芸術監督が語る『キュレーションの常識』…「作家を悪く批判することはしない」「スタジオ訪問する」「金の話を誤魔化さない」など

自身の立場を理解してるなら当然なのか
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遠藤水城 @endomizuki_note

東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS) 代表。ビンコム現代芸術センター(VCCA) 芸術監督。

note.com/parallelism

遠藤水城 @endomizuki_note

若い人、狭い情報に振り回されてそうだから、キュレーションの常識を書くよ。まず、真っ当なキュレーターは絶対に作家よりも下手に出ます。絶対にだ。

2020-07-27 12:32:32

キュレーターは批判しない

遠藤水城 @endomizuki_note

それから真っ当なキュレーターは作家を悪く批判をしません。作品を悪く言いません。絶対にだ。最初から権力関係が前提としてある以上、それは御法度。

2020-07-27 12:35:48
遠藤水城 @endomizuki_note

(余談だけど、あいトリの時、僕は村山悟郎さんの文章を批判せざるを得ず、書いた後で死ぬほど自己嫌悪に陥っているし、プロ失格だと思って落ち込んでいる。その上で、速攻メッセージを送って、会って話そうと言っている。というか会って話せる前提で書いている。)

2020-07-27 12:37:16
遠藤水城 @endomizuki_note

真っ当なキュレーターは作家と仲良くなることを、正しく怖れます。作家というのは、どうしても「期待」してしまうことを知っているから。

2020-07-27 12:39:24

スタジオを訪問する

遠藤水城 @endomizuki_note

あなたが作家であれば、真っ当なキュレーターはスタジオ訪問するものだ、と思ってください。スタジオに来ないで済まそうとするキュレーターは危険だと思ってもらって大丈夫です。あるいは、大目に見てあげるなら、私と仕事をしたいのであれば、スタジオに来てください、とあなたから誘ってください。

2020-07-27 12:41:00
遠藤水城 @endomizuki_note

そして、あなたの過去の全作品を、正当に理解しようとしているかを必ずチェックしてください。この過程で「違和感がある」、「わかってないな」と感じたならば、仕事断っていいです。辛いかもですが。逆に言えば、真っ当なキュレーターはここで、作家に「安心感」を与えるべく、全力を尽くします。

2020-07-27 12:43:39

謝金や制作費を誤魔化さない

遠藤水城 @endomizuki_note

真っ当なキュレーターは、仕事に際して、作品の可変性・展開可能性と、作品にかかるコスト、展覧会の効果を、あなたと共有した上で、相互了解のもとで謝金・制作費を決定します。この過程で、誤魔化そうとしている人がいたら、信用しないでください。

2020-07-27 12:46:47
遠藤水城 @endomizuki_note

(これ、僕、過去に何度か失敗しています。誤魔化そうとしていたんじゃなくて、お金のことを対して気にしないで進めてしまう、という悪い癖があるので。当時、僕に怒ってくれた人、本当にすいませんでした。そしてありがとうございました。)

2020-07-27 12:48:22
遠藤水城 @endomizuki_note

真っ当なキュレーターは、作品のディーリングをしません。株価操作にあたるので。逆に言えば、ディーリングとキュレーションを同時にしてしまえる人は、株価操作にあたるほどの権威を持っていないキュレーターということになります。つまり、たいしたキュレーターじゃない。絶対無視をお勧めします。

2020-07-27 12:53:10

キュレーターは作家に批判される立場にある

遠藤水城 @endomizuki_note

話を少し戻しますが、キュレーターは作家に「期待されてしまう」のを正しく怖れるが故に、よそよそしいです。ほとんど無視に近い反応をしてしまうことがある。自己保身でもあります。キュレーターは作家を批判しないが、作家はキュレーターを批判していい、が前提にあるので。これね、前提よ。

2020-07-27 12:58:04
遠藤水城 @endomizuki_note

(この「無視」って、良くも悪くもキュレーターの本質です。「選定」よりも「無視」だと思いますね。その辺のことをBTの片岡さん、相馬さんとの鼎談で発言したような気がします。)

2020-07-27 13:00:33

自身の権威の適切な理解

遠藤水城 @endomizuki_note

かように、キュレーターが、自身が持っている権威を「どのように適切に使用しているか」を、チェックしてください。すごい権威を持っているって言いたいわけじゃないです。特定の部門での特定の権威を持っている。それを正当に行使しているかどうかが、プロフェッショナリズムというやつです。

2020-07-27 13:05:12
遠藤水城 @endomizuki_note

(ブーメランが帰ってきても、全部キャッチして、また投げる、くらいの自信がある。)

2020-07-27 13:05:58

検閲の説明を芸術の言葉に変換する

遠藤水城 @endomizuki_note

キュレーターがあなたに「検閲」をしてくる場合、あなたの自由を奪ってくる場合、そのキュレーターの「説明」をよく分析してください。良いキュレーターは、全て「芸術の言葉」に変換しようとして、辛い顔をしているはずです。悪いキュレーターは、そうなった外部原因をそのままあなたに説明します。

2020-07-27 13:08:18
遠藤水城 @endomizuki_note

(あ、一個、遠くからブーメラン返ってきて刺さった。僕、よく作家に偉そうって思われてるんですよね。下手に出ていない。しかしね、そうじゃなくて、僕は「誰に対しても」偉そうに振舞っているらしいです。直したい。実際はそうじゃないんだよ!誰か、僕と一緒に仕事した人、フォローしてくれ。。)

2020-07-27 13:16:22

「作家」「批評家」「キュレーター」とは三権分立

遠藤水城 @endomizuki_note

ということで、これで十分かどうかはわからないけど、とりあえず言えるのは、作家とキュレーターと批評家を同時にやるとかって、かなり危険なんだよ。三権分立が崩壊している的な。

2020-07-27 13:21:59
遠藤水城 @endomizuki_note

どんなに小さな単位でも、二つ以上のプロフェッショナリズム(作家、批評家、教師、キュレーター、ディーラー、コレクター)をかけあわせると、異常な権力が発生すると認識してください。量じゃなく質的に異常になると思うよ。これが、とりあえずの、真っ当な、芸術制度の定理。

2020-07-27 14:22:31