石倉雅男『貨幣経済と資本蓄積の理論 第2版』(大月書店, 2019年)、「はしがき」の引用 by @bktmskman 氏

石倉雅男『貨幣経済と資本蓄積の理論 第2版』(大月書店, 2019年)、「はしがき」の引用 by @bktmskman
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ヘッドホン:3rd year of doctoral program @bktmskman

石倉雅男『貨幣経済と資本蓄積の理論 第2版』(大月書店, 2019年) いかに, その「はしがき」を連投形式で引用していきます 「「社会的分業が商品生産の形でおこなわれること」は, 現代経済を考察する際に避けて通れない問題である. 技術革新を通じた生産性の上昇からの恩恵が, 社会のあらゆる階」

2020-09-23 15:25:57
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「層の人々に等しく行きわたるようにすることが, なぜ難しいのか. この種の問題を考える際にも, 人々の生活に必要な財とサービスの多くが, 商品の代金や料金の支払いを通じて提供される経済の仕組みを, 詳しく考察しなければならない. 与えられた構造の社会的分業の中で様々な生産者によって生産され」

2020-09-23 15:27:41
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「た財が, それを必要とする消費者へ, 貨幣を媒介として, 円滑に配分されるかどうかが, 問題の焦点であると考える向きがあるかもしれない. しかし, 生産者によって生産された様々な財が, 貨幣を媒介として, 消費者へ配分される仕組みを記述するだけでは, 「商品生産の形でおこなわれる社会的分業」の」

2020-09-23 15:29:37
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「全貌を説明することはできない. 実際の経済における社会的分業と商品生産に関して, 私たちが直面すると思われる問題を, いくつか挙げておこう. 第一に, 貨幣は, 生産者から消費者への財の配分を媒介する「誰もが交換を拒まないもの」という「控えめな脇役」にとどまると言ってよいかどうか. 第二に」

2020-09-23 15:31:12
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「, どんな種類の商品でも, 貨幣を得るための手段になりうる. たとえば, 1万円という額の貨幣を手に入れるために販売される商品は, 人が食べるものでも, 原材料として使われるものでも, その他の用途に使われるものでも, 何でもよい. 貨幣を手に入れるための商品の生産は, 人々の生活に必要なものを」

2020-09-23 15:33:03
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「調達するためにおこなわれる社会的分業と, うまく両立するかどうか. 第三に, 「1単位の商品Aは, p円に値する」という意味の値札がおのおのの商品に付けられるが, 「商品生産の形でおこなわれる社会的分業」の観点から商品の価格を考察する場合には, おのおのの財を生産するための労働時間に比例し」

2020-09-23 15:34:48
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「た価格しか説明できないのかどうか. また, 商品の値札として機能するのは, それ自体が労働の生産物である特定の商品(特に, 「金」「銀」などの貴金属)であると考えなければならないのかどうか. 本書では「商品生産の形でおこなわれる社会的分業」を分析の出発点に置くが, 貨幣経済の構造を最初か」

2020-09-23 15:36:42
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「ら念頭に置いている. 「どんな種類の商品でも, 貨幣を得るための手段になりうる」ことは, 本書が最初に注目する商品生産の基本的特徴である. 他方で, 「貨幣が存在しない状況において, 社会的分業を通じて生産された各商品の(他のすべての諸商品との)交換能力が, 商品所有者の相互の欲望の不一致」

2020-09-23 15:39:01
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「によって妨げられる」という主旨の議論は, 本書ではおこなわれない. 本書の観点では, 資本の価値増殖も, 資本蓄積も, 貨幣経済の構造を前提に置いて説明されなければならない. このような考えから, 本書のタイトルを, 「貨幣経済と資本蓄積の理論」とした. 本書では, 資本主義経済の構造に関して, 」

2020-09-23 15:41:05
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「次の論点に注目する. 第一に, 商品(さしあたり, 労働によって再生産可能な財だけ考える)は, 価格が付けられて販売されることを目的とする財であり, 「1単位の商品Aはp円の貨幣に値する」のような価格形態を持つが, 諸商品の価格形態に関して, 抽象度の異なる複数の分析視覚が存在するのはなぜ」

2020-09-23 15:43:32
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「か. 第二に, 生産過程における雇い主と労働者のあいだの支配・被支配の関係. 雇い主は雇い入れた労働者から自分の望む働きぶりをどのように引き出すのか, また, 雇われた労働者が雇い主の監督に従って働きぶりを発揮せざるをえないのはなぜか. 第三に, 商品の販売を通じて貨幣的利潤が実現するため」

2020-09-23 15:45:31
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「の条件は何か. 具体的には, 銀行組織の信用創造を可能とする発達した信用制度, および, 追加生産財の生産を可能にする生産能力と労働力人口が存在する経済において, 投資が実現利潤を決定する関係を, どのように説明すればよいのか. 以上の観点から資本主義経済の構造を考察するために, 本書は, 第」

