2011年7月6日

『BLACK PAST』掲載「宇野常寛×虚淵玄対談■すれ違いの先にある奇跡」及び村上裕一の『魔法少女まどか☆マギカ』論考「受胎の記憶---ループと忘却のメカニズム」感想まとめ。

先だって『文学フリマ』で頒布され、現在は各種同人誌販売ルートや大都市の大書店でも販売されている同人誌『BLACK PAST』(編集:しねあい&坂上秋成)。 その中での『魔法少女まどか☆マギカ』関連記事について自分が呟いた感想をまとめました。
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村上裕一「受胎の記憶---ループと忘却のメカニズム」感想

相楽 @sagara1

遅まきながら『BLACK PAST』を入手したので話題のまどマギ論考、村上裕一「受胎の記憶 ---ループと忘却のメカニズム」を読んだ。徹底的に東浩紀の提示した「ゲーム的リアリズム」に沿って、とことんほむら&まどかの関係性「だけ」から読み解く論考極論の面白さがあった。

2011-07-05 22:29:44
相楽 @sagara1

例えば美樹さやかについては「唯一好きな男(上条)のために願いを使った人だが、その結果自らが魔女化する最悪の結末を辿った」と随分と問題を簡略化してくれやがった挙句に「これまでの我々の見立てによれば、本作にはまさに空気系の呪いが取り巻いており……

2011-07-05 22:29:53
相楽 @sagara1

(続き)従って男をめぐって争うなどということは制度的に排除されるしかなかった。ほとんどルール違反といった体である」と凄まじい自己完結だけで斬って捨てている。更に恐ろしいことに表紙を除き11ページに渡る論考では「マミ」「杏子」という言葉は遂に一言も現れない。

2011-07-05 22:30:06
相楽 @sagara1

当たり前だが、意図的だろう。ここまで来ると逆にある意味本気で感心する他なかった。まどマギも大概極端な作品だと思うけど、それを更に飛躍的な極端だけで押し通して論じたものを前にしてはもう「誰が「我々」だ、おい」とツッコむ声も出ない。皮肉でもなくある意味本気で感心した。

2011-07-05 22:30:15

「宇野常寛×虚淵玄対談■すれ違いの先にある奇跡」感想

相楽 @sagara1

『BLACK PAST』の宇野常寛×虚淵玄インタビューをゆっくり再読した。あー……改めて読むとあまりに直裁にとんでもないことが色々書いてあった。やっぱり、買っておけば良かった。そして、感想が例によってえらい連投に(例によってtogetterにもまとめます)。

2011-07-06 00:34:43
相楽 @sagara1

虚淵「プロットラインとしては完全にヤクザものなんですが、少女をメインに置くことで任侠とはひと味違う物語を産み出せたなと思っています」って、おい!……そうだよな……ホント、そうだ。で、その前に「少女」や「女性」であることについて諸々語ってもいるのだけど。これがまた……

2011-07-06 00:34:59
相楽 @sagara1

虚淵玄「最後まで理屈抜きに救済や生存に価値を見出そうとしていくのは女性の理論だろうなと思います」(中略)「男同士だったら、「まどか」の10話にあったような、ほむらがまどかを殺すシーンにおける悲壮感は出なかったでしょうね(続く)

2011-07-06 00:35:10
相楽 @sagara1

(続き)あれは互いが男性だったら「介錯仕る」という誇りの美学のシーンになってしまって、純然たる悲劇としては成立しなかったと思います」(以上、引用) 「女性の理論」……「純然たる悲劇」……うーん……。なんというかな……。

2011-07-06 00:35:17
相楽 @sagara1

あまりにも単純な繋げ方として大いに問題を感じつつも。<主人公達を少女を任侠世界に無理矢理放り込んだ挙句、「魔法少女」の皮をきせ、なにやら歪んだ「女性の理論」を以て「純然たる悲劇」を成立させた>となると……。僕はそれははっきり「悪趣味だ」と思う。無論、かなり悪い意味で。

2011-07-06 00:35:34
相楽 @sagara1

例えば、同インタビューでは好きな作家として「冲方丁さんは外せないですね(中略)あの人の小説を読むときだけは完全に読者モードになっちゃいますね」とあるのだけど。「ならば冲方丁のある面における分別、まっとうさも多少自作に持ち込んで欲しかった」ともつい思ってしまわずにはいられない。

2011-07-06 00:35:45
相楽 @sagara1

勿論「お前ね。簡単にいうなよ!?出来ないからこそ憧れかつ足掻くんだろうが!」と言われれば言葉もないけど。同インタビューでも「『Fate/Zero』のあとがきにも書いたんですが、僕は心温まる物語が書きたいと思っているにもかかわらず」云々とあるし。

