を選ぶセンスがあるなと思った #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:03
ゆいない @yuunayokoyama

16 そしてまた次の週にはランチデートの約束をした そして私と村上さんは何度もデートを重ねた ある日、ショッピングデートでのカフェで休憩中、 「そう言えば、村上さんっておいくつなんですか?」 『俺?35』 「えぇ!!」 #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:09
ゆいない @yuunayokoyama

17 「そんな驚く?笑 逆にいくつぐらいだと思ってたん?笑」 『いや、、30歳ぐらい ひょっとしたら20代ぐらいかと…』 「ほんまか?笑 20代って言われたのはいつぶりやろ笑」 いや、童顔って訳じゃないけど、こんな綺麗な顔で35歳…!? そんな風にはとても見えない… #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:16
ゆいない @yuunayokoyama

18 『奈那ちゃんはいくつなん?』 「18です」 『18!?』 「えっ…見えませんか?笑 確かにちょっと童顔かもですけど…」 『いや、ずっと23ぐらいやと思ってた笑』 「え!? だいぶ失礼ですよ?!」 #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:22
ゆいない @yuunayokoyama

19 私は童顔で、若く見られることが多かった まさか上に見られてたとは思わなかった 『って言うことは大学生…?』 「はい 大学1年生です」 『まじか笑 俺、ずっと大学生と一緒におったんや笑』 私が18歳 村上さんが35歳 っていうことは17歳差!? こんな歳の差あったんだ… #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:37
ゆいない @yuunayokoyama

20 こんな歳の差あったんだ… 『…ごめん 俺、大人失格やな』 「え?」 突然村上さんが思いがけないことを言い出した 『未成年を何回も連れ回して、ほんまごめん』 「いや、そんなこと…」 『帰ろか』 「えっ…」 #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:44
ゆいない @yuunayokoyama

22 ショッピングモールを出て村上さんの車に乗る 車の中で私たちは何も話さなかった 村上さんは私のマンションまで送ってくれた 『今までほんまにごめんな 俺の連絡先は消していいから…』 「私、村上さんのことが好きです」 #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:48
ゆいない @yuunayokoyama

23 2人の間で沈黙が流れる 「私は未成年かもしれないけど、私は村上さんのことが好きです …それでもダメですか?」 村上さんの綺麗な瞳に見つめられて息が止まりそうになる #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:53
ゆいない @yuunayokoyama

24 『…じゃあわかった これからは友達じゃなくて、恋人として一緒にいよう』 恋人という言葉に胸が高鳴る 『それならええやろ』 「…はい」 こうして私たちは恋人になった #エイトで妄想

2020-04-18 22:27:57
ゆいない @yuunayokoyama

25 それから私たちは毎週金曜日の夜に会うようになった そしてだいたい月一のペースで週末もデートするようになった こんなことが1年近く続いた 私は19歳 信ちゃんは36歳になっていた #エイトで妄想

2020-04-19 22:51:21
ゆいない @yuunayokoyama

26 ある金曜日、夜景が綺麗な高層ビルのレストランに誘われた いつも通り他愛もない会話をしているとき 『なぁ 結婚しよう』 信ちゃんが突然そう言った 『俺、この先奈那よりも好きになれる人おらんと思う 奈那とこの先もずっと生きていきたい』 #エイトで妄想

2020-04-19 22:51:29