原発爆発 “安全神話”はなぜ崩れたか

NNNドキュメント’11「3・11大震災」シリーズ6を文字おこししています。 倒壊して外部電源喪失の原因となった鉄塔は耐震審査の対象外の一般構造物だった。 アメリカの安全対策を紹介しています。日本との違いに驚きます。 ナビゲーター:倉澤治雄(日テレ解説委員)
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とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 事故の前、後藤さんをはじめ現場の技術者が公の場で意見を述べる機会はほとんどありませんでした。この日参議院の委員会で後藤さんは、制御棒の脱落などひやりとする事故が多数起きていたのに隠されてきたと報告しました。トラブルがあっても「大したことはない。 (続く

2011-06-20 12:25:53
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 重大な事故にはつながらない」と過小評価する傾向が日本では強かったというのです。

2011-06-20 12:27:26
とし @toshihiro36_sub

後藤:シビアアクシデントですね。過酷事故と日本では言います。このことは日本では存在してはいけないことになっていた。日本ではシビアアクシデントは存在しない。スリーマイルやチェルノブイリがあってもですね。なぜかというと非常に信頼性が高くて安全に作りこんでいて、チェルノブイリとは(続く

2011-06-20 12:30:51
とし @toshihiro36_sub

後藤:炉型が違う。スリーマイルのような失敗はしない。改善もした。こう言っていたんです。だから研究する時にも過酷事故と言えないんですよ。「設計条件を超える」という言い方をするんですけど。しばらくして1992年に原子力安全委員会の方から「やはり過酷事故というものは存在しうる」 (続く

2011-06-20 12:36:09
とし @toshihiro36_sub

後藤:「しかし工学的に十分安全に作りこんでいるから、特に対策を要さない」「だから、義務化しない。規制しない」「ただし、事業者の自主的努力でやってくれ」これが現状なわけです。

2011-06-20 12:38:33
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 最悪の事態を想定し備えるのが、安全設計の常識。しかし日本では、その常識が通用しなかった。そう語る後藤さんの話に、議員たちも衝撃を受けました。

2011-06-20 12:40:51
とし @toshihiro36_sub

倉澤:「日本では起こり得ない」と楽観論が支配してきた、原子力発電所の安全管理。今回のような過酷事故への対応は国の安全規制の対象とはならず、電力会社の自主性だけに委ねられてきました。安全を過信した国の怠慢ともいえます。

2011-06-20 12:44:48
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 一方これまで原子力を推進してきた専門家の中には、汚染地域でボランティアに動き出した人もいます。原子力委員会の委員長代理を務めた田中俊一さんです。田中さんが通っているのは原発から33キロの飯館村の長泥。放射線量が高いいわゆる「ホットスポット」です。 (続く

2011-06-20 12:49:50
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 田中さんは農家の人たちの相談に応じ、放射能に汚染された家や畑などを除染する実験を行っています。若いころから原子力の可能性を信じ、原子力一筋でやってきた田中さん。福島の事故はまさに悪夢でした。せめてもの償いにと、放射性物質を取り除く活動を (続く

2011-06-20 12:53:46
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 広げていきたいと考えています。屋根の上や畑の土に降り注いだ放射性物質を薬剤で固めて取り除き、放射線量の高い樹木は伐採します。2週間延べ60人でやった除染作業。放射線量はおおむね半分以下に下がりました。しかしたった一軒の農家を除染するのにも、 (続く

2011-06-20 12:57:57
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 汚染された土や樹木など、放射性廃棄物が大量に溜まりました。処分場所をどうするかという課題も残りました。

2011-06-20 12:59:54
とし @toshihiro36_sub

田中:こういうことをきちっとできないと、原子力は2度と立ち上がれないと思っているんです。国民の理解は得られない。(信頼は)もう失墜しちゃったんだけど・・こういうことで一番の被害者に何もできないようだと、国民の理解を得るのは非常に難しいと思います。

2011-06-20 13:03:46
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 計画的避難区域で今月末をメドに全ての住民が退去する予定の飯館村。美しい自然に放射能汚染だけを残し、無人の地になろうとしています。

2011-06-20 13:06:22
とし @toshihiro36_sub

倉澤:ご覧のように緑の山々に囲まれた非常に美しい村ですが、ひとたび原子力発電所で事故が起こりますと人々が住み続けることはできません。3月11日の福島第一原発の事故は、私たちに重い課題を突き付けました。原発と共存できるのか。放射性物質と共生できるのか。 (続く

2011-06-20 13:10:20
とし @toshihiro36_sub

倉澤:この重い課題に立ち向かうために、私たちはいま自分たちで考え・自分たちで行動を起こさなければならない時代になりました。

2011-06-20 13:12:08
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 原発周辺の住民は今、防護服とマスクで身を固めなければ束の間の一時帰宅さえできなくなりました。住み慣れた我が家は、宇宙の果てのように遠い場所になってしまいました。「安全神話」を過信したツケ。それが大きな代償を生みました。福島第一原発では事故から (続く

2011-06-20 13:16:26
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 3カ月経った今も、収束に向けた見通しは立っていません。日本政府は事故調査・検証委員会を立ち上げ、安全管理の甘さを認め・・国際社会に向けて、改善を約束しました。自分の家での穏やかな暮らし。それが戻ってくるのは、一体いつになるのでしょうか?

2011-06-20 13:20:38
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