妻か手術か、選んだのは・・・

13
めにんご @PAPA_NEURO

大学病院で働く脳神経外科専門医。仕事、家族、よく生きることについてたまにつぶやきます。

めにんご@ @PAPA_NEURO

妻が娘を身篭ったとき、僕は3日目の学会会場にいた。その日の昼頃、妻からエコーの写真が送られてきて妊娠が判明し、しかもつわりがひどく、綺麗好きの妻がこの3日風呂にも入れてなかったと。喜びと焦燥に駆られ学会会場を飛び出した10分後、上司から緊急手術の連絡があり、すぐに戻ってくる様にと。

2020-08-15 08:23:00
めにんご@ @PAPA_NEURO

僕は、「妻のそばにいても何もできないけど、妻はそばにいてほしいはずだ」と思い、上司には妻の調子が悪いと伝えて招集を断った。上司は結局他院の知り合いの医師を緊急招集して、手術をしたらしい。

2020-08-15 08:23:01
めにんご@ @PAPA_NEURO

ネットでつわりを調べて食べられそうなものを買い込んで自宅に到着すると、妻は暗い寝室で洗面器に吐いていた。心細かったであろう妻の第一声は「ごめんね、ありがとう」だった。正直に言うと手術に行くか妻の元に戻るか、少し葛藤はあった。妻の一言を聞いてそんな自分が大変情けなくなった。

2020-08-15 08:23:01
めにんご@ @PAPA_NEURO

翌日、上司に「どうしてこなかった?女か?女なら許してやる。」と冗談まじりに詰問された。まだ安定してるわけでもないが、今後もつわりで調子の悪い妻をサポートするためには事実を言うべきと考え、「つわり」と伝えた。

2020-08-15 08:23:01
めにんご@ @PAPA_NEURO

上司は「それならしょうがない!!おめでとう!」とカラッとしたものだった。ただ「自分らの時代なら関係なく手術にいかなければだった。それが普通だった。」と。続けて「でも今はそう言う時代ではない。お前勇気あるな、俺の召集を断るなんてな。でもそれでいい。奥さんを大事にな。」

2020-08-15 08:23:02
めにんご@ @PAPA_NEURO

「妊娠中のヤラカシは特に妻は強く覚えてるからな、俺なんてもう還暦近いのにまだぶりかえされるぞ。」と忠言を頂いた。なぜかわからないが胸が熱くなり、この上司は大事にしよう、と思った。無事に娘が生まれたことを報告したときには、上等なお洋服を頂いた。

2020-08-15 08:23:02
めにんご@ @PAPA_NEURO

特にオチもないけど、読んでいただいてありがとうございました。脳外科に限らず外科医にも色々いるんだと知っていただければとおもって。 以上です。

2020-08-15 08:23:02