2020-09-23 15:47:33
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「Ⅰ部「貨幣経済の政治経済学」, 第Ⅱ部「資本・賃労働関係の政治経済学」, 第Ⅲ部「資本蓄積・利潤・負債の政治経済学」の3つの部から構成される. 本書の初版は2012年9月に刊行された. 今回, 第2版を刊行する機会を得て, 初版の構成を維持しつつ, 各章で若干の修正と拡充をおこなった. 各部のね」

2020-09-23 15:49:58
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「らいと各章の要点は, 次の通りである. 第Ⅰ部「貨幣経済の政治経済学」では, 資本主義経済の構造分析にふさわしい貨幣経済観について検討した上で, 貨幣経済における諸商品の価格形態について, 抽象度の異なる複数の分析視覚から考察する. 第1章「政治経済学アプローチと貨幣」では, ケインズ」

2020-09-23 15:52:07
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「(J. M. Keynes)によって『貨幣論』(1930年)と『雇用, 利子および貨幣の一般理論』(1936年)のあいだに書かれた「生産の貨幣理論」と『雇用の一般理論』草稿の検討に基づいて, 資本主義経済の構造を理解するために必要な貨幣経済観とは何かが検討される. 資本主義経済は「貨幣が独自の役割を」」

2020-09-23 15:54:12
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「演じ, 動機や意思決定に影響を及ぼすような経済」である. それゆえ, 資本主義経済の構造を分析するための基礎になるのは, 直接交換(物々交換, CーC)と間接交換(「実物的交換経済(real exchange economy)」, CーMーC)との区別に注目して貨幣を「交換の媒介物」と把握する分析視覚ではなく, 経」

2020-09-23 15:57:25
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「済主体の欲望の充足を目的とする「実物的交換経済」(CーMーC)と, 貨幣的利潤の実現を目的とする「企業者経済」(MーCーM' 循環)との区別に注目する分析視角であることが明らかにされる. 第2章「貨幣経済の分析視角」では, 「どの種類の商品も, 貨幣を得るための手段になりうる」という貨幣経済」

2020-09-23 16:00:33
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「の構造を考察するためには, 「交換の媒介物」としての貨幣の機能ではなく, 「商品の価格を表現する」貨幣の機能に注目すべきことが指摘される. そして, 諸商品の価格形態に注目する貨幣経済の分析視角として, ケインズ『貨幣論』における冒頭の貨幣分類論を検討する. そこでは, 「計算貨幣」が「貨」

2020-09-23 16:02:35
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「幣理論の本源的概念」と把握され, 計算貨幣で表示される価格契約と債務契約, および, これらの諸契約の履行のための貨幣の引き出しと決済システムの関係が考察される. 第3章「貨幣経済と価格形態」では, マルクス(K. Marx)『資本論』第1部の商品論・価値形態論・交換過程論・貨幣論が検討され」

2020-09-23 16:04:41
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「る. 第2版では, 商品の「価値」の概念が導き出される論理を中心に, 記述を改訂した. 商品論では, 同じ大きさの交換価値を持つ諸商品の置き換え可能性・質的同等性に基づいて, 諸商品の使用価値が捨象され, 「抽象的人間労働の凝固」としての商品「価値」の概念が導き出される. 価値形態論で説明さ」

2020-09-23 16:06:32
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「れるように, 同じ交換価値を持つ多数の諸商品の置き換え可能性・質的同等性を表現できるのは, 一般的価値形態であり, そこでは, どれか1つの種類の商品が一般的等価物として機能し, 一般的等価物を除くすべての諸商品の相対的価値表現が成立する. 続いて, 交換過程論では, 一般的等価物としての貨」

2020-09-23 16:08:29
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「幣の機能が「貨幣の形式的使用価値」と把握され, 商品所有者と貨幣所有者のあいだの交換は, 諸商品の使用価値と貨幣の「形式的使用価値」に対する欲望のみに左右され, 商品の販売を通じて商品の「使用価値としての実現」と「価値としての実現」が同時に成立することが説明される. 一般的等価物とし」

2020-09-23 16:10:49
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「ての貨幣の機能が「貨幣の形式的使用価値」と把握されると, 商品所有者の交換行為の観点から商品の価格形態を考察できるようになる. その場合, 同じ交換価値を持つ諸商品の置き換え可能性・質的同等性を前提とせずに, (労働生産物の価格だけではなく, 労働の価格(賃金), 土地の価格なども含め)」

2020-09-23 16:13:06
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「た)様々な種類の価格が, それぞれの交換対象と貨幣との交換比率として考察できる. 第4章「商品価値の生産価格への転化」は, 第2版で新たに追加された章である. そこでは, 商品所有者の交換行為の観点から商品の価格形態を考察する作業の一つとして, 生産価格体系(すべての生産部門で均等な)」

2020-09-23 16:16:24
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「利潤率と両立する諸商品の相対価格)と価値価格体系(各商品1単位を生産するために直接・間接に支出される労働時間(労働価値)に比例する諸商品の相対価格)の関係が考察される. 同じ交換価値を持つ諸商品の置き換え可能性・質的同等性が前提に置かれる『資本論』第1部の商品論と価値形態論では」

2020-09-23 16:19:00