サム・J・ミラー関係ツイートまとめ

2020年11月に新☆ハヤカワ・SF・シリーズでサム・J・ミラーの長編小説『黒魚都市』(中村融・訳、早川書房)が出ると知り、過去ツイートをまとめてみました。
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T. Hashimoto @biotit

今夜紹介する作品の著者、サム・J・ミラーはNY出身のホラー、FT、SF作家。2012年のクラリオン・ワークショップへの参加をきっかけに主要SF/FT各誌に登場するようになった。ネビュラ賞、世界幻想文学大賞、スタージョン賞の候補になったが、受賞したのはジャクスン賞のみ。

2017-11-04 02:10:55
T. Hashimoto @biotit

単著は今年出版したYA長篇だけだが、近年、年刊SF・FT傑作選には再録されまくっている。なお、2012年のクラリオン・ワークショップで講師役を務めたのはテッド・チャンやジェフリー・フォードだ。

2017-11-04 02:16:51
T. Hashimoto @biotit

さて個人的には、ミラー作品にはもう少しジャンル小説要素がほしかったのだが、今回ついにそれが達成された短篇を読めた。ミラーの特色である心情描写や小説としての巧さ、ゲイ文学要素が、近未来SF&災害SF&怪獣ものに融合しているのだ。 tor.com/2017/1018/the-…

2017-11-04 02:23:26
T. Hashimoto @biotit

物語は、語り手オットーと彼氏のトレヴァーの自宅で、仲間たちが新素材(ソフトウェアで制御できるポリスチレン)のデモに興じるところから幕を開ける。オットーは遅れてやってきた男アーラヴに惹かれる気持ちを抑えきれず、トレヴァーに気づかれる。雪嵐でやむなくアーラヴは泊まっていくことに……。

2017-11-04 02:33:17
T. Hashimoto @biotit

この前半部分では、スマホでスライム状の新素材を操作し、動かしたり硬度を変えたりしながら、可能性と安全性についての討議が交わされる。ここがまず近未来SFとして楽しい。ところがこの素材はバグや悪意のエスカレーションによって世界に大きな打撃を与え、物語は破滅SF・怪獣SFに転じる。

2017-11-04 02:39:31
T. Hashimoto @biotit

後半はただ破滅を楽しもう。世間の変化と並行して、語り手たちの三角関係と、人間の弱さや愛憎が描かれるのだが、これが最後まで読者を引きこんでくる。私は「己のクズさへの懊悩」や「性愛」といった定番文芸テーマにあまり関心がない。しかし本作は別格だった。

2017-11-04 02:51:17
山岸真 @ymgsm

RT>サム・J・ミラーは年刊傑作選収録作を3,4篇読みましたが、昨年発表の“Things With Beards”が傑作。1983年、アメリカ南極基地帰りの男が主人公だが、基地では前年に大惨事があったらしく、男の記憶にはヘリコプターと犬が…→

2017-11-04 03:24:43
T. Hashimoto @biotit

サンフランシスコを発つ前に駆け足でハイト&アシュバリーとカストロの二ヶ所に行き、本屋へ。ひとつめは「ブックスミス」 店員さんの推しポップカードの数が多い。 品揃えもよく、例えばMの列はリディア・ミレ、サム・J・ミラー、ミルハウザー、ミシマ・ユキオとか。 店構えはこんなの。 pic.twitter.com/FNlO63r650

2018-05-01 09:14:16
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山岸真 @ymgsm

去年アメリカで出た年刊SF(&ファンタジー)傑作選五つ(2016年発表作品対象)のうち四つに収録されているのは、サム・J・ミラー“Things with Beards”、イアン・R・マクラウド“The Visitor from Taured”の二作。前者はネビュラ賞ショートストーリー部門候補/スタージョン賞三位、→

2018-06-09 00:02:04
T. Hashimoto @biotit

SF&FT誌Lightspeed、今月号は100号記念で通常の倍のボリューム。まず4篇書き下ろしを読んだが、いずれも満足度高い。長めの文字数でレビューするつもり。 500円未満なのでみんな買いましょう。収録作家は編集後記を参照➡  lightspeedmagazine.com/nonfiction/edi…

2018-09-08 17:53:09
T. Hashimoto @biotit

読んだ4篇を紹介。 カフタンの宇宙規模の神話的バトル、ケン・リュウの北京で家庭用AIを出張修理する話、ヘッドリーの現代アメリカでうらぶれた中年手品師が起こす真の魔術、サム・J・ミラーの兄の最期を知るため幻視者の少年を伴い、現場に赴く青春小説。 濃厚で文章のテンポが心地よいものばかり。

2018-09-08 17:58:13
山岸真 @ymgsm

Locus3月号を見ていたら、今夏に出るサム・J・ミラーの新作YA長篇がDestroy All Monstersというのだけど、内容紹介を読むと怪獣総進撃だーと騒ぐようなオタクネタじゃなくmonsterというのは…なシビアな話のようだ。この作者だけに力作を期待できることはまちがいなさそう。

2019-03-01 18:21:27
山岸真 @ymgsm

サム・J・ミラーのBlackfish Cityはこれはすっごい!までは行きませんが最終候補になったならネビュラ賞を受賞するのはじゅうぶんアリな長篇だと思います。ミラーは“Things With Beards”が傑作、長篇と同じ設定の“Calved”、YAで第一長篇のThe Art of Starvingもいいです。

