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鏡と以蔵さんの話

マスターと以蔵さんがあやしげなお屋敷に呼ばれたお話です
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かむい @sunyaxxx

見られているだけだと言うのに気持ちが悪い。「サーヴァント」「カルデア」べたりと今度は背中に張り付くように人間がのしかかりそう言葉を発する。「どけ!!」思いきり体ごと振り子供を追い払う。「待っていた」「カルデア」「サーヴァント」振り払われた人間も廊下に寝そべっていた人間も起き上がり

2020-08-18 00:14:26
かむい @sunyaxxx

またその言葉をいい続ける。嫌悪に吐きそうになりながら刀を編み出そうとするが、はたしてここの虚ろな人間を斬り殺してもかまわないのかと一瞬判断が遅れた。

2020-08-18 00:14:27
かむい @sunyaxxx

刀を編み出そうとする躊躇う腕を掴まれた。その力はとても人間のものとは思えず一人が掴めば次々と以蔵を掴みにかかる「待っていた」「カルデア」「サーヴァント」虚ろな目で淡々と同じことしか繰り返し言わない人間達。その同じ言葉と虚ろな目が気持ちわるい。「離せ!!」とにかく体をふりなんとか抜

2020-08-19 00:26:47
かむい @sunyaxxx

け出しすぐさま走り出す。ここからいったん出て行かなればとダンスホール…いや、ダンスホールこそ人間が密集しているから行くことはできない。出口を…。どこかの部屋に入りこみ鍵を閉める。「なんなんじゃ、あいたあらは」ずっと言葉に綴るのは『待っていた』『カルデア』『サーヴァント』それしか言

2020-08-19 00:26:48
かむい @sunyaxxx

っていない。以蔵に危害を加える気は今のところないらしい。だがあの虚ろながらにあの真っ黒な目が嫌だ気持ち悪い…いや、怖いとすら思える。何がそんなに怖いのか斬ってしまえば簡単に終わるかもしれない。今度こそ刀を編み出そうとするが「人殺し」声がしたとどこからと思えば「何人殺す」「まだ殺す

2020-08-19 00:26:49
かむい @sunyaxxx

のか」天井に足の裏を張りつけ見下す。「殺すのか」「生きた人間を」「同族殺しのど鬼畜よ」ぺたりと天井にいた人間達を見上げていたと思えば鍵をしめたはずのドアがひらき人間の体温ではない冷たいその手がぬるりと頬を撫でた。「日の本一の泣きみその以蔵」「あああああああ!!!」編み出し振り向き

2020-08-19 00:26:49
かむい @sunyaxxx

ざま斬りさく。「殺した」「殺したぞ」くすくすと嗤う声に刀を握り天井に投げつける。

2020-08-19 00:26:50
かむい @sunyaxxx

ざくりと刀が正確に人間を刺し貫きぼとりと落ちる。だがずるうりと床を這いずり以蔵を掴もうとする。「しつこい!!」床を這いずる人間を足で蹴り飛ばしながら次の刀を編み出す。「今更の事を何をおじることがあろうか」にぃっと口角を上げる。「わしは人斬り以蔵じゃ、人を殺してなんぼのもんじゃ!!

2020-08-19 14:14:47
かむい @sunyaxxx

」ざぐりと今度は躊躇う事無く斬り裂く。口々に同じ言葉を淡々と言い続ける人間。だがそれを躊躇う事無く斬り裂きながら進むことを選ぶ。とにかくこの屋敷から一度出てカルデアに帰還するそれが先決だ。だがどれだけ走り回ろうがいっこう出口は見当たらない。魔力もそろそろ尽きるか。「っち」舌打ちし

2020-08-19 14:14:47
かむい @sunyaxxx

て壁に手をつき一度立ち止まる。どうやら追いかけて様子もないのを見てもう一度大きく息を吐き壁に寄り縋ろうとした、が、ぐらりと壁が動く「へ?」間抜けは声が出て壁ごと体が転がる「なんじゃなんじゃなんじゃあああああ!!」

2020-08-19 14:14:48
かむい @sunyaxxx

咄嗟に頭を庇い隠し部屋を転がり落ちる。「ったあ」背中をしたたにぶつけ痛みに呻きながら起き上がる。頭だけは庇ったのでなんとかなるが骨にも異常なさそうだ。『ひっく、ひっ…く』小さなすすり泣く声に刀を向けた。『…っく』刀をおろさず泣く声のする方へ足を向け小さな背中が丸まり泣いている。こ

2020-08-19 15:19:02
かむい @sunyaxxx

れは見てわかる。子供の幽霊だ。半透明でゆらゆら揺れながら泣いている子供の幽霊に刀を向けているがただ泣いているのを見下し「なにを泣いとるがか」以蔵の声に振り返り『置いてかれたの』泣いている子供の顔に嘘はなさそうで刀をおろし「ほうか」納刀するとゆらゆらとしている子供に手を伸ばせば触れ

