非可算順序数の順序位相が距離づけ不可能であること

@evinlatie さんによる非可算順序数の順序位相が距離づけ不可能であることの証明です。
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エヴィン・ラティエ @evinlatie

そういえば、だいぶ前に出した問題「非可算整列順序集合は順序位相において距離化不可能であることを示せ」の解答するのを忘れていたがそろそろ解答してもいいでしょうか?

2011-07-03 21:56:39
エヴィン・ラティエ @evinlatie

RT: 【整列順序をご存じの方への問題】 非可算濃度の整列順序集合に順序位相(開区間で生成される位相)を入れて位相空間としてみるとき、その位相空間が距離化可能でないことを示せ。

2011-07-03 21:59:28
エヴィン・ラティエ @evinlatie

RT: 【問題のヒント?】 整列順序集合Xの各元aは、次の(1)-(3)の3種類に分けられる : (1) Xの最小元。 (2) ある元の次の元。つまり、{ x∈X : b<x }の最小元がaとなるようなb∈Xが存在する場合。 (3) (1)(2)以外の場合。極限みたいになってる。

2011-07-03 21:59:59
エヴィン・ラティエ @evinlatie

RT: 【問題のヒント?(続き)】 [命題1] 整列順序集合Xの元aが(3)の場合、次が成り立つ: 任意のb<aに対して、b<c<aとなる元c∈Xが存在する。 (証明) (2)の場合でないことから自明(自明のドヤッ感w)。□

2011-07-03 22:00:30
エヴィン・ラティエ @evinlatie

RT: 【問題のヒント?(続き2)】 [命題2] 整列順序集合Xにおいて、上に有界な空でない部分集合A⊆Xで最大元を持たないとき、Aの上限supAは(3)の場合の元となる。(証明は演習問題とする。) ※整列順序なので、空でない上に有界な集合の上限は常に存在する。 ヒント?は以上。

2011-07-03 22:01:19
エヴィン・ラティエ @evinlatie

【問題の解答 1】 先程の問題のヒントリツイートの知識を元に証明をします。 ある非可算整列順序Xの順序位相と、X上のある距離dで定められる位相が一致すると仮定して矛盾を導きます。

2011-07-03 22:08:18
エヴィン・ラティエ @evinlatie

【問題の解答 2】 ヒントで書いたとおりXの元は(1)-(3)の三種類に分けられます。そこで、(3)のケースに該当するXの元をすべて集めた集合をCとおきます。 すると、順序位相の定義よりX\Cの各一点部分集合は開集合なので、X\Cは開集合。ゆえにCは閉集合。

2011-07-03 22:24:56
エヴィン・ラティエ @evinlatie

【問題の解答 3】 またXは非可算集合なので、(各元の次の元を考えれば)(2)のケースの元も非可算個。ゆえに、X\Cは非可算集合である。

2011-07-03 22:30:29
エヴィン・ラティエ @evinlatie

【問題の解答 4】 Cは閉集合なので、X\Cの任意の元xに対して、d(x, C)>0となる。ただし、d(x, C) := inf{ d(x, c) : c∈C }。ゆえに、X\C = ∪_(n∈N) { x∈X\C : d(x, C)>1/n } というふうに可算和で表される。

2011-07-03 22:38:40
エヴィン・ラティエ @evinlatie

【問題の解答 5】 ということは、非可算集合X\Cが集合の可算和で表されたので、{ x∈X\C : d(x, C)>1/n } が非可算となるような自然数nが存在する(∵可算集合の可算和は可算集合になるから)。そのようなnを一つ固定する。

2011-07-03 22:45:15
エヴィン・ラティエ @evinlatie

【問題の解答 6】 すると、A := { x∈X\C : d(x, C)>1/n } は非可算整列集合なので、Aの元から成る増加列 a_1 < a_2 < a_3 < ... < a_n < ... (n∈N)で上に有界なものが取れる(小さい元から順番に取っていけばよい)。

2011-07-03 22:54:27
エヴィン・ラティエ @evinlatie

【問題の解答 7】 ヒントの命題2よりこの列(a_i)の極限aは(3)のケースに該当する。つまり、a∈C。しかし各a_iはAの元なので、d(x_i , a)≧d(x_i , C)>1/nとなる。これは、a_iがaに収束することと矛盾。□

2011-07-03 23:03:33