丸山天寿先生の「本物の爬虫類を恐竜だと言い張る映画」

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丸山天寿 @tenjumaruyama

先日、お叱りを受けたばかりだが懲りない性格。日曜日だし、なるべく叱られそうにない特撮の話を。熱烈なファンの方がいたら御免なさい。これはあくまで私の観方で記憶違いや解釈の間違いがあっても笑って許して頂きたい。「本物の爬虫類を恐竜だと言い張る映画」爬虫類が駄目な方は御遠慮されたい→

2011-06-26 08:24:31
丸山天寿 @tenjumaruyama

恐竜や怪獣映画を制作する時、現代のようなCGがない時代は大きく分けて三つの手法があった。一つは着ぐるみに人間が入って「見逃してね」と観客の情に訴える物。「ゴジラ」がその代表。背中にジッパーが見えても体の模様、顔に表情がなくても「ニヒルな性格」と思って鑑賞するのが大人の態度。→

2011-06-26 08:26:09
丸山天寿 @tenjumaruyama

二つ目は「コマ割り」ハリー・ハウゼン氏が得意とするもので、造り物の恐竜人形の動きを一コマずつ映してつなぎ合わせるもの。ぎこちなさを我慢すれば結構楽しい。制作者の辛抱強さと情熱に感動しながら観るのが大人の礼儀。中には本当に面白い物がある。私は「魔人ハンターミツルギ」が好き。→

2011-06-26 08:27:41
丸山天寿 @tenjumaruyama

そして三つ目「本物のトカゲ、イグワナ、ワニを強引に恐竜だと主張する映画」。これを鑑賞するには「多少の事は気にしない」広い心と、「ただの爬虫類を恐竜に見立てる」わび、さびの日本人的な教養が必要だと何かの本に書いてあった。映画代などの小金を失くしても笑っていられるゆとりがいる。→

2011-06-26 08:30:10
丸山天寿 @tenjumaruyama

代表的な作品は「紀元前百万年」爬虫類特撮映画の母たる物。恐竜と原始人が共存していて、山岳族の男が海岸族の娘と恋仲になり、そこへ恐竜が襲って来る、というどこかで聞いたようなストーリー。そう、恐竜百万年の元版だ。いやこの娘がグラマーでお約束の胸が零れそうな原始服。あっ話がそれた→

2011-06-26 08:32:37
丸山天寿 @tenjumaruyama

この映画の見どころは「イグアナ恐竜とワニ恐竜の格闘シーン」凄い!イグアナもワニも本気で闘うが、時に後に向かって怒りが発せられている。後からスタッフが棒か何かでつついているに違いない。「ワニよ、かまわんからスタッフを食っちまえ」と応援したくなるような迫力あるシーンが展開される。→

2011-06-26 08:34:30
丸山天寿 @tenjumaruyama

物語ではイグアナが勝つが、ワニが優勢。本当に噛んでいる。何しろ本物、加減がない。他にも石の雨を降らせてイグアナを生き埋めにしたり、火山噴火のシーンで火の中にトカゲを放り込んだりするから、着ぐるみ等とは違う迫力がある。現代ではもう撮影する事は出来まい。○○保護団体が飛んで来る。→

2011-06-26 08:35:50
丸山天寿 @tenjumaruyama

この映画の迫力あるシーンは、他の映画でも使い回されている。「美人島の巨獣」=絶海の孤島に墜落したパイロツトが女ばかりの種族に助けられると言う私好みのストーリー。ヒロインはグラマーで愛らしく、イグワナ恐竜に襲われる。そのシーンに先の作品で見たのが出て来る。著作権?まぁ昔の事だから→

2011-06-26 08:37:45
丸山天寿 @tenjumaruyama

「恐竜王」という作品もあるが、こちらは謎の惑星に下りた宇宙飛行士と科学者がイグアナ恐竜に襲われる話。やはり先の作品の流用シーンが多い。それにこの映画は少し酷い。ここは野蛮な星だと核爆弾で恐竜達を皆殺しにする。それはないだろ。さらに悪いのはグラマー美人が出て来ない。そこかい!→

2011-06-26 08:39:42
丸山天寿 @tenjumaruyama

「大蜥蜴の怪」という流用シーンのないオリジナル作品もあるが、これは退屈。ドクトカゲが砂漠をウロチョロするだけで、怖くない。列車襲撃のシーンもある(スチールは凄い)が動きがのろい。爬虫類には細かな演技が出来ない事を証明した映画。歌って踊れる爬虫類はそんなにはいないと思う→

2011-06-26 08:42:47
丸山天寿 @tenjumaruyama

だが、傑作もある。ジュール・ベルヌの原作を映画化した「地底探検」これは少し手を加えてあるので見ごたえがある。動きも渋いし原作付きだけにスト―リーも良い。イグアナに大きな背びれをつけ赤く塗ったのは見事で、なかなか迫力がある。大人しく背びれをつけられ、色を塗られたイグアナに拍手。→

2011-06-26 08:44:23
丸山天寿 @tenjumaruyama

そして名作。「失われた世界」コナン・ドイル原作。これは凄い。進歩したメイク技術で、角、背びれ、エリマキなどで華麗な恐竜に変身したイグアナとワニが本気で闘う。こちらは後を振り向かないから、スタッフが棒でつつく技術も向上したに違いない。グラマー美女は出ないが一見の価値はある。→

2011-06-26 08:46:12
丸山天寿 @tenjumaruyama

これら爬虫類特撮手法は「ジュラシックパーク」の登場によって完全に消えた。原始服を纏ったグラマー美人も出なくなった。私は「突っ込みながら観る」のも映画鑑賞の一つだと思うが、そんなアホな、と言いたくなる怪しい映画は失われて行く。寂しい気もするが、時代の流れはいたしかたない。了

2011-06-26 08:48:58