Prolog (非)日常編 ▷▶希望と青春のミックスジュース

10人目まで
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【諸注意】 特にストーリー上の『矛盾点』についてお気をつけください。 #本日も灰になるまで働きましょう pic.twitter.com/lHmDpOh6cX

2020-08-02 21:00:10
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▒ 脚本家 熇乃沙藤 (非)日常編 ▷▶︎Ⅰ pic.twitter.com/pCNUB6RplT

2020-08-02 21:03:26
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塀の真ん中に設置された、ヨーロッパ風の上品な黒い門扉には可愛らしい花の装飾がなされている。 それを取り囲むようにして自分の身長の5倍くらいはある鮮やかな赤煉瓦の塀が学園を取り囲むように並んでいる。

2020-08-02 21:04:52
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塀の上には門と似たデザインの鋭い槍のような忍び返しが等間隔に並んでいた。 ──それに、監視カメラも塀の死角を消すように等間隔に取り付けられている。

2020-08-02 21:05:27
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『本当に、こんな山の上にあるんだ……』

2020-08-02 21:05:47
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俺は門の隣に付けられたカードリーダーに「Shirokuro」を起動したスマホを翳した。 pic.twitter.com/RVyXDpfEzK

2020-08-02 21:06:04
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ピッ、と短い電子音がして、ゴゴゴ、とやたら荘厳な音を立てて、門はゆっくりと開いた。

2020-08-02 21:06:41
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私立絞里(しぼざと)学園。 その学園の名を日本で知らない人はいない。 都会の山の中にひっそりと建てられたその学園は、学園と言うよりかはまるで巨大な遊園地の入口のようだった。

2020-08-02 21:06:55
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この学園に入るためにはテストや面接は必要ない。 この学園に入学するために必要なのものはたった2つ。 ──『実績』と『知名度』だ。

2020-08-02 21:07:09
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絞里学園は完全なるスカウト制を採用している学園だ。 近年の傾向によると『部活を優勝に導いた』だとか『既に働いて実績を残している』──所謂『天才』のような経歴を持つ人間だけがこの学園にスカウトされている──らしい。

2020-08-02 21:07:34
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このおかしな学園ができてちょうど10年。 この日本には『元超高校級が作ったロボット』だとか『超高校級が作った電子レンジ』『超高校級が作ったメイク用品』だとかが大量に溢れていた。

2020-08-02 21:07:52
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『超高校級』のブランドはいつのまにか松坂牛の『松坂』だとか、青森りんごの『青森』だとかと同列の扱いになっている。 この学園に入学して、途中で退学になった中退者でさえ成功しているらしいのだから、本当に学園は人材を選びに選び抜いているのだろう。

2020-08-02 21:08:27
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最近ではもう、学園にスカウトされるかもしれないという噂のある『超高校級候補』ですら一種の芸能人扱いだった。

2020-08-02 21:08:54
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かく言う俺も、名の売れた脚本家としてこの学園にスカウトされて今、ここにいる。

2020-08-02 21:09:18
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言わば『超高校級の脚本家』。 ペンネームは熇乃沙藤(かくのさとう)。 だからここでも、そう名乗ることにしよう。 ──本当は脚本よりも小説を書く方が好きなのだけれど。

2020-08-02 21:09:39
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俺は学園に足を1歩踏み入れる。

2020-08-02 21:10:10
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『ゴゴゴ……』 俺が居なくなったことを感知して、背後で門の閉まる音が聞こえた。 『……なんだか息苦しいな』 ぽつりと呟く。赤煉瓦で出来た塀の向こうの木々はもう、門の格子越しでしか見ることが出来ない。

2020-08-02 21:10:25
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山なんか見なくても目の前には中庭が見えるが、よく手入れをされているのだろう。 洗練されたそれは西洋のインテリアじみているというか、なんだか既視感が──ああ、そうだ。〖現場のセット〗だ。それによく似ている。

2020-08-02 21:10:58
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そんなことを考えてしまうほど、計算し尽くされ洗練された美はどこか不自然で、職人の作った巨大なドールハウスに閉じ込められたような気分だった。 ドールハウスの持ち主に忘れられてしまえば、まるで、一生外に出られないような──そんな気がした。

2020-08-02 21:11:16
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「知らない奴らばっかりだな……」 俺はベンチに座って、Shirokuroに入っている機能『クラスメイト情報』を眺めていた。 『知らないやつ』とは言いつつ並んでいるのは誰も彼もテレビで見たことのある個性的なメンツばかりだった。 ──そういえば、今年は『大豊作』なのだと大人の誰かが言っていた。

2020-08-02 21:12:16
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人間を今年のフルーツの出来栄えか何かのように表現するのは如何なものかと思ったが、本当にその通りなのだろう。 この中から「脱落者」が生まれるなんて到底思えない。 自分がこの場所にいることになんとなく違和感があるのは、自分が普段表舞台に立つことが少ないからだろう。

2020-08-02 21:12:36
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