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Yuusisaitou
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#美少女戦士セーラームーン YouTube無料配信で、若き日の庵野秀明監督が感涙したという第34話を見た。 大変素晴らしい回だったので、この回についての感想・考察を書いてみようと思う。 こちらのツイートを参照させて頂きます。 ※扱う作品については完全ネタバレです。ご注意下さい。 twitter.com/tona_tona2/sta…
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庵野秀明さんがセーラームーンで初めて感動したシーンは、34話の変身バレで、うさぎが顔を赤くする部分。 その理由は、「生命の危機の中、うさぎが衛に初めて裸を見せる決心をしたのが、心の琴線に触れた」という事らしい。 。 pic.twitter.com/4oUpXuyvMs
2014-03-29 23:58:19![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
基本的には私が個人的に思ってるだけの暴走気味の妄想です。 これが正解とか、「庵野監督はこう言いたかった」とかを代弁する類のものではありません。 そこのところをご了承ください。
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まずこの回がどういう回か。 無印セーラームーンは謎解き形式で、段々主人公達の過去が分かってくる構成。 序盤は何故、何のために戦うのか、自分は誰なのかという、後のシリーズではわかりきってることがわかっていない状態。 後に恋人同士になるうさぎと衛はツンケンしていて仲が悪い。 pic.twitter.com/53N0LqE76L
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うさぎと衛はセーラームーンとタキシード仮面という関係だが、お互い正体を知らない。 ムーンが敵と戦闘中にタキシード仮面がどこからともなく現れ助けてくれる。それが毎度お決まりの流れで、ようは「仕事場だけの関係」みたいなもの。 pic.twitter.com/blsnKE8wQy
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さて、件の回では衛の正体が敵にバレてしまい、敵のアジトに決着をつけに来いと脅される。更に衛は前話の戦闘で重症を負っている。正真正銘の大ピンチである。 衛が敵の指名地点に向かってる最中に事情を知らないうさぎと出会ってしまい、様子がおかしいことに気付いたうさぎがついてきてしまう。 pic.twitter.com/TeqEhdpeO4
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二人は敵の罠にかかってしまい、敵の基地に誘い込まれてしまう。最上階まで直通のエレベーターのなかで、なぜ衛がこの件に関わっているのか不思議がるうさぎ。「まさか衛が憧れのタキシード仮面なのでは…」という勘繰りをする。 pic.twitter.com/XzntPefkde
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庵野監督が泣いたというのはこの次の場面。敵の卑劣な罠により、閉じ込められた二人は迫りくる炎の中、生命の危機に直面する。 「(どうしよう…セーラームーンになったら正体がバレちゃう…!でも、このままじゃ2人共死んじゃう…!!)」 うさぎは、変身を決意する。 pic.twitter.com/IzIyTUC85V
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衛が見ている前で、意を決し手を振り上げるうさぎ。 「ムーンプリズムパワー!!メーイクアップ!!!」 この時頬が赤く染まる。 そしてそのまま、衛が見てるなかいつもの変身バンクが始まる。 庵野監督はこの「頬を染めるうさぎ」に感動して、初めて今作で涙を流したらしい。 pic.twitter.com/aOiOrHgJKp
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セーラームーンの変身シーンといえば、身体のシルエットのみの表現に段々衣服が纏われていくという刺激的な演出で当時大変話題になった。思春期の男児などはこのシーンを直視出来なかったとか(私もちょっとハズカシイ思いをした記憶がある) pic.twitter.com/YrxoBsyKrS
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で、庵野監督曰くこの場面でうさぎが頬を染めるのは「衛に裸を見られるから」だとか。同席した幾原監督は眉唾のようで、ファンの間でも議論された解釈じゃないかと思う。 私は庵野監督に完全に同意で、感動して涙してしまった。今回、この解釈の論証を行いたいと思う。 pic.twitter.com/GrPbIsRcOX
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無印セーラームーン34、35話というのはファンの間でも有名な一つのクライマックスで、物語の核心に迫る重要な回。 この二話は前後編のような完全に地続きなのでセットで語られることが多いのだが、実は重要な回がもう一つある。第34話の前の、第33話である。 pic.twitter.com/C3mEUxjuj7
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基本一話完結のセラムンにおいて、話が次の回と繋がっているということ自体がイレギュラーなのだが、実は34、35話は33話から繋がっている。正確には「33、34、35話の三部作」と捉えるべきなのである 今回のYouTube配信の感想ツイートを見ていても、34、35話のセットで括っている方が多いように見受ける pic.twitter.com/thDTklUDHg