2019-02-21 12:18:49
山岸真 @ymgsm

サム・J・ミラー新作長篇Blackfish CityをKindleで購入。The Art of Starvingがかなり面白かったのと、ローカスのG・K・ウルフのレビューで年刊傑作選3つに収録の“Calved”と同一設定とあったので。(傑作選4つに収録の“Things with Beards”のほうが面白いけど)

2018-04-19 21:01:22
T. Hashimoto @biotit

私見なのでこっちのアカウントで書いてみる。 近年のシャーリイ・ジャクスン賞候補には個人と"外側"の摩擦に着目した作品が多い。例えば性別、セクシュアリティ、人種などの属性がテーマの作家とか(カルメン・マリア・マチャド、ヴィクター・ラヴァル等) twitter.com/rikka_zine/sta…

2019-05-03 13:18:11
Rikka Zine @rikka_zine

2018年シャーリイ・ジャクスン賞候補一覧が公開。結果は7月14日にマサチューセッツ州で開催されるリーダーコンで発表されます。 松田青子さんの「女が死ぬ」がショートストーリー部門の候補になっています。英訳はポリー・バートンさん。Grantaのウェブに掲載されたもの。 tor.com/2019/05/02/201…

2019-05-03 10:03:47
T. Hashimoto @biotit

そして着目した属性が「人間」だったケースが、2012年ノミネートの伊藤計劃「The Indifference Engine」や2010年受賞のピーター・ワッツ「遊星からの物体Xの回想」ではないか。 2012年にノミネートしたブライアン・エヴンソンのImmobilityも「人間」と「男性」を解体するような話だった。

2019-05-03 13:19:11
T. Hashimoto @biotit

で、この機会に知ってほしいのがサム・J・ミラー。SFマガジン2019年6月号にちょうど初の邦訳が掲載された。「鬚を生やした物体X」(茂木健・訳) 題名どおり、こっちも物体Xパロディだが、異質なものへの恐怖をセクシュアリティや人種差別、AIDS等に重ねたホラーSFである。

2019-05-03 13:20:08
T. Hashimoto @biotit

サム・J・ミラーが2013年にジャクスン賞を受賞した短篇が、リンク先のものだ。主人公はいじめられているゲイの少年。『キャリー』とポオの「跳び蛙」を参考に超能力で復讐を試みる。だが物語は性差と人間の弱さの方向に舵を切る。かなり辛く凄惨な物語。 nightmare-magazine.com/fiction/57-rea…

2019-05-03 13:21:19
山岸真 @ymgsm

サム・J・ミラーのキャンベル記念賞受賞、めでたい。

2019-06-30 21:15:33
Rikka Zine @rikka_zine

サム・J・ミラーの新作短編をクラークスワールド誌で読んで、いい意味で打ちのめされていました。2005年の『キング・コング』映画のトリビュート作品と思われるのですが、怪獣や破滅小説の暗く甘美な魅力にあふれています。 clarkesworldmagazine.com/seybold_07_19/

2019-07-02 20:44:29
Rikka Zine @rikka_zine

サム・J・ミラーの旧作“Calved”がLightspeed誌に再録されました。初出は2015年アシモフ誌。しんどい話なので覚悟して読んでください。でもオススメ。 NYが沈み北欧に移民せざるを得なかった主人公は、飲料水用に氷山を切り出す仕事に従事しています。他に仕事がないので。 lightspeedmagazine.com/fiction/calved/

2019-08-17 01:59:52
Rikka Zine @rikka_zine

たまに離婚した妻の元にいる息子と面会するのが彼の唯一のなぐさめ。しかし息子は思春期に突入してしまいますし、社会階層や異国への順応度の違いが親子の間の溝を深めていきます。息子になにかしてやりたい。父親の強い思いはしかし……。 近未来SFですが普遍的な問題の数々が深く刺さります。

2019-08-17 02:04:55
Rikka Zine @rikka_zine

現在の構造を反転させて、読者に現実の問題を突きつける小説は数多くありますが、サム・J・ミラーのこの短編はとりわけ巧い。 嫌な予感から取り返しがつかない終わりに至る構成で、主人公は今まで鈍感だったつけを色々と払わされる羽目になります。感情移入できる絶妙なバランスの人物像。

2019-08-17 02:19:51
T. Hashimoto @biotit

サム・J・ミラーの未訳短編をほぼ全作読了。「赤いトカゲ軍団」は大戦末期、ソ連軍で「門」と呼ばれるワームホールを研究し、兵器として恐竜を調達する研究者の話でした。 メガロサウルスをつれて、米国に寝返ったとおぼしき愛する男を追跡するシーンから幕を開けます。 uncannymagazine.com/article/red-li…

2020-03-09 12:24:13
Rikka Zine @rikka_zine

12人の作家/批評家/エディター他による座談会です。この十年のクィアSF&ファンタジーを回顧するテーマ。ニコラ・グリフィス、サム・J・ミラー、カルメン・マリア・マチャド、ユーン・ハ・リー、ストレンジ・ホライズンズ誌の創始者メアリー・アン・モハンラジ等が登場。 tor.com/2020/03/31/que…

2020-04-01 22:18:20