日本医事法学会・東大科研費特別WEBシンポジウム「感染症対策の法と医療」 小山和博氏の実況

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小山 和博 @kaz_koyama_

法律による制御が行政による制御を経て、今は計画による制御が主たる制御手段となってきている。単に業界団体の了解を得ればよいのではなく、動態的な世論がSNSなどの影響を受けながら自ら判断をするようになってきている。政府もある意味手探りで政策を決めていかざるを得なくなってきている。

2020-08-30 15:00:28
小山 和博 @kaz_koyama_

自由の問題については、営業の自由と損失補償、移動の自由、私生活の自由、差別・誹謗中傷の4つが論点となろう。営業の自由と損失補償の論点は特別の犠牲と警察的・消極的措置の関係が前提となる。この前提を忘れた報道が多い。やはり営業規制を使った感染症対策には立憲主義との関係で問題。

2020-08-30 15:02:35
小山 和博 @kaz_koyama_

夜の街といった言い方でくくられてきた業界があるが、従来衛生上問題があれば規制されてきたはずであり、今回の重大な状況変化によって衛生上問題が生じたとすれば、これは補償の問題が生じる可能性があると理解する。

2020-08-30 15:03:37
小山 和博 @kaz_koyama_

移動の自由は、経済活動の基礎であり、精神的自由の基礎でもある。今回のコロナ禍により我々もこのことを改めておも知ったところ。濃厚接触者への移動制限などを行う場合、本来的には手続き保障が必要になると理解する。

2020-08-30 15:04:35
小山 和博 @kaz_koyama_

私生活の自由は、公私の線引きが相対化する中で、過剰規制もしくは過少規制が生じるという論点が出てきている。単にプライバシーが守られればよいという話にならない。広域制圧型の規制からよりピンポイントの規制を可能にする規律が必要になり、これはサイバーとフィジカルの融合が前提となる。

2020-08-30 15:06:18
小山 和博 @kaz_koyama_

差別と誹謗中傷は人間の中の差別感情に由来する。現在のコロナ関係の差別でターゲットにするべきなのは行動。差別感情をなくすのは難しい。差別的表現、誹謗中傷は一つの問題。社会的に有用な意見の交換を困難にすることを考えると単に表現を規制するというのは難しく、民間でやってみることが重要。

2020-08-30 15:07:52
小山 和博 @kaz_koyama_

データの話に移る。厚生労働省とヤフーの情報提供協定の問題は、法律上の根拠がない。情報の内容や性質によってリスクを考える必要がある。GPS情報単独よりも検索データとの組み合わせの方が感染症対策上有用といえるかどうか。また政府のガバナンス体制は民間企業にとってもリスクになる。

2020-08-30 15:09:27
小山 和博 @kaz_koyama_

データの使われ方、公表のされ方、利用目的、安全管理などはとりわけ政府の法的枠組みがないとすると大きな問題になる。COCOAの話については利用目的の具体的な特定が重要である。行動変容なのか接触追跡なのか。あとで目的を変更することは問題をはらむ。変更するなら確実な同意が必要。

2020-08-30 15:11:32
小山 和博 @kaz_koyama_

Her-Sysの問題についてはその前に個人情報保護の監督監視体制が十分ではない。使い道が確定していない中、どのようなプライバシーリスクが生じるのかというアセスメントが十分にできない。 これらの問題はデータ制作法制一般との関連がある。DFFTにはB2Gに加えてG2Gのデータ流通が不可欠になる。

2020-08-30 15:13:47
小山 和博 @kaz_koyama_

Open data by Designの重要性は改めて認識されている。具体的なデータ利活用の手法に基づいて、具体的なリスクをアセスしたうえで議論するべきであり、安易にプライバシーVS公衆衛生といった図式に逃げ込むべきではない。個人情報保護法制の見直しと連携するテーマである。安全管理措置等は義務化見込

2020-08-30 15:15:24
小山 和博 @kaz_koyama_

雑な比較衡量をしない、具体的な複雑な比較衡量、プライバシーリスクの発見と評価が必要であろう。

2020-08-30 15:16:21
小山 和博 @kaz_koyama_

次に国家の論点。 国会、行政、地方・国際関係と専門家の役割と責任の4つがある。国会は政党政治の場であり、きちんとした議論をするべきであるが、機能しないリスクも。機能する国会を作るべきと私は主張し、憲法学会で孤立。行政については、リソース不足が一つ、総合的な政策形成がもう一つ。

2020-08-30 15:18:36
小山 和博 @kaz_koyama_

共の力を使うとしても、手綱は行政が握るべきである。無謬性ということはないことを理解しておくべき。 地方・国際関係のうち、国際関係はデータ共有・利活用ですでに説明済みなので一旦流して、地方との話。都道府県の総合行政主体としての役割、都道府県間の格差などが問題となる。

2020-08-30 15:20:23
小山 和博 @kaz_koyama_

専門家の役割・責任については、高度な専門領域を横断化してネットワークになっているものの、個々には高度に分割されていることは一般的な変化であろう。今回の難しさはコンセンサスのある専門知の形成に時間がかかる一方、自分に都合の良い権威を求める市民社会が急激に動いている側面は事実。

2020-08-30 15:21:50
小山 和博 @kaz_koyama_

専門知による政府の正当化機能はどうしても生じる。距離の近いところで気を使いあう状況がある一方、今回のような場合、専門家の助言に基づいて政府が政策を決定し、すぐ行動してもらうという時間枠が短い中で、専門知を守りながら、どのように情報を発信するかは難しい問題。行政の通訳の機能が重要。

2020-08-30 15:23:08
小山 和博 @kaz_koyama_

立憲主義が邪魔だと考えるべきではない。我々は自律的に行動することが前提となっている社会。立憲主義はこの社会のインフラ。一方立憲主義にとってコロナはチャレンジ。権威的体制との強弱みたいな議論があるが、そのような国でもプライバシーの議論はある。体制間優劣の問題にはもう少し時間が必要。

2020-08-30 15:24:29
小山 和博 @kaz_koyama_

緊急事態法制があろうとなかろうと立法他日頃の対策が必要。アクセスとブレーキを慎重に踏み分けることが重要。このような状況で緊急事態法制の話だけが取り上げられることには強い違和感を感じる。 というわけでおしまいです。

2020-08-30 15:25:34
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