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私が思うに、件の頬染め演出に関しては特に33話の存在が非常に大きい。 第33話の内容を簡潔に説明すると 「セーラー戦士達のピンチに必ず現れるタキシード仮面に目をつけた敵が、ムーンの偽者を活躍させて、その偽者を吊るし上げて標的を誘き出そうとする」 という話。この回でも結構なピンチに陥る。 pic.twitter.com/ZSRhA1zcnA
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この回がなぜそんなに重要なのかというと、うさぎの心理変化に与える影響である。 セーラームーンは正体を隠したヒーローで、世間的には「月野うさぎ」はただの女子中学生で、ムーンとは別人と捉えられている。これはスーパーヒーローもののお決まりの設定だが、この設定にはあるジレンマが付随する。 pic.twitter.com/QaDO4oSEqx
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それは「世間で賞賛されているヒーローは本当は自分なのに、誰もそれに気づいてくれない」という二面性。 特に「好きな人がヒーローの自分を好きで、普段のサエないの自分に振り向いてくれない」なんてのは、もはやお決まりである。 pic.twitter.com/HeCRiyDrk7
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つまりこの手のキャラクターは「素の自分」と「ヒーローの自分」という相反する二つの自我によるアイデンティティの分裂、という問題を抱えている これを上手くドラマに活かしてるのが第33話なのである。この回で、偽ムーンはわざと大衆の前で事件を起こし、喝さいを浴びる偽ムーンにうさぎが嫉妬する pic.twitter.com/zKhFKKeSVy
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【補足】 このシーンで私が連想したのが「スーパーマン(78)」だ。 無印セーラームーンは基本的に大衆の前で活躍しないのだが、この回だけは偽物の扇動活動ということもあってやけにスーパーマンっぽいシーンが散見される。 pic.twitter.com/cBszNGXjlU
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この回ではそれこそうさぎにスーパーマンのジレンマ的要素を付与させたかったのではないか。 pic.twitter.com/YqNj6dGhDs
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この回では、別にこの偽ムーンに衛がホレるなんてことはないのだが、衛は偽ムーンに食いついて敵の罠にかかってしまう。意味合い的には「もう一人の自分に想い人を取られた」ということに近い。 pic.twitter.com/653VCvJyMZ
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この33~35話は、ほとんど動きのなかったうさぎと衛の関係が急速に進展する恋愛劇でもある。 だのでこの「偽者騒動」というのは確実にそこに至るまでのセットアップとして意図的に用意された事件なのである。
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件の「変身シーン」は、確かに元々「衛に正体を明かす」という作中でも特に劇的な場面であることにかわりはない ただ、ここで頬を染めさせるということは、うさぎの心理に何か「いつもの変身とは違う揺らぎ」を付与させたいという意図があるのは間違いない 私は、ここに33話からのコンテキストを見出す pic.twitter.com/XRgn0cwXv4
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秘密遵守型のヒーローというのは、言ってしまえば自分の領域だけの活動で、実はそこにかかる責任は薄い。本来の自分には繋がりがないのでいつでも辞められるし、ミスをしても本当の自分が傷つくことはない。ある意味で「幼い」、自己満足的な活動とも言える。故に本当の自分が認められることもない。 pic.twitter.com/513sS9erMb
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ここでうさぎは、ある意味で「最も気になる異性」の前で、自分の重大な秘密を暴露する。 この瞬間「月野うさぎ≠セーラームーン」という図式は崩れ、一つの人格として統合される。つまりこの場面は「大人になる」「成長する」という意味合いなのだ。 pic.twitter.com/7URjfBcqoY
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「憧れ」というのは幼い感情で、一方的な想いであることが多い。うさぎも「あの素敵なタキシード仮面さまがこんなイヤな奴と同じなわけがない」と自分に言い聞かせている。これは恋愛ではなくただの憧れなのだ。
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あくまで仕事上の関係で、お互いに自分の良い面しか見せてなかった二人が、正体を曝け出し合う あなたの知ってる飾り付けた普段の私は、本当はこんな奴ですと明かす覚悟が必要になる 憧れの異性の本性を知る、本当の自分を見せるというのは少女が大人になるための通過儀礼的意味合いを含んでいると思う pic.twitter.com/mDp93vWvv7
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