【そういう感じ】福間健二 #k2fact268

8月27日から9月5日まで。国立駅の南側の国立市東に住んでいるが、このところ、週一くらいのペースで、駅の北側に自転車で行く用事があった。北から南に戻り、さらに南に行けば甲州街道に突きあたり、さらには多摩川に出る。その動きのなかでなにか見つけたいと思った。三十二夜からなるアンデルセンの「月が見たこと(お月様が見ていた話)も読みおわったところだった。欲しいと願うのは、具体的にそれであり、そのことだというものを指示する確かさだ。何度も通って知っている風景のなかにあるものにあらためて出会う。それだけでも簡単じゃないと知った。 音楽は、Dua Lipa の「Break My Heart 」。アニメ・ヴァージョン。 https://www.youtube.com/watch?v=uO8hClIprE8
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福間健二 @acasaazul

月が見ている。世界中のいろんなことを見てきた月が。ぼくの自転車はもう始末している。心の痛みとかは。だれのせいでもないってことで、早い話、北から南への例外になればいい。線路の下をくぐる。富士見通りを斜めに渡る。改装中の建物。いま、だれも笑わなくていい。(そういう感じ1)#k2fact268

2020-08-27 10:18:59
福間健二 @acasaazul

さらに桐朋通り、さくら通りを渡って、急がない例外もある。ほぼ直角。だからってだれかの告白を待つわけじゃないだろう。道を行く人。プリンセスと魔女、ひとり二役でも破綻した「盗む」。何に追いつけなくて風を笑わせるのか。待つなら告白じゃなくてこの夜への告発だ。(そういう感じ2)#k2fact268

2020-08-28 09:08:18
福間健二 @acasaazul

求められるはずのないこと。この世ではということ。その、口に出せない作用と反作用。自分に何がおこっているのかわからない人の足もとを見てなにかが逃げた。逃げきろうとしている。道が複雑で、発展しない谷保駅周辺の「地球村」。なんとかするよ。言いたいセリフだ。(そういう感じ3)#k2fact268

2020-08-29 10:21:26
福間健二 @acasaazul

あいだを通りぬけるのが気持ちいいもの。つまり、静かなもの、透明なもの。そうであって困らないし、月もよろこびそうだが、それよりも実体があること。サイズ自在の軟体動物に絡まれつつの人生論。なにか呼ぶ声を飼いならして。南武線。やあ、老いたる兄弟が渡ってくる。(そういう感じ4)#k2fact268

2020-08-30 12:39:41
福間健二 @acasaazul

甲州街道。自転車を停めてわかばシガーを吸い、何歩か後向きに二十一世紀になる前からの打撃をかわす。うれしかったことが尽きたら、掃除機も冷蔵庫もない上谷保村を思えばいい。大きな尻でも小さな尻でもいいけれど、世間が怖くない人はいやだという夏の毛糸に共感する。(そういう感じ5)#k2fact268

2020-08-31 11:51:43
福間健二 @acasaazul

あっ、青になった。ひとりが渡っていき、置いてかれそうになったひとりが慌てて追う。速くはないが、走りだした。老いた女性たち。追いつこうとしている人はいつか先のとがったイチジクをもって向きあった。汚れた手に気づく少年と。未修正の現世。神社の大きな鳥居の下。(そういう感じ6)#k2fact268

2020-09-01 09:54:05
福間健二 @acasaazul

他人の手。自分の手。どちらがさびしいのか。確かめなさい。水の一滴一滴、砂の一粒一粒がつくる、対立とか給付とかどうでもよくなるという夢の根拠。自転車は近づいている。だれか倒れている谷保緑地をすぎて、最悪の九月一日から逃げてきた男が一息つく多摩川べりに。(そういう感じ7)#k2fact268

2020-09-02 10:56:10
福間健二 @acasaazul

影響を受けたものには愛着がある。暑さや湿度で不機嫌にならないようにする。助けが必要でも助けてくれと言わない人の話術から逃げない。それでもこの八月の試練から学んでいない。大食いの男、彼がトーストに目玉焼きを挟んでハチミツをかけて食べたのを思い出している。(そういう感じ8)#k2fact268

2020-09-03 15:33:19
福間健二 @acasaazul

食欲とは関係ないだろうが、言うことの多くに「というわけではないんですね?」が付いて、彼は急に座り込む。足の爪が気になる。道の折れ曲がるところ。だれの物語が溶けようとするのか。突然の雷雨。雨宿りする場所もなくずぶぬれになって帰った。まだ九月二日。笑った。(そういう感じ9)#k2fact268

2020-09-04 11:16:10
福間健二 @acasaazul

アンデルセンの書いた「月が見たこと」。まあまあの夜もあったが、三十二夜。楽しむだけじゃなく世界についてなにか学んでほしい。夏の終わりにそう言ってくれる人。邪悪な王子がいなくなればいいということじゃないんだね。そう、そういう感じ。彼女のその言い方が好き。(そういう感じ10)#k2fact268

2020-09-05 11:37:59