2011-07-06 00:36:47
相楽 @sagara1

ただ。虚淵玄「『Fate/ZERO』というのは個人を不幸にして世界を救う話だったのでおっしゃるようにこれをターニングポイントとしてハッピーエンドを書けるようになったのかもしれませんね。これ以降は『アイゼンフリューゲル』にしろ「まどか」にしろ(続く)

2011-07-06 00:37:05
相楽 @sagara1

(続き)主人公はどこか破滅に向かってしまうけど世界にとってはいい結末というのを迎えていますしね」(以上、引用) と聞いてしまうと……。そうか。あれは「世界にとってはいい結末」なのか。虚淵的には。うーん……。良くないとは思いつつ、これはどうしても冲方丁と比べたくなってしまうな。

2011-07-06 00:37:31
相楽 @sagara1

冲方丁は繋がった一連のシリーズにおいても15歳の少女・バロットを主人公にするなら実に見事なビルドゥングスロマンである『マルドゥック・スクランブル』を描いた。そして、バロットを主人公に『マルドゥック・ヴェロシティ』は描かない作家さんだと思うし、実際に描かなかった。

2011-07-06 00:37:50
相楽 @sagara1

同様に少女たちVS世界という「シュピーゲル」シリーズも素晴らしくビルドゥングスロマンしてる。どこかのインタビューだかなんだかで「自作の中で少女をあまりに過酷な目に合わせることの不条理に対する問題意識」も直裁に語っていた記憶もある。そして(続く)

2011-07-06 00:38:09
相楽 @sagara1

長くなるけど、あえて最新刊『テスタメント・シュピーゲル1』から作中で清濁をどこまでも併せ呑んだ「大人」を代表し「アダー神父」というキャラクターが台詞としては主人公の三人×二組の少女たちの中の一組のリーダー、14歳の涼月に反問も受けつつ(続き)

2011-07-06 00:38:20
相楽 @sagara1

「特甲少女」として(まどマギの「魔法少女」にも比すべき)特別な苦難を背負った涼月たちも含む「全ての子供達とその担う未来」の為に全てを賭け、間近に迫った死を前に確信に満ちて語った言葉を引きたい。

2011-07-06 00:38:30
相楽 @sagara1

「だが教育される経験は与えられる。生まれ育った社会に呑み込まれる前に、その社会を外側から眺めるゆいいつの機会が与えられる。自分の将来に選択肢があることを教えられ、自分を教育する存在があることを教えられる。そこにも多くの失望と困難が生まれるだろう。(続く)

2011-07-06 00:38:46
相楽 @sagara1

競争に敗れ、進路を見失った者は、多大な苦痛を経験するだろう。だが教育されないという絶望の中にいることに気づかいない場合に比べれば、それらは十分に乗り越えられるものだ」(中略)「学校があれば今みたいなことが全部、何とかなるとは思えませんけど」(続く)

2011-07-06 00:39:02
相楽 @sagara1

「なければ何にもならない。必要なのは機会だ。世界の十億人の若者に与えられるべきものだ。今の世界中の十四歳が、いずれ二十四歳になる。悪は機会のない場所で生まれる。機会を見出せなかった者が生み出すのだ。悪は循環する。それを断ち切るには学校を作る以外にない」(p428-429)

2011-07-06 00:39:10
相楽 @sagara1

冲方丁のシュピーゲルシリーズの作中世界は「これでもか!」という程の過酷さ、非情、グロテスク、醜さ、悪辣過ぎる悪ふざけに覆われて描かれている。ただ、少女(たち)を主人公とするとき、冲方丁はそこで「少女を不幸にして世界を救う話」には意地でもしないのではないか。

2011-07-06 00:39:20
相楽 @sagara1

ここで虚淵玄作品に通底する「美学」として「一度人を殺すなりなんなりして悪の道に踏み込んだものは、二度と平穏な日常には戻れない。戻る資格がない」があるとされる。確かに『PHANTOM OF INFERNO』でもそうだったし、まどマギの魔法少女契約の不可逆性は正にそれだろう。

2011-07-06 00:39:43
相楽 @sagara1

一方、先のアダー神父の言葉を受け、仲間と共に血と硝煙にまみれた道のりを歩み続けてきた涼月はこう呟く。「学校に行きたいんだ……普通の学校に。でもそんなの間違ってるって仲間から言われた。そいつのことを、あたしは間違ってるとも正しいとも言えなくて……

2011-07-06 00:39:53
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