【本物の恋、プレイバック・完全版】福間健二　fukuma10e

福間健二 @acasaazul

きみはわざと汚い字を書いて、教室の視線を刺され、ひとりで通った。花のデパートの、夢。でも、目ざめた左手に可憐な黄色い花をつけた枝。その花の名を知らない。そしてぼくのリズムを理解していない。きみはまだ。きみのいちばん複雑な部分はまだ。（本物の恋、プレイバック１）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

通風口の光を受けて、きみの黄色い花は思い出そうとする。地面にいたころの、世界の大きさ。事件が起こっているときの、人の靴の動き。蕾の「言ってはならないこと」。でも、何もおぼえていない。きみは。スカートの前をおさえるきみの静かな左手は。（本物の恋、プレイバック２）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

ぼくは修理屋。きみの部屋のドアを直し、自転車のブレーキを直した。ぼくは企画家。月に一本ずつ旅行プランを立ててきみに届ける。歌もうたう。これも自信はある。でも、なかなか外に出てこないね。きみは。いつまでも「動機が成立しない」きみは。（本物の恋、プレイバック３）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

きみの内側の、小さな骨が折れる音。遠い斜面をすべったぼくのリズム。マークの Get It Onだ。きょうは足が痛くて、奏者不明の、ジャンプしない「小意地のわるい友人が１ダース」。笑わないね。きみは。雨の長靴帝国に誘拐されたいきみは。（本物の恋、プレイバック４）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

「彼女はなぜぼくが気にならない？」のぼくは、眠れないナイフで始末した。ほら、ぼくは地面の黒いしみから生きかえる。あらしで濡れた足がテーブルの上にもしみをつくり、どうする。きみは。洪水の体験学習大好きな、動く器官を始末できないきみは。（本物の恋、プレイバック５）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

時計。包丁。牛肉。小鳥。ぼくの長靴からはなんでも出てくる。これはハーヴ枕、昼寝用。どの鍵を盗んでくるのだ。雨のわき腹が蹴られるロンドンで迷子の踊り子になる夢から。きみは。身勝手な、反省しないMiss Nothing に憧れるきみは。（本物の恋、プレイバック６）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

長い一日になってるね。ぼくのプランは、このあと「死にたくさせて！」の声が走るロンドン。通路の壁に砂糖のついた唇が1ダース。人生のドーナッツ付きの、お茶の時間。でも、歌わない。きみは。むこうみず時代のほうきをトンネルで落としたきみは。（本物の恋、プレイバック７）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

日差しのせいで動かない鈴木さんちの花たち。きみの黄色い器官は、動くけど、夢の地面への戻り方がわからない。ぼくも、自信がない。１ダースの不良の妹たちを入れる壜があるのか。この世界に。突然泣く。きみは。夏に入る不安な散歩がつづくきみは。（本物の恋、プレイバック８）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

テーブルの上。小人たちの戦場だ。ぼくはその「良き伝統」に同情する。誘惑された旧式人間の「ごめんなさい」は納得できないけど。まだ夜にならない。いまからでもぼくと Let’s Get Lost やれるよ。きみは。体の重みが戻ったきみは。（本物の恋、プレイバック９）#fukuma10e

福間健二 @acasaazul

本物の恋。気持ちのいいセックス。その大切さがわからない教師と生徒はきみと目を合わせない。でも、外では「頭のいい警察」が次々に壊れて、目が痒い。かきむしりたい。まだピクピクしているのだ。きみは。瞼のなかに描きなおされたきみの恋は。（本物の恋、プレイバック10）#fukuma10e