2020-08-19 15:19:03
かむい @sunyaxxx

る事はできるようで抱き上げる。『おじちゃん?』「んなら、こっから一緒に出るか」泣いている子供を見るのは苦手でしかも置いていかれたと言われればますます…。

2020-08-19 15:19:03
かむい @sunyaxxx

子供は以蔵の足元をちょろちょろと周り嬉しそうにしている。だが屋敷を出て行く出口まではまだ先のようだ。「おまん、置いてかれたち言うちょったが、この屋敷にいつからおるんじゃ」『わかんない』きょとりとして以蔵を見上げる。『気付いたらここにいて、でも、今日はあそこから動けたんだ』「?」『

2020-08-19 16:52:45
かむい @sunyaxxx

僕、ずっとあそこから動けなくて、それで置いていかれたの』「ほうか、ならどうあってもこっから出んといかんにゃあ」そう言うと子供は以蔵の手を引き前に進んで行く。またドアを開けてみると古めかしい人形が鎮座していた。動かないそれは無機質な目で静かに見られているように感じられて気分が悪い。

2020-08-19 16:52:46
かむい @sunyaxxx

足早にこの部屋も出て行こうとするが『待ってたよ』かたっと小さな音と声。虚ろな人間、子供の幽霊、はあっと息をはきばかんと鞘で人形をたたき割った。「は~ったく、今度はなんじゃ」鞘に刀を収めたままからからとかたかたと嗤い動き出す人形達を片っ端から叩き割る。「餓鬼、先に行っちょけ」情け容

2020-08-19 16:52:47
かむい @sunyaxxx

赦なく人形を壊しながら子供を先に行かせドアが開いた瞬間ごとりと全ての人形が動きを止め床に落ちる。力なく落ちた人形を一体足で蹴り飛ばすがそれは壁にぶつかり跳ね返り床に落ちた。襲ってくることもないそれを見て次の部屋に行ってしまう。

2020-08-19 16:52:47
かむい @sunyaxxx

以蔵のいなくなった人形のいる部屋でひっそりと一人がたたずみ笑う。

2020-08-19 16:52:48
かむい @sunyaxxx

「次はなんの部屋じゃ」はあと溜息をつき歩くが何もなかった。人もなく薄暗くただ歩くだけの部屋「なんじゃこの部屋は」ただ歩く薄暗い部屋をそんな中でぽわりと白が浮かび上がる。『おじちゃん、こっち』光が見えたと思ったのは子供のようで白を見て苦虫を潰した顔になるが「おん」子供に示されるまま

2020-08-20 20:54:23
かむい @sunyaxxx

に次の部屋に行けば「…こいたあなんなが」次の部屋は以蔵の声に声が反響する。白くも黒くもなくそれは一面の鏡張り「……趣味が悪いのう」万華鏡のようにくるくるくるくると子供と以蔵の姿が映し出される。鞘で鏡をつつくがどうにも頑丈そうで鯉口を指ではねあげ一刀のもとに鏡を斬…っれなかった。「

2020-08-20 20:54:24
かむい @sunyaxxx

頑丈じゃの」そう言いつつ足を後ろに下げ今度はもう少しだけ力を抜き納刀したばかりの刀をすぐさま…キィンと軽やかな音をたて一枚の鏡が裂かれる。割れるのではない文字通り裂いたのだ。「ふん」そしてすぐさま納刀。「なんもながか」『おじちゃん』子供が以蔵を呼ぶ『おじちゃん、ズ…っと、』子供の

2020-08-20 20:54:25
かむい @sunyaxxx

口調が『おじちゃん、…ま…』『おじちゃん』『ま…っ』鏡に子供の声が反響するジリ…ジ…ジジ…「今更、化生やら幽霊やらに驚かんが、餓鬼ぃ、わしに向かってくるがやなら、殺すぞ」先程まで一緒にいた子供に向けた言葉は冷たいものに変わる。子供と言えども自分を攻撃するならば容赦はしない。

2020-08-20 20:54:26
かむい @sunyaxxx

『おじ…ちゃ、ん、』子供が悲しそうな顔で以蔵を見る。そうか…お前はと思う「わしにゃあ、斬ることしかできん」だからこれで許せと泣く子供…「また、殺すの」子供を斬ろうとする寸前で刃が止まる

2020-08-21 23:02:59
かむい @sunyaxxx

「ねえ、よく見て」ぞろりと舐めるように以蔵の背中に節くれた指がなぞりねっとりと耳をしゃぶるように声がする「泣いてる、その子は、だあれ」

2020-08-21 23:03:00
かむい @sunyaxxx

頬をなぞり泣いている子供を指さす。「ねえ、よく見て君のよく知る顔だろう」ねっとりした言葉と指の触れる感触が気持ちを悪いと感じながら子供を見る『助けて、……さ、』子供の声が言葉が「ほうか」その刃の鋭さは今だかつてない速さだった。子供の幽霊ごと鏡を斬り裂いた。

2020-08-22 23:48:46