日本の雅楽、能楽は、元々今よりテンポアップの曲だった

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猫の泉 @nekonoizumi

「竹本:江戸時代の初期には、すでに重くゆっくりした演技をする能楽師がいたようです。「演技がノロすぎる!」と徳川幕府に通報され、約6か月、停職を命じられた能楽師の記録が残っています。」

2022-09-23 00:18:05
猫の泉 @nekonoizumi

「給湯流:素人がやる能のほうが、テンポが速いんですか!? なぜでしょう。 竹本:玄人の能はどんどん、力をためこむ、力を内向させる演技へと発展していきました。名人は重たい能を演じることができたのです。相撲に近いですかね。でも、素人は力がないので速いテンポでしかできません。」

2022-09-23 00:18:06
猫の泉 @nekonoizumi

「竹本:世阿弥は『風姿花伝』など、たくさんの書物を残していますが、どこにも「力をためろ」とは書いてないんですね。おそらく、江戸時代に名人たちが重たい演技をし始め、まわりの能楽師もマネしてどんどんノロくなっていったんでしょう。」

2022-09-23 00:18:06
猫の泉 @nekonoizumi

「竹本:秀吉の時代の能も、今より軽やかだったんですよ。テンポが速いだけでなく、謡もメロディックだった。今では重たい能の1つといわれる『卒都婆小町』を研究したときにわかりました。当時の楽譜を参考に謡を復元したら、初めて見たお客さんでも口ずさめるようなメロディーもあったんです。」

2022-09-23 00:18:06
猫の泉 @nekonoizumi

「竹本:戦国時代まではシテが歌うと、同時に笛が伴奏をしていたようなんですね。今のカラオケなどといっしょで、伴奏の音階に合わせて歌う。はっきり音程やメロディーがあったんです。しかしそれが変わっていき、笛は伴奏ではなく間奏で吹くようになった。謡と演奏がバラバラになっていったんですね」

2022-09-23 00:18:39
猫の泉 @nekonoizumi

この手の話は能楽だけじゃなくて、雅楽の方も同様の傾向があり、実は雅楽も平安時代の頃の演奏に比べ、現在の演奏は、"数倍~十数倍長くなっている"という研究もあったりする。 平家物語の音楽その1 ─平安・鎌倉時代の雅楽はこんな曲!? ─ 日本伝統音楽研究センター rcjtm.kcua.ac.jp/archives/takuw…

2022-09-23 00:21:50
猫の泉 @nekonoizumi

「極めてゆったりとした雅楽を聴いて、平安貴族の雅な文化を想像される方は、多いとおもいますが、このような音楽となったのは、実はもっと後の時代のことで、平安時代や鎌倉時代、室町時代、つまり中世より以前の時代の雅楽は、今の雅楽とは全く違う音楽だった、という研究があります。…」

2022-09-23 00:23:01
猫の泉 @nekonoizumi

「…その草分けがイギリスの音楽学者ローレンス・ピッケン…です。彼は、今の雅楽のゆったりとした音の進行のなかに、舶来した当時の大陸的・歌謡的なメロディーが潜んでいることを発見しました。すなわち、雅楽は、千年以上の歳月をかけて、何倍も、曲によっては10数倍も “まのび”したというのです」

2022-09-23 00:23:02
猫の泉 @nekonoizumi

実際の演奏動画があって面白い。 「現行の雅楽〈想夫恋〉は、5分強かけて演奏しましたが、今お聴かせしたのは20秒ほどで演奏してみました。このように時間を凝縮させて演奏してみますと、今の雅楽では伴奏役であった箏や琵琶も、メロディーを奏でているのがおわかりになったかと思います。」

2022-09-23 00:24:09
猫の泉 @nekonoizumi

「〈想夫恋〉の時間凝縮演奏は、実のところ、現行〈想夫恋〉の拍数をただ8分の1にして演奏したわけではありません。平安時代や鎌倉時代の古い楽譜や音楽書にある奏法に関する記述を解釈して再現を試みた結果です(使用した楽譜史料は文末に紹介しています)」

2022-09-23 00:24:09
猫の泉 @nekonoizumi

「現在の楽譜の読み方(演奏慣習)にとらわれず、違う解釈で古い楽譜を読んでみると、こんにちの雅楽とはまったく性格の異なる、喜怒哀楽の情感豊かな音楽が現れてまいります。また、楽曲の個性といったものが明確になってまいります。」

2022-09-23 00:25:26
猫の泉 @nekonoizumi

「平安時代前期に大陸から輸入された娯楽音楽としての雅楽は千年の歳月のあいだに、次第に遅くなり華麗な技巧的奏法をすて、高度に洗練された結果、人間的情感を超越した音楽へと変貌しました。それは、外来の娯楽的・民謡的な音楽であった雅楽を、…」

2022-09-23 00:25:26
猫の泉 @nekonoizumi

「…日本人が千年以上かけて磨きに磨き上げてきた結果であり、世界に類例のない音楽様式です。」

2022-09-23 00:25:27
猫の泉 @nekonoizumi

「現行の〈秋風楽〉演奏は、たいへん時間を要しますので、小督の〈想夫恋〉のように誰に聴かせるわけでもなく一人で弾いていたという設定ならばまだしも、誰かに聴かせる演奏─この場合は後白河法皇御前での演奏──となると、やはりそれが鑑賞に堪えうる音楽か、ということが問題となってきます。…」

2022-09-23 00:27:24
猫の泉 @nekonoizumi

「…状況から考えて、当時の雅楽は、箏のソロ、琵琶のソロでも鑑賞に堪えうる音楽──つまり伴奏音型ではなく旋律──であったわけで、篳篥・龍笛の管方がいなくても音楽として十分成り立っていたと考えるほうが理に適っています。」 rcjtm.kcua.ac.jp/archives/takuw…

2022-09-23 00:27:25
猫の泉 @nekonoizumi

「もちろん単純にマノビした / テンポが遅くなった、ということではありません。拍節構造が変化していると思われますし、篳篥は、近世的ともいえる都節音階を大胆に取り入れています。また箏はいつの時代にか左手奏法を放棄してしまい、こんにちに至っています。」 rcjtm.kcua.ac.jp/archives/takuw…

2022-09-23 00:30:14

古楽とモダン クラッシク

fairchild670 @fairchild670

古楽器での演奏が概ねモダンによるものより演奏時間が短くなるのは、楽器の特性によるものです。テンポの選択は難しいものですが、どの声部も明瞭に聞こえることを前提にすると、選択の幅も狭くなってくるところです。

2018-10-28 15:12:12
ぴゅっ @TheManFell2Ass

クラシックって、当時は今より全然遅い速さで演奏されてたんです。当時の生活速度とリンク。現代人の速度感覚で演奏させたのはカラヤン様が最初なのかなー?つまり元祖が凄くても、そのまま今やって素敵ってなるか?って事です。過去から動かん人多いな、セラミュ地区。

2018-06-17 17